令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン55「生活支援技術〜排泄介助〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。介護福祉士の試験範囲から試験合格に向けて様々な分野から解説していきます。今回、解説するのは「生活支援技術」の中から「排泄」についてまとめていきます。
目次
・排泄介助の注意点
・トイレの種類について
・トイレ介助について
・ポータブルトイレについて
・尿器と差し込み便器について
・まとめ、感想
排泄介助の注意点
排泄介助は、他の援助よりも回数が多く、利用者、介護者ともに身体的、または精神的な負担が大きく関わっています。介助を行う際に気をつけて欲しい事は下記になります。
【排泄介助に注意するポイント】
①利用者の尊厳を保持する。
②プライバシーの保護をする。
③利用者に応じた排泄介助の提供を行う。
④安心して気持ちよく行えるように環境を整える。
上記のようなポイントに注意し排泄の自立を維持する事は、利用者の尊厳を保持し生活の質(QO)の向上にもつながります。失禁したからといってすぐにオムツに切り替えるようなことはせず、利用者がストレスや羞恥心を感じることなく排泄できるように配慮する必要があります。
また個室階の部屋で排泄を行う場合には他の利用者の存在にも配慮する必要があります。
トイレの種類について
トイレは大きく分けて洋式トイレと和式トイレに分かれます。基本的には、洋式トイレの方が姿勢の保持がしやすく、立ち上がり等も考慮すると介護環境には向いています。トイレは、利用者に合った環境に整える必要がありそのために以下のような用具が用いられます。
【補高便座】
洋式トイレの便座を高くするために便座、便器に取り付ける道具です。関節リウマチの人に使われることが多い。便座を高くすることにより立ち上がりが楽になります。
【電動式便座昇降機】
洋式トイレに取り付ける道具であり、スイッチ操作で便座の高さを上下に変えることができます。その利用者のADLに合った高さの調節が可能。
トイレ介助について
トイレは基本、洋式便所で行うことが多く施設や在宅でも洋式トイレ化が進んでいます。それでは排泄介助する際にどのようなポイントに注意し行うのか解説していきます。
【トイレでの姿勢】
しっかりと便座に座り安定している事が重要です。便座に座ったときには足底が床にしっかりとついているか?また、腹圧を高めるための前傾姿勢が取れているか?を確認します。
【排泄後の介助】
利用者自身が自分で動けない場合は、介助者が介助を行います。
尿路感染症予防のため会陰から肛門に向けて拭きます。
感染症予防対策のため介助者は、使い捨て手袋を着用します。
その後、利用者、介助者の手洗いも忘れずに行います。
【ポータブルトイレでの排泄介助】
片麻痺がある利用者の場合ポータブルトイレは基本、健側に置きます。
座面は、座位姿勢時に足底が床につき、排泄姿勢が取りやすい高さに設定します。
必要時にはベッドにスイングアーム介助バーを設置すると上がしやすくなります。
排泄物は臭いの原因にもなりますので速やかに片付けます。
カーテンやパーティションを使用しプライバシーや羞恥心に配慮する必要もあります。

ポータブルトイレについて
ポータブルトイレは尿意や便意はあるがトイレまでの移動が困難な利用者に対して使用します。日中はトイレを利用し、夜間だけポータブルトイレを使用している利用者もいます。ポータブルトイレには様々な種類があり、利用者のADL、過ごしている環境などを考慮し選びます。それではポータブルトイレの種類について説明します。
【プラスチック製ポータブルトイレ】
軽量で持ち運びがしやすい。軽量なので安定性に欠けます。
【木製いす型ポータブルトイレ】
重量感があり持ち運びしにくいが安定性がある。足を引けるので立ったり座ったりしやすい形状。見た目が家具調なので居室に置いていても他のポータブルトイレより気にならない。
【ベッドサイド型ポータブルトイレ】
重量感があり持ち運びしにくい安定性は良い。座位や移乗に適している。
【コモード型ポータブルトイレ】
金属製のものが多い。座面の高さは調節可能で立ち座りがしやすい。また、掃除もしやすいというメリットもありますが、外観が日本の室内にマッチしないことが多い。
尿器と差し込み便器について
尿器や差し込み便器は、トイレで排泄できない利用者が使用します。トイレまでは行けないが、尿意や便意を感じることができる場合に適しています。トイレまで行けないからといってすぐにオムツの着用を勧める事はよくありません。
【尿器の使用方法】
《男性の場合》
男性用の尿器を使用します。男性の場合は、側臥位の体勢から尿器の受尿口に尿が入るようにします。
《女性の場合》
女性用の尿器を使用します。女性の場合は、仰臥位の体勢から尿が飛び散らないように両膝を閉じてもらい、受尿口を陰部にあてて尿器に尿が入るようにします。
【差し込み便器】
差し込み便器は尿器と違い、女性用、男性用はありません。
臀部への跳ね返りを防ぐため、差し込み便器内にトイレットペーパーを敷きます。
男女ともに肛門部が差し込み便器の中央にくるようにする。さらに男性の場合は、尿意が同時に起こることが多いので尿器の準備も共に行います。
女性の場合は、トイレットペーパーを恥骨部から会陰部、差し込み便器の底までかけるようにしの尿の飛び散り防ぎます。
ベッドをギャッチアップすることにより腹圧がかけやすくなり、直腸肛門角が鈍感になって排便しやすくなります。仙骨部に差し込み便器の縁が当たると痛いので注意する必要があります。
まとめ、感想
今回はトイレ介助についてまとめていきました。ポータブルトイレは重いものから軽いものがあります。軽いものの場合には、手すりを持って移乗をする際にトイレごと転倒する可能性もありますので注意が必要です。またポータブルトイレの下に滑り止めマットを敷くことによりさらに安定感が生まれます。
ここでの試験のポイントは、すぐにおむつの着用を促すのではなく様々な社会資源を活用し自立に向けたサービスやアドバイスが必要ということです。また、その際には排泄介助についても理解する必要があります。
まt、この投稿と関係するおむつ交換に関しては、違うページでまとめていますので下記のページを参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン56「生活支援技術〜おむつ交換〜」≫
次回はおむつの交換や種類等についてまとめていきたいと思います。
タグ:おむつ交換,トイレ介助,ポータブルトイレ,介護福祉士,排泄,試験範囲
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