令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン43「生活支援技術〜居住環境〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士試験範囲から「生活支援技術」について解説していきます。今回まとめていく内容は、「住まいの環境」について解説いたします。この投稿を参考にし、住居の役割や適切な室内環境を学んでいきましょう。
目次
・住まいの役割について
・高齢者向け住宅、施設について
・適切な室内環境について
・室内で発生する可能性がある症状について
・安全な居住環境について
・介護保険の対象となる住宅改修について
・まとめ、感想
住まいの役割について
食事や睡眠、排泄や清潔保持など生命の維持のために生理的欲求を満たす役割があります。
一緒に同居する家族との人間関係を通して、精神的な満足感をもたらし、近隣や友人との付き合いなど社会的な交流ができます。また、自宅内のプライバシーを守る役割もあります。生理的な満足、精神的な満足を与える事は住まいにとって重要な役割です。
高齢者向け住宅、施設について
【サービス付き高齢者向け住宅】
介護や医療と連携し、高齢者を支援するサービスが施設内で提供されます。
根拠になる法律は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」
【経費老人ホーム】
自炊できない程度の機能低下が認められる人、もしくは独立して生活するのが困難な人が定額の料金で利用できる施設です。
根拠になる法律は「老人福祉法」
【有料老人ホーム】
高齢者に食事などの生活サービス、身の回りの世話を提供する施設です。
根拠になる法律は「老人福祉法」
【介護老人保健施設】
65歳以上の要介護高齢者で、病状が安定している人に対し、医学的管理下での介護、看護、リハビリテーションを行い家庭での生活に戻れるよう支援を行う施設です。
根拠になる法律は「介護保険法」
【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)】
65歳以上の要介護高齢者で、自宅で生活することが困難であり、常時介護が必要な人に日常生活の介護やリハビリテーションを行う施設です。
根本にある法律は「介護保険法」または「老人福祉法」※老人福祉法に基づいて設置されている特別養護老人ホームが、介護保険法の指定を受けると指定介護老人福祉施設になります。
【介護療養型医療施設】
長期療養の要介護者に対して、看護、医学的な管理に基づく介護などを行う施設です。2024年(令和6年) 3月までに廃止予定。
根拠になる法律は「介護保険法」または「医療法」
【介護医療院】
長期療養の要介護者に対して、医療と介護を一体的に提供する施設です。看取りやターミナルケアも行います。2018年(平成30年) 4月に創設されました。
根拠になる法律は「介護保険法」
適切な室内環境について
【採光・照明】
色を通じて、適度な採光が得られることが望ましいとされています。約200ルクスの明るさが必要になります。視力低下や暗順応の低下に配慮して照明の種類や色を選びます。夜間では足元の照明も十分にする必要があります。
【室内の温度や湿度】
《温度》冬20℃前後、夏26℃前後
《湿度》40~60%
《気流》0.5m/sec以下
その他、冷暖房を活用し外気との差を5~7℃以内に保ちます。高齢者の皮膚は感覚機能が低下しているので床暖房にも注意が必要です。
【通風・換気】
痛風・換気する場合は、窓を開けますが1カ所ではなく2カ所以上あけて風が入る窓と風が出ていく窓を用意する必要があります。石油・ガスの暖房器具やガスコンロの使用時は定期的な換気が必要です。防災対策としてがガス器具からIH器具に変更することも良いとされています。
【音】
家電製品の曾孫、エアコンの室外機、トイレの音、足跡などに配慮が必要になります。防犯ベルや火災警報機等の音は聞こえる音量に調整しておく必要があります。
室内で発生する可能性がある症状について
【熱中症】
室内においても発症します。高温の室内で長いこといると体温の調整機能が低下し、体温上昇、めまい、痙攣などの症状が現れます。エアコンや扇風機、換気などで適切な室温に設定し、こまめに水分補給をすることが重要です。
【ヒートショック】
