和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン68「発達と老化の理解〜成長と発達〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回は介護福祉士の試験範囲から発達と老化の理解」についてまとめていきます。その中でも人間の成長と発達についてこのページでは解説していきます。

目次

・成長と発達の定義

・ハウィガーストが提唱した「発達課題」

・ピアジェが提唱した「発達段階説」

・フロイトが提唱した「発達段階説」

・エリクソンが提唱した「発達段階説」

成長と発達の定義

成長及び発達の定義は次の通りになります。

【成長】

発育に伴い、身長、体重など、身体が量的に大きくなっていくこと。

【発達】

受胎から生涯を閉じる死までの間に心身の形態や構造、機能が質的に変化すること。また、発達がピークを迎え、心身機能や精神機能が低下していくことを老化といいます。

発達に影響する要因

発達はある時期までに獲得しないと獲得しにくいものもあります。その時期のことを「臨界期」といいます。

発達に影響する要因としては、遺伝的要因経験的要因があります。生得説と経験説は、それぞれどちらかの要因を重視した考え方であり、どちらの良いも影響していると考えられるのがジェンセンが提唱し相互作用説シュテルンが提唱した輻輳説です。それでは発達に関しての考え方を紹介していきます。

【生得説(遺伝説、成熟説)】

発達は遺伝により受け継がれた素質に影響を受けるとする考え方。ゲゼルが提唱しましたた。

【経験説(環境説、学習優位説)】

発達は生育環境での経験の影響を受けるとする考え方。ワトソンが提唱しました。

【相互作用説】

遺伝による素質生育環境での経験が相互に作用して発達に影響を及ぼすとする考え方。ジェンセンが提唱しました。現在ではこの説が広く受け入れられています。

【輻輳説】

発達は遺伝にも経験にも影響を受けるが、遺伝的要因経験的要因がそれぞれ独立して影響を及ぼすとする考え方。シュテルンが提唱しました。

ハウィガーストが提唱した「発達課題」

ハヴィガーストは、人間の発達段階を「乳幼児期→児童期→青年期→壮年期→ 中年生→老年期」という段階を得て発達していくと提唱しました。詳しい内容は次のようになります。

【乳幼児期】

乳幼児期の発達課題は、

排泄のコントロールを習得する。

歩行を習得する。

固形物を食べることを習得する。

善悪の区別を習得する。など。

※乳幼児期の標準的な心身の発達では、2歳ごろにニ語文を話すうになる。

【児童期】

児童期の発達課題は、

普通の遊戯に必要な身体的機能を取得する。

読み書き計算などの基礎的技能を習得する。

③日常生活に必要な概念を発達させる。

人格の独立性を達成する。など。

【青年期】

青年期の発達課題は、

同年齢の男女との洗練された新しい関係を築く。

②両親や他の大人たちから情緒面で自立する。

経済的独立に関する自信を確立する。

④社会的に責任のある行動をとる。

男女の区別の学習とその役割の適切な認識。など。

【壮年期】

壮年期の発達課題は、

配偶者を選ぶ。

子供を育てる。

職業につく。

市民的責任を負う。など。

【中年期】

中年期の発達課題は、

①大人としての市民的、社会的責任を達成する。

②一定の経済的生活水準を築き、維持する。

③ 10代の子供たちが信頼できる幸福な大人になれるよう援助する。

④自分と配偶者とは人間として結びつく。など。

【老年期】

老年期の発達課題は、

①肉体的な強さと健康の衰退に適応する。

引退と収入の減少に適応する。

配偶者の死に適応する。

社会的、市民的義務を引き受ける。など。

ピアジェが提唱した「発達段階説」

ピアジェは思考・認知の発達は子供環境相互作用によって行われるとし、発達段階を4段階に分類しました。

【感覚運動期(0〜2歳ごろ)】

刺激感覚器官が結びつき、動作が形成される。経験によって形成される、行動する際の枠組みであるシェマができます。

【前操作期(2〜7歳ごろ)】

ものの見え方やみかけの変化に影響を受ける直感的思考の時期。以前に見た他者の行為を真似る「ごっこ遊び」がさかんになります。

【具体的操作期(7〜11歳ごろ)】

思考が体系化される具体的思考の時期。見かけの老化に惑わされない思考ができます。

【形式的操作期(11歳ごろ〜)】

「愛」「正義」等の抽象的な概念を理解し、倫理的な思考ができるようになります。

フロイトが提唱した「発達段階説」

フロイトは、リビドー(性的欲求)の現れ方と、充足の程度によって、乳幼児期から青年期までの発達段階を6段階に分類しました。

【口唇期(0〜1歳ごろ)】

授乳や食事の際に口唇から快感を得ます。

【肛門期(3歳ごろまで)】

排泄のコントロールので快感を得ます。

【男根期(5歳ごろまで)】

性的に対する関心、異性の親への性的な関心が現れます。

【潜在期(11歳ごろまで)】

同性の親の同一化が進み、リビドーが潜在化します。

【思春期(16歳ごろまで)】

身体的成熟に伴い、異性に対する性的な関心が増します。

【性器期】

異性に対する愛情の感性

エリクソンが提唱した「発達段階説」

エリクソンは、生涯発達(ライフサイクル)の視点で心理的・社会的側面の発達を8段階に分類しました。また、発達課題が達成できなかった際の心理的、社会的危機を設定しました。

【乳幼児期(0〜1歳ごろ)】

母親(養育者)との関係を通じて、自分を取り巻く社会が信頼できることを感じる段階。

発達課題は、「信頼感の獲得」

「信頼」対「不信」

【幼児期前期(1〜3歳ごろ)】

排泄などの基本的なしつけを通じて、自分自身の心身をコントロールすることを学習する段階。

発達課題は、「自律感の獲得」

「自律性」対「恥、疑惑」

【幼児期後期(3歳〜6歳ごろ)】

自発的な行動を通して、社会に関与していく主体性の感覚を学習する段階。

発達課題は、「自発性または積極性の獲得」

「積極性」対「罪悪感」

【児童期(7〜11歳ごろ)】

学校生活や家庭生活を通して、有能感を獲得する段階。

発達課題は、「勤勉性の獲得」

「勤勉性」対「劣等感」

【青年期(12〜20歳ごろ)】

アイデンティティ(自己同一性)を確立する段階。

発達課題は、「同一性の獲得」

「同一性」対「同一性拡散」

【成年期初期(20〜30歳ごろ)】

結婚や家族の形成などによって、親密な人間関係を築き、連帯感を得る段階。

発達課題は、「親密性の獲得」

「親密性」対「孤立」

【成年期中期(30〜65歳ごろ)】

子育てや仕事を通して、次の世代を育てていく段階。

発達課題は、「生殖性の獲得」

「生殖性」対「停滞」

【成年期後期(65歳ごろ〜】

これまでの自分の人生を固定し、新たな方向性を見出す段階。

発達課題は、「統合感の獲得」

「自我統合」対「絶望」

まとめ、感想

今回は発達段階についての理論についてまとめていきました。出題頻度も高い分野なのでしっかりと覚えておく必要があります。

私自身、介護福祉士の試験に臨んだ時は、この分野に関しては人と発達段階が一致せず苦労して覚えたことを覚えております。

また補足で覚えておいてほしい事は、

「社会的参照」です。社会的参照とは、養育者と友人が話しているときに、最初は身近な養育者に子供がしがみついていたが、しばらくすると緊張が解けて養育者の友人にも笑顔見せるようになること。

「クーイング」とは、乳児が機嫌の良い時に「あー」「うー」などの声を出すことです。これに対して周囲の人が反応することで会話が始まります。

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