和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン70「発達と老化の理解〜老化による身体的変化〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回の投稿でも介護福祉士の試験範囲から発達と老化の理解」について解説していきます。その中でも老化に伴う心身の変化についてどのようなことが生じるかをまとめていきたいと思います。

目次

・老化による身体的変化

・老化による知能の低下

・老化による感覚機能の低下

・人間の記憶の種類

・ライチャードの高齢者の人格分類

・老年期うつ病

・まとめ、感想

老化による身体的変化

人間は老化することによって身体的変化が起こります。それらは大きく分けて2つあります。2つとは以下の通りになります。

【形態的変化】

身長の低下、体重の減少、白髪、脱毛、シワの増加、シミの増加、肌の乾燥など。目で見てわかる老化現象のことをいいます。

【機能的変化】

呼吸機能の低下、咀嚼機能の低下、嚥下機能の低下、消化吸収機能の低下、代謝機能の低下、循環機能の低下、運動機能の低下、神経機能の低下など。様々な機能の低下により病気の発症や誤嚥のリスクなどが増加します。

循環機能の低下の場合、動脈硬化高血圧不整脈などが考えられます。

運動機能の低下の場合、筋力の低下骨筋組織の脆弱化関節可動域の制限反射速度の低下などが考えられます。

神経機能の低下の場合は、平衡感覚の衰えなどが考えられ転倒のリスクに注意する必要があります。

老化による知能の低下

人間の知能は、大きく分けて「流動性知能」「結晶性知能」の2種類が存在します。高齢になっても比較的維持されやすいのは結晶性知能である。

【流動性知能】

暗記力や情報処理能力などといった新しいことを学んだり、新しい環境に適応する能力のことです。生まれつきの能力と強く関係しています。30歳代が最も高くそれ以降は低下する傾向にあります。

【結晶性知能】

これまでの経験と身に付けてきた知識からなる能力です。学校での教育や社会経験などの環境条件の影響を受けやすいといった特徴があります。比較的維持されやすく、60歳代が最も高く、70歳以降になると低下する傾向にあります。

老化による感覚機能の低下

老化により人間の五感の感覚が低下していきます。感覚機能の低下は個人差がありますが、一般的に高齢になると鈍化していきます。

【視覚機能の低下】

視力、調整力の低下、視野が狭くなる、明順応・暗順応の低下、色系と比べて青色系の識別が困難になる等の影響が出ます。

【聴覚機能の低下】

高域から感度が低下します。老化による難聴は「感音性難聴」であり、低い声の方が聞き取りやすい。

【嗅覚機能の低下】

匂いを感じる嗅覚機能が鈍化しています。

【味覚機能の低下】

甘み、苦味、酸味、塩味、旨味の感受性の鈍化。または、味覚に変化します。高齢者の食事には、塩分の多い濃い味に気をつけます。

【触覚機能の低下】

温度感覚の鈍化、痛覚の鈍化がみられます。

人間の記憶の種類

人間の記憶には3段階あり、「感覚記憶」→「短期記憶」→「長期記憶」の順に記憶が転送されます。それではこれら3つの力について説明していきます。

【感覚記憶】

感覚器に刺激として入ってくる視覚や聴覚などのイメージです。高齢になると感覚器の機能低下により衰えます

【短期記憶】

電話番号など瞬間的に覚える記憶のことです。高齢になると注意力の低下により衰えます。

【長期記憶】

これまでの知識や経験と結合して長期間保持される記憶のことです。長期記憶の中でも3段階に分けることができます。

《意味記憶》

単語や記号、物の名前などの記憶であり、高齢になっても比較的を衰えにくい。

《エピソード記憶》

自分の経験や出来事の記憶であり、高齢により衰えやすい。

《手続き記憶》

自転車の乗り方など体で覚えた技能などの記憶であり、高齢になっても比較的衰えにくい。

ライチャードの高齢者の人格分類

ライチャードとは、定年退職後の男性高齢者の人格を5つに分けました。その5つの中でも「社会に適応的」な分類と「社会不適応」の分類に分けられました。

【社会的に適応的】

《円熟型》

自分及び自分の人生を受け入れ、社会参加に積極的で、毎日を建設的に暮らそうとしている状態。

《安楽椅子方(ロッキングチェアー型)》

自分の現況を受け入れているが、他人に依存しており受身的であり、定年退職して責任から解放されたことを歓迎している状態。

《防衛型(装甲型)》

定年退職後も活動を継続することで、老化への不安を抑圧して、自己防衛している状態。

【社会不適合】

《外罰型(憤慨型》

自分の過去や老化を受け入れられず、自分の過ちや失敗を他人のせいにして非難、攻撃する状態。

《内罰型(自責型)》

自分の人生を失敗とみなし、自分を責めて死を恐れていない状態。

老年期うつ病

高齢者になると喪失体験などにより、うつ病の発症が現れやすくなります。特に初老期(50歳〜60歳半ば)に発症しやすい傾向にあります。老年期の喪失体験では喪失→悲嘆→回復」といったプロセスで立ち直っていきます。それでは老年期のうつ病についてまとめていきたいと思います。

【老年期うつ病について】

《要因》

環境の変化、精神的要因、脳疾患やパーキンソン病、糖尿病などの身体疾患などが関係している

《特徴》

青年期のものと比べ慢性化しやすくすい。また落ち着いたと思っても再発しやすく認知症のリスクファクターともなりえます。

《症状》

頭痛、腰痛などの身体的症状が出やすいが、「仮面うつ病」というような抑うつ気分が軽く、うつ状態であることがわかりにくくなることがあります。また、「仮性認知症」のように記憶障害や見当識障害など認知症にいた症状が現れることもありますので注意が必要です。

【老年期うつ病への対応】

①励ましの言葉を控える、受容的な態度をとる。

②全身の観察と身体ケアを行う

③自殺の予防をする。

まとめ、感想

歳をとるとさまざまな喪失体験があります。人間関係による喪失、身体的な機能の喪失など。特にパートナーなどの家族の喪失が最もダメージが多く、うつ状態になる傾向が高いようです。また、初老期のうつ病では今まで一生懸命に頑張ってきた仕事がなくなることにより、自分自身の役割が喪失し、生きがいを失うことも多くあります。

仕事の卒業をしても、仕事に対して意匠権名向き合っていた熱意を注げる自分自身の生きがいを持って楽しく生活していくことが重要だということです。

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