令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン51「生活支援技術〜食事介助(前半)〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回は介護福祉士の試験範囲である「生活支援技術」の中から食事介助について説明していきたいと思います。食事の大きな目的は、「栄養素を摂取する」「体の健康を維持、増進する」といった目的があります。また生きていく上で欠かせないものとなります。しかし間違った知識と技術でを食事介助を行うと利用者の健康状態に関わることもあり取り返しのつかないことにもなりますので、しっかりと学んでおく必要があります。
目次
・食事介助のポイント
・食事介助に使われる自助具について
・食事を取るときの姿勢について
・利用者の状況に応じた食事介助
・誤嚥について
・誤嚥しやすい食品
・まとめ、感想
食事介助のポイント
食事介助は、間違った介助を行うと誤嚥や窒息につながります。また食欲の低下にも関係してきますのでしっかりとしたポイントを押さえておく必要があります。ポイントは以下の通りになります。
①利用者に向けて食事を配膳する。
②食事介助行う介助者は座ったりしゃがんだりし、利用者と同じ目線の高さにする。
③ご飯を食べ始める前にお茶や汁物なので口の中を湿らせる。
④箸やスプーンは下から口元に運ぶ。
⑤ 一口の量やスペースは利用者に合わせて行う。
⑥主食、副食を交互に食べてもらいバランスよく食事の提供を行う。
⑦しっかりと飲み込んだことを確認し、次の食べ物を口に運ぶ。
⑧食後は口腔ケアを行う。
⑨食後はすぐにベッドで横にならない。
⑩食事や水分摂取量は記録しておく。
食事介助に使われる自助具について
体の機能上に障害があり1人で食事が取れない利用者でも自助具を使うことにより、残存能力を生かした食事をすることができる場合もあります。しっかりと私たち介護者が様々な自助具や福祉用具を把握し利用者と検討して可能性を引き出すことも介護職の役目です。
自助具には、先の曲がるスプーンやフォーク、握力がなくてもしっかりと握れない人のための箸、お椀に取っ手がついたもの、ベルトがついたスプーンやフォークなど様々なものが存在します。
食事を取るときの姿勢について
食事を取る時はしっかりと嚥下できるようにし、姿勢の保持ができるよう安定した状態で食事を摂取します。
【食事の姿勢のポイント】
①両側の足底が床についている。車いすの場合はフットレストから足を下ろす。
②椅子に深く腰をかける。
③肘がテーブルに乗る高さになっている。
④体が左右に傾いておらず安定している。
⑤顎が下がっている。
また、利用者のADLによっては適切な福祉用具を活用したり、姿勢が安定するような工夫も必要です。
利用者の状況に応じた食事介助
【全介助の利用者の場合】
車いすに移乗できる場合は、車いすに座ってもらい食堂で食べてもらいます。ベッド上で食事する場合は、出来る限りベッドをキャッチアップし背もたれを起こす必要があります。この場合、体勢の保持ができない利用者の場合にはあまりキャッチアップしすぎないように気をつける必要があります。
膝の下にクッションをかましたり足を上げることによってずり落ち防止になります。
頭の後ろには枕やクッションを置き、顎が下がるようにする。
【片麻痺の利用者の場合】
安定した姿勢を保持し、患側に倒れてくる利用者の場合はクッションを利用し倒れてこないようにする必要があります。食事介助は健側からおこないます。患側は口腔内に食物が残りやすいので注意が必要です。
【視覚障害のある利用者の場合】
情報の提供が必要です。食べ物の位置を時計の文字盤になぞらえる「クロックポジション」で利用者に説明します。例えば「3時の方向に〇〇があります」と情報提供を行います。時間の方向は利用者から見た時計の文字盤で説明する必要があります。
【構音障害のある利用者の場合】
嚥下障害があることも多いので、食事中はしっかりと咀嚼していただき嚥下をしてもらうことに集中してもらいます。必要な時以外は話しかけないようにします。

誤嚥について
誤嚥とは食道に運ばれるはずの食べ物や飲み物、唾液などが謝って気管に入ってしまうことです。飲み込んだ食物が大きい場合には気管を閉鎖して窒息死に至ることもあります。
また食物が気管を通って肺に入ることにより、細菌が発生し誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。食事中に咳き込みが見られ、喘鳴が聞かれた場合には、誤嚥の疑いがあります。
【誤嚥しないための注意点】
①よく噛んで、飲み込む。
②頭部を前に傾け顎を引いた状態で食事を摂取する。
③食事前に嚥下体操やむせ込みの練習などを行う。
④食事を摂取する前にお茶や汁物で口の中を湿らす。
⑤餅やこんにゃくなど誤嚥しやすい食品を避ける。
【誤嚥しないための食事介助】
①一口の量は少なめにする。
②食べ物は口腔の前のほうに入れる。
③飲み込んだことを確認し、口に入れる。
④集中してもらうため咀嚼しているときに、むやみに話しかけない。
誤嚥しやすい食品
嚥下障害のある利用者は、普通食では飲み込みが難しい場合、軟食、ミキサー食、ペースト状、ムース食にし飲み込みやすいようにします。また汁物やお茶などにはとろみをつけて提供する場合もあります。食事の温度も暖かいものは60~65度、冷たいものは10度~15度位で提供します。誤嚥しやすい食品は避け、飲み込みやすい食品を優先した献立が必要です。それでは飲み込みにくい食品、飲み込みやすい食品とはどのようなものがあるか説明していきます。
【誤嚥しやすい食品】
①水、お茶、味噌汁などの水分
②パンや芋などパサパサしたもの
③こんにゃくやイカなど噛みにくいもの
④もち、のり等の粘着するもの
【誤嚥しにくい食品】
①ヨーグルト、卵豆腐、プリン、ゼリーなどの滑りが良いもの
②とろみのかかった食品、またはとろみをつけたもの
③柔らかくて噛みやすもの
まとめ、感想
施設で働いている介護職の方は、食事介助を行う機会が多いと思います。私も施設で働いているときは時間に追われながら食事介助を行うので、利用者と目線を合わせるようゆっくりと座って食事介助を行えないこともありました。今では反省しています。
間違った知識や技術で食事介助行うと利用者の命にも関わります。今回は、利用者には美味しく食べてもらうよう介護福祉士の試験範囲と言う目的だけではなく、実際の現場に関わる内容の解説でした。
また、食事介助についての範囲はたくさんありますので前半と後半に分けて投稿していきます。次は後半について投稿していきますのでどうぞよろしくお願いします。
タグ:とろみ,介護福祉士,嚥下,姿勢,自助具,試験範囲,誤嚥,食事介助
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