令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン18「社会の理解〜介護関連施策〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回は介護福祉士試験範囲の中から「社会の理解」の範囲である介護実践に関連する制度や法律についてまとめていきます。我々が実際に働く現場でもしっかりと活用できる知識になっていますので、介護福祉士の試験以外のところでも役に立つと思います。
目次
・個人情報保護法について
・成年後見制度について
・後見、補佐、補助の概要
・日常生活自立支援事業について
・消費者保護に関する法律や制度について
・高齢者虐待防止法について
・障害者虐待防止法について
・まとめ、感想
個人情報保護法について
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)は2003年(平成15年)に制定されました。この法律では個人情報取扱業者が個人情報を取り扱う際のルールを規定しています。
個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、特定の個人を選別することができるものとされています。「名前」「住所」「性別」「電話番号」「年齢」あらゆるものが個人情報と言われます。また最近では、電子化が進み様々な個人情報の取り扱いに注意する必要があります。
個人情報を利用する際には、利用目的をできる限り特定し、本人に同意を得ることが望ましいとされています。また、虐待事例の場合等の例外もあります。
成年後見制度について
成年後見制度は、2000年(平成12年)に施行されました。病気や障害によって判断能力が不十分な状態になっているものに対して、その本人に代わって契約を行ったり選択をすることができるものです。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」がありますので、その違いについてしっかりと把握しておきましょう。
【任意後見制度】
本人が契約締結に必要な判断能力を有しているときに、事前に後見人を選任しておく制度。任意後見人は、本人の生活、医療、財産など様々な管理に関する事務を行います。任意後見契約は、本人と任意後見人とのあいだで公証人の作成する公正証書により結ばれます。
【法定後見制度】
病気や障害によって既に判断能力が不十分な状態になっているものが対象です。対象者の判断能力に応じて「補助」「補佐」「後見」のいずれかを選択します。選任の流れとしては、
①家族など一定の申立権者から家庭裁判所への後見開始審判の申し立て。
②家庭裁判所による審査を得て、「後見人」「保佐人」「補助人」が選任されます。
後見、補佐、補助の概要
後見人がもっともできる範囲が広く、補助人ができる範囲が狭くなっています。
【後見人】
《対象者》
精神上の障害により判断能力を欠く状況にあるもの。
《申し立て権者》
本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等、任意後見受任者、任意後見人、任意貢献監督人、市長村長
《本人の同意》
不要
《名称》
本人は「成年被後見人」、保護者は「成年後見人」、監督人は「成年後見監督人」
【保佐人】
《対象者》
精神上の障害により判断能力が著しく不十分もの。
《申し立て権者》
本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等、任意後見受任者、任意後見人、任意貢献監督人、市長村長
《本人の同意》
不要
《名称》
本人は「被保佐人」、保護者は「保佐人」、監督人は「保佐監督人」
【補助人】
《対象者》
精神上の障害により判断能力が不十分なもの。
《申し立て権者》
本人、配偶者、4親等内の親族、検察官等、任意後見受任者、任意後見人、任意貢献監督人、市長村長
《本人の同意》
必要
《名称》
本人は「被補助人」、保護者は「補助人」、監督人は「補助監督人」
日常生活自立支援事業について
2000年(平成12年)から始められた事業であり、認知症、知的障害、精神障害等により日常生活を営むのに支障があるものが、地域で自立した生活を営めるよう無料または定額の料金で福祉サービスの利用援助等を行う事業です。概要について下記にまとめていきますので。
【実施主体】
都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会。専門員、生活支援員による援助の実施等事業の一部を市町村社会福祉協議会に委託することもできます。
利用開始手続きは利用者本人または成年後見人等が社会福祉協議会に申し込みし契約を行う。
【対象】
認知症、知的障害、精神障害等により日常生活に必要なサービスに関する情報の入手、理解、判断等が困難なものであり、この事業の契約内容については判断能力を有しているもの。
また「契約締結判定ガイドライン」に従い専門員が対象者の判断能力の判定を行います。判定困難な場合は「契約締結審査会」で判定を行う。
【事業内容】
「福祉サービス」「苦情解決制度の提供」「日常的金銭管理」「日常生活の消費契約」「行政手続」など
【監視、監督】
「契約締結審査会」「運営適正化委員」
【費用】
契約前の相談は無料です。利用1回あたり1000円から1200円程度。生活保護受給世帯は無料。
消費者保護に関する法律や制度について
【消費者契約法】
事業者が勧誘の際に事実と異なる説明をするなど不適切な適切な行為により、消費者が誤認、困惑して契約を申し込んだ場合、契約を取り消すことができる法律。
【特定商取引に関する法律】
訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、電子商取引などの取引のついてトラブル防止のためのルールを定めている法律。
【クーリング・オフ制度】
特定商取引に関する法律に定められた制度であり、消費者に不利益な契約を一定期間内であれば取り消すことができる。適用期間は、訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入の場合は「8日間」、連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提携誘引販売取引の場合は「20日間」が適用されます。
高齢者虐待防止法について
高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)は2005年(平成17年)に制定されました。
虐待を受けた高齢者(65歳以上)が対象となります。養護者、介護施設従事者等の負担軽減を図るなど、虐待防止のための養護者、介護施設介護施設従事者などへの支援措置が行われます。虐待を受けたものを「保護措置」。虐待を発見したものに対する「通報義務」定められてます。
障害者虐待防止法について
障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)は2011年(平成23年)に制定されました。障害者に対する虐待の禁止、また虐待を受けた障害者の保護及び自立支援措置、養護者への虐待防止支援措置が目的とされています。また、障害者を雇用する事業者の使用者による虐待防止のための措置。医療機関の管理者に対する虐待防止のために講ずる必要な措置が行われます。虐待を発見した場合は市町村又は都道府県への「通報義務」があります。
また虐待に種別については別の投稿でも詳しく載せていますので下記の投稿を参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン2「人間尊厳と自律〜人権〜」≫
まとめ、感想
後見制度に関しては出題頻度も高く「後見」「保佐」「補助」の違いについてしっかりと把握しておいてください。また虐待防止に関しても出題頻度が高い項目です。高齢者虐待防止法や障害者虐待防止法。そして、その虐待とはどのような種別があり、何を指しているのか?と言う内容もセットで覚えておいてください。本日も勉強お疲れ様でした。
タグ:カイゴミライズアカデミー,介護福祉士,個人情報,後見制度,社会の理解,虐待,試験範囲
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