急激な温度変化により、血圧の上昇が生じることによって、湿疹、脳卒中、心筋梗塞を引き起こす場合があります。冬の入浴時に寒い脱衣室から、熱いお湯につかると急激に血圧が低下するためヒートショックが起こりやすいとされています。また部屋の寒暖差はなくすことが重要です。
【アレルギー】
適度な掃除や適切な環境が保てていない場合は、ダニの死骸や糞、カビやほこりによりアレルギー症状を引き起こします。皮膚の疾患やくしゃみや咳などの症状として見られます。
【シックハウス症候群】
現在、使用される化学物質により室内空気汚染が原因で喉の痛み、頭痛、吐き気、湿疹、目のチカチカなどの症状が起こります。新築やリフォームの後に起きやすいとされています。こまめな喚起と掃除が重要です。
安全な居住環境について
ここでは適切な居住環境について解説していきます。様々な住宅環境を整えることにより、居室内の事故はリスクの軽減ができます。
【トイレ】
トイレのドアは、トイレ内で倒れてしまうとドアが開かなくなるため引き戸や外開きにすることが望ましい。また鍵も外から開けれるようにする。トイレの場所については寝室から近い方が望ましいです。歩行が不安定な場合はトイレまでの導線やトイレ内の立ち上がりに使用する為の手すりを取り付けます。和式のトイレは、排泄時に転倒のリスクがあるので下肢の負担が少ない様式トイレが望ましいとされています。冬場は暖房器具や暖房便座の使用を行います。
【浴室】
浴室のドアは浴室内で倒れたときのことを考え引き戸にする方が望ましい。また浴室の床は滑らない材質にするか、滑り止めのマットを敷きます。浴槽は洗い場の床から400ミリ(膝の高さ)程度の高さが適切です。
【寝室】
寝室には加湿器、エアコンなど室温や湿度を調整できる環境にしておく。和式の布団よりベッドの方が立ち上がりの負担が少ない。ベッドの高さは端座位になったときに足が床につく高さが望ましい。
【居室】
風通し、日当たりが良くトイレに近い場所が望ましいとされています。高齢者の居室では同居している家族が行き来する場所にすることが緊急時の早期発見につながります。
【台所】
調理台は使いやすい高さにします。調理器具は電磁調理器(IH)を用いるのが良いとされています。ガスコンロの場合は油過熱防止機能やタイマー付にすると良い。水栓は従来の蛇口をひねるタイプは使いにくい。
【階段】
手すりを設置します。両側に設置することが望ましいが、片側の手すりの場合は降りる際の利き手側に設置します。手すりの高さは床から75~80cm程度、太さは握り幅が32~36cm程度目安とします。階段の段差の高さは16~18cm、踏み面は24cm、横幅は75cm以上。床の材質は滑りにくいものを使用します。
【通路】
屋内で車いすを使用する場合は、通路の幅を最低でも85cmは確保する必要があります。施設等ではスムーズにすれ違いが行えるよう180cmの幅が必要です。段差がある場所にはスロープを設置します。夜間対応のため足元灯を設置します。
【床】
玄関、階段、台所、浴室などの床は転倒しやすいので、滑りにくい床材が望ましい。洗面所やトイレは汚れやすいので汚れも考慮した床材にする。
介護保険の対象となる住宅改修について
【住宅改修の対象】
①段差の解消
②手すりの取り付け
③滑り止め防止、移動の円滑化のための床材の変更
④引き戸等への扉の取り替え
⑤上記の住宅改修に付帯して必要となるもの
【支給対象者】
在宅で生活している要介護者、または要支援認定を受けたもので住宅改修が必要と認められる者。
【支給限度基準額】
支給限度額は20万円です。実際の住宅改修費にかかった9割(8割あるいは7割)が支給されます。20万円の住宅改修が必要だった場合、1割負担の人は18万円が支給され、2万円が自己負担となります。20万円を超えた分の住宅改修費用は全額、自己負担となります。
転居した場合や要介護区分が3段階以上重くなった場合には、再度、支給限度基準額が設定されます。
まとめ、感想
今回は居室の適切な環境についてまとめていきました。我々、介護従事者が利用者と関わる上で今回の知識は、利用者に対して適切なアドバイスとして役に立つことも期待されますね。介護福祉士の試験対策だけではなく我々の住まいに関する役立つ分野の勉強になりました。
タグ:介護福祉士,住宅改修,住居,安心,家族,施設,試験対策
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