令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン46「生活支援技術〜整容〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も引き続き介護福祉士の試験範囲を解説していきます。今回は介護福祉士の試験範囲の中から「生活支援技術」の整容について説明していきます。
目次
・整容動作について
・口腔ケアについて
・利用者の状態による口腔ケア時の方法
・まとめ、感想
整容動作について
整容はADL(日常生活動作)の1つで、洗顔、耳の手入れ、整髪、髭剃り、爪の手入れ、化粧、鼻の手入れなどがあります。それではそれらについてまとめていきます。
【洗顔】
洗顔は顔の汚れや皮脂を取り除く清潔にする効果があります。また血流の促進作用もあります。洗顔が困難な方には顔の清拭を行います。清拭はタオルを40℃前後のお湯に浸けて絞り、目→額→鼻→頬→ 耳の順番に拭きます。目と鼻と耳の後は汚れが溜まりやすいので特に清潔に行う必要があります。目を拭くときには目頭から目尻の方向に向かって拭きます。
【耳の手入れ】
力を入れて外耳道を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまうことがないように気をつけます。入浴後に行うと耳垢が柔らかくなり取りやすくなります。
【整髪】
ブラッシングは髪の汚れを取る効果もあります。できるだけ自分で行ってもらい、髪型や整髪料の使用は利用者の希望に応じて行います。身なりを整える事は精神的にも関係しており、意欲の向上につながります。
【髭剃り】
介護士はカミソリを使ってヒゲを剃る事は理容師法の内容に反するため電気カミソリしか使えません。電気カミソリは、肌に対して直面にあててヒゲの流れに逆らって剃ります。髭剃り後は、化粧水や保湿剤で保湿します。
【爪の手入れ】
爪は足より手の方が早く伸びます。手入れを怠ると「巻き爪」「爪肥厚」など変形の原因にもなります。高齢者の爪はもろく割れやすいので入浴後に爪を柔らかくしてから行うと切りやすくなります。爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも下の炎症がなく、かつ糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に限り、介護士が爪切りを行うことや爪ヤスリでヤスリ掛けを行うことができます。
【化粧】
化粧は意欲の向上につながり気分の活性化や残存機能の向上につながる効果があります。また自己表現の手段でもあり利用者が今まで行ってきた化粧の方法を尊重し利用者ができない部分を介助します。
【鼻腔内の手入れ】
鼻毛は抜かず専用のハサミを使ってカットします。鼻をかむ時は左右交互にかみます。
口腔ケアについて
口の中は細菌が発生しやすく適切にケアが行われていないと簡単に細菌が増殖してしまいます。一般的には350種類以上の口腔内細菌が数千億個以上生息しているといわれます。
それでは口腔ケアの内容についてまとめていきます。
【口腔ケアの定義】
口腔ケアには、口腔清掃や義歯清掃などの「器質的口腔ケア」と口腔機能の治療や機能訓練などの「機能的口腔ケア」があります。このうち介護職が行えるのは「器質的口腔ケア」になります。
【口腔ケアの目的】
①口腔内の清掃を行い、細菌増殖を予防する。
②口腔内の清掃を行い、口臭を予防する。
③口腔内の清掃を行い、口腔疾患を予防する。
④口腔内のマッサージにより、唾液の分泌を促進させる。
⑤口腔内の清掃およびマッサージを行うことにより、誤嚥性肺炎を予防します。
⑥食欲の増進。
⑦対人関係を円滑にし、生活意欲を活性化させます。
【口腔ケアのポイント】
①ベッド上で行うときはできるだけ上半身を起こしむせこみ防止を行います。
②うがいができる利用者には、ブラッシングの前にも行ってもらいます。
③自分自身でできる事は自分で行ってもらう。
④利用者のADLに合わせた用具を選択する。
⑤舌苔は無理して取り除かない。
※握力の弱い利用者には太柄の歯ブラシが適しています。
【義歯の取り扱いについて】
義歯は、咀嚼機能や咬合機能の維持、向上。または発音機能の維持、審美性の向上などの役割があります。就寝時以外は装着し、総入れ歯の場合は上から入れます。はずすときには下から外すようにします。熱湯や歯磨き剤は使用せず、水またはぬるま湯で清掃します。外した後は、乾燥させないように水に漬けて、洗浄剤にて清潔にします。
利用者の状態による口腔ケア時の方法
【自立している利用者の口腔ケア】
口腔ケアの行う前にはアセスメントを行う必要があります。利用者にあった方法を見極める為です。自立できる能力があってもしっかりと行えていないことも考えられますので、注意する必要があります。
【一部介助の利用者の口腔ケア】
たとえ時間がかかったとしても利用者自身でできるところは行ってもらいます。歯ブラシの柄の部分を太くして持ちやすくするなど用具や器具を工夫する。本人の残存能力を活用した自立支援の考え方が大切です。
【全介助の利用者の口腔ケア】
全介助の利用者の場合はベッドのリクライニングの角度を上げます。状態に合わせてセミファーラー位(15度~30度)または側臥位でおこないます。側臥位ができない利用者の場合は顔を横に向けて行います。
【片麻痺の利用者の口腔ケア】
麻痺の部位と程度や可動域、残存能力等の確認をする必要があります。半側空間無視により麻痺側は食べ物が残りやすいので、患側を意識した援助が必要です。
【認知症のある利用者の口腔ケア】
口腔ケアに対して無関心になったり、抵抗を示す場合もあります。言動を否定せず、適切なコミニケーションを図り暖かく見守りながら援助します。理解が不可能な場合は介護者も共に一緒に歯磨きを行うことも1つの手段です。
またコミニケーション技術に関しては、違うページで詳しくまとめていますので下記のページを参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン3「人間関係とコミュニケーション〜人間関係〜」≫
【経管栄養の利用者の口腔ケア】
経管栄養の利用者は、口から食物を摂取しないため口腔機能が低下している傾向にあります。また乾燥により口臭が発生しやすくなっているので口腔ケアが必要です。口腔ケアはスポンジブラシやガーゼを使った口腔清拭でおこないます。スポンジブラシやガーゼに水を湿らし口の中を清掃していきますが、しっかりと水を絞り誤嚥しないように気をつける必要があります。経管栄養注入後は逆流する可能性があるので口腔ケアを控えてください。また、口腔ケア時に経管栄養チューブの異常が見られた場合には医療職に報告します。
【意識障害のある利用者の口腔ケア】
姿勢を意識し誤嚥や窒息が起こらないように注意が必要です。口腔ケアの際は必ず医療職に確認をしましょう。
【無歯顎の利用者の口腔ケア】
義歯の清掃のみで口腔内はうがい程度で清掃していない場合が多い。総義歯の場合、接触面である顎提や口蓋に多くの細菌が繁殖しているため、口腔粘膜用清掃用具を使用した口腔ケアが必要です。
まとめ、感想
今回は整容行為について解説していきました。また、様々な利用者の状態に合わせて適切な口腔ケアを心がけてください。間違った判断で口腔ケアを行う事は、誤嚥につながります。もし、自分だけでは判断できない場合には医療職や上司に相談しましょう。今回説明した整容は適切に行うことにより清潔を保つ効果もありますが意欲の向上にもつながります。人は清潔にしその場に応じたファッションや化粧が必要です。また、整容と関係する利用者の身支度についても我々介護従事者は気を配らなければなりません。
身支度については違うページで詳しくまとめていますので下記のページを参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン46「生活支援技術〜更衣〜」≫
本日も勉強お疲れ様でした。
タグ:介護福祉士,口腔ケア,生活支援技術,細菌,試験範囲,誤嚥,身支度
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