令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン10「社会の理解〜介護保険の概要〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士試験の試験範囲である「社会の理解」の分野から介護保険制度についてまとめていきたいと思います。介護保険に関しては、出題される傾向が高くしっかりと押さえておく必要があります。
目次
・介護保険制度とは
・介護保険制度の目的について
・介護保険法改正の流れについて
・介護保険料の撤収について
・給付の分類について
・まとめ、感想
介護保険制度とは
少子高齢化等により要介護高齢者の数が増加したことや介護の長期化により家族の負担が増加してきました。また、核家族化から在宅介護へ。その家族介護の負担を軽減するため、そして社会全体でそれを支えるために2000年(平成12年)に介護保険制度が施行されました。
介護保険制度の目的について
介護保険制度には5つの目的が示されました。それらを下記にまとめます。
【介護の社会化】
「介護の社会化」とは、社会連帯の精神によって社会全体で支えようというものです。
介護保険法第1条(目的)に「国民共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け」と明記されています。
【措置制度から利用契約制度への転換】
もともと行政が利用者について介護サービスの必要性を判断し、行政の権限でサービスの開始・提供を決定する制度である「措置制度」が導入されていました。しかし、自己選択や自己決定権が保護され、サービス利用者と提供者が対等な関係で契約する「利用契約制度」に変更になった。
【保健、医療、福祉で分かれていた介護サービスの統一】
高齢者を支える仕組みは保健、医療、福祉で分立していたがサービスや手続き、費用負担等が統一化されました。
【競争原理導入による質の向上】
民間営利企業や協同組合、NPOなど民間非営利団体も一定の基準を満たせば介護事業者となれるようになり競争原理が質を向上させました。
【ケアマネジメント導入による介護の体系化】
介護についてケアワーカーの経験とカンに頼る部分が多かったものが、ケアマネジメントの考え方としてシステムを導入することで体系的なものとなりました。
介護保険法改正の流れについて
介護保険法の改正は3年に1度ありそのたびに大きく変わります。内容も変わることが多々ありますので常にその流れについて最新の情報を覚えておく必要があります。
【2005年(平成17年)の介護保険法改正】
「法の目的に尊厳の保持を明記」「介護予防サービス創設」「地域密着型サービス創設」「地域包括支援センター創設」など
【2011年(平成23年)の介護保険法改正】
「地域包括ケアシステムの構築(定期巡回・随時対応サービス、複合型サービスの創設など)」
【2014年(平成26年)の介護保険法改正】
「予防給付(訪問介護、通所介護)の地域支援事業への移行」「包括的支援事業の充実」「一定所得のある利用者の自己負担の引き上げ」「特別養護老人ホームの入所基準の厳格化」など
【2017年(平成29年)の介護保険法改正】
「高額所得者利用者の自己負担3割の導入」「介護医療院の創設」「共生型サービスの創設」「包括的支援事業の完全実施」「財政的インセンティブの創設」など
≪高額所得者利用者の自己負担3割の導入≫
合計所得金額220万以上の人及び単身世帯で年金収入とその他の所得金額が340万円以上の人(夫婦世帯の場合は463万円以上の人)については2018年(平成30年) 8月より自己負担割合が3割に変更されました。
≪介護医療院の創設≫
介護療養型医療施設が2024年(令和6年) 3月までに廃止します。その受け皿として長期療養するための医療と日常生活娘の介護の両方を利用できる介護医療院が創設されました。
≪共生型サービスの創設≫
高齢者と障害者に対して同一事業所でサービスの提供が可能になり、他方の提供指定を相互に受けやすくなる共生型サービスの創設がされます。
【2020年(令和2年)の介護保険法改正】
「地域準備の複雑化・復号化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援」「地域の特性に応じた認知症対策や介護サービス提供体制の整備等の推進」「医療・背後のデータ基盤の整備の推進」「介護人材確保及び業務効率化の取り組みの強化」
介護保険制度の受給と給付について
【介護保険制度の保険者】
介護保険制度の保険者は市町村及び特別区(東京23区)になります。また小規模な市町村については、広域連合や一部事務組合等特別地方公共団体である広域自治体もなることができます。
【住所地特例】
住所地特例とは、施設への入所により施設所在地に住所を移した場合は、住所を移す前の市町村が保険者になることです。2カ所以上の施設を移った場合も同様です。この制度ができた背景には、施設のある市町村の財源の負担が大きくならないようにと定められました。
【介護保険被保険者】
「第1号被保険者」とは、市町村の区域内に住所を有する65歳以上のものです。
「第2号被保険者」とは、市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者のことです。
【受給権者】
第1号被保険者の場合、要介護認定を受けて「要介護者」「要支援者」と認定されたもの。
第2号被保険者の場合、特定疾病により要介護状態、または要支援状態になったもの。また特定疾病とは、16疾患存在しています。
詳しくは厚生労働省のホームページに記載されていますので下記を参考にしていただければと思います。
《厚生労働省(特定疾病選定基準の考え方)》
介護保険料の撤収について
【第1号被保険者の場合】
年額18万以上の年金受給者(老齢年金、退職年金、遺族年金、障害年金)は、原則年金から天引きされる「特別撤収」となります。
無年金者や抵年金者等の場合は、市町村から納付書を発行し、金融機関やコンビニ等に納付する「普通撤収」となります。
【第2号被保険者の場合】
医療保険料として医療保険者が上乗せし撤収します。介護給付費・地域支援事業支援納付金として収めます。
【生活保護の場合】
介護保険料は生活扶助から給付されます。また、利用者負担分は生活保護の介護扶助から支払われます。
※第1号被保険者が保険料を滞納した場合は、「①現物給付を償還払いにする」「②保険給付の支払いを一時差し止める」「③差し止められた保険給付から体の保険料を控除する」と言うふうに①から始まり③の段階に措置が取られます。
給付の分類について
給付は3つの分類に分けることができます。それらについて説明します。
【介護給付】
要介護状態の被保険者に支給されます。居宅サービス、居宅介護支援、施設サービス、地域密着型サービスなどがあります。
【予防給付】
要支援状態の被保険者に支給されます。介護予防サービス、介護予防支援、地域密着型介護予防サービスなどがあります。
【市町村特別給付】
要介護状態、要支援状態の軽減または悪化の防止のために提供される市町村独自のサービス。
まとめ、感想
今回の投稿では介護保険法の改正年度とその内容をセットに覚えておくこと。そして介護保険法の目的についてもしっかりと覚えておいてください。また、介護保険の受給要件は実際介護現場で働いている方には既に知っている方も多いと思います。介護保険料の撤収は、働いている45歳以上の医療保険加入者なら給料から天引きされていると思います。
今回の投稿は身近なところだったと思いますので覚えやすいポイントもたくさんあったと思います。引き続き介護福祉士試験合格を目指して頑張っていきましょう。
タグ:カイゴミライズアカデミー,介護保険,介護福祉士,住所地特例,被保険者,試験範囲
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