和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン86「認知症の理解〜MCIと物忘れの違い〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲について解説していきたいと思います。今回、解説していく内容は「認知症の理解」の中から高齢者に多く見られる「物忘れ」「MCI (軽度認知障害)」について解説していきたいと思います。

目次

・物忘れとMCI (軽度認知障害)

・認知症の行動・心理症状(BPSD)とは

・認知症の中核症状

・認知症と間違えられやすい症状

物忘れとMCI (軽度認知障害)

【加齢に伴う物忘れ】

加齢に伴う物忘れは、体験の一部分を忘れるものであり、認知症の物忘れとは違ったものがあります。認知症の面の忘れでは体験全体を忘れることが多く、ご飯を食べたにもかかわらずご飯を食べていないと勘違いし、その記憶の部分が欠けてしまいます。これはエピソード記憶の障害と言われます。

【MCI (軽度認知障害)】

加齢に伴う忘れものでも、短期間に急に多くなったり、心理テストで年齢相応の記憶低下を超える所見が出たりした場合には、認知症の可能性が高いとされます。軽度認知障害は認知症とは違い、認知障害が一時的である場合もあり、改善する場合もあります。ただし、50%以上の軽度認知症の方が認知症に発展する可能性があるといわれます。

認知症の行動・心理症状(BPSD)とは

認知症の中でも原因疾患にかかわらず、共通して現れる症状のことを中核症状といいます。また、症状が現れないこともあるのが行動・心理症状(BPSD)といわれる周辺症状です。

それでは行動・心理症状(BPSD)について触れていきます。

【行動症状】

徘徊、興奮などの行動異常、不潔行為、食べ物以外のもの食べる異食、うなり声などの行動に現れる症状。

【心理症状】

不安感、不眠、抑うつ、現実にはないことを見たり聞いたりする幻覚、妄想などの症状。

認知症の中核症状

認知症の中核症状は、脳の認知機能の障害が原因とされ、記憶障害、見当識障害、失語・失認・失行、計算力の低下、実行機能障害などが見られます。

【記憶障害】

記憶障害は、最近の一定に関する出来事の記憶が障害される。その後、古い記憶にまで障害が及びやがて自分の名前や年齢も忘れてしまいます。記憶障害は次の2つに分類されます。

《記銘の障害》

新しいことを覚えることができない。

《想起の障害》

記憶したことを思い出せない。

【見当識障害】

時間、場所、自分の名前、年齢、自分と周囲の関係などの日常生活に必要な情報を理解する能力が失われます。認知症の進行に伴って障害の程度も変化します。

【失語・失行・失認】

《失語》

構音機能や聴覚に障害がなく、話す・聞く・書く・読むと言う言語機能が選択的に失われた状態のことです。言葉のやりとりができない状態として認知症の軽度から現れます。

《失行》

運動機能が損なわれていないのに、目的に沿った適切な行動が取れなくなります。例えば衣服を適切に着ることができない「着衣失行」系列的行為の障害でマッチを擦って煙草に火をつける「観念失行」、空間的形態を構成できない「構成失行」手足に触れるものを離そうとしない「肢筋運動失行」顔の表情を指示通りにできない「顔面失行」がある。

《失認》

感覚機能が損なわれているために、見たり聞いたりしたことが正しく認識できなくなります。スプーンなどありふれたものを見ても認識できない「視覚失認」音は聞こえるが何の音が認識できない「聴覚失認」よく知っている人の顔を見ても認識できない「相貌失認」見慣れた場所を認識できない「環境失認」がある。

【計算力の低下】

簡単な計算力が低下し、基本的な数の概念が崩壊していきます。

【実行機能障害】

判断力の低下により計画を立てて行動ができなくなります。

認知症と間違えられやすい症状

うつ病やせん妄は、認知症とよく見た症状が現れることがあります。それではどのような症状があるか説明していきます。

【うつ病】

うつ病とは、うつ気分、意欲の低下、頭痛、不眠、食欲不振などの身体症状が現れます。このように認知症と似た症状が見られ、改訂長谷川式簡易知能評価スケールなどでも得点が低下します。しかし、回復すると元に戻るので「仮性認知症」とも言われ認知症とは違う疾患です。

【せん妄】

専門は、意識の混濁、錯覚、幻覚、妄想、不穏、興奮などの意識障害が見られます。また夜間に起こることが多く夜間せん妄」が特徴的です。幻覚や妄想などの認知症と似た症状を示すが認知症と違いは、急激な変化が生まれることと、1日の中で症状が変動する日内変動」が特徴的です。主な原因は脳梗塞などの脳の循環障害で、心筋梗塞、肺炎などの感染症、高熱、下痢などの脱水、栄養失調、睡眠薬や向精神薬の過剰投与、アルコール中毒などが原因とされています。

まとめ、感想

今回の投稿ではしっかりと認知症による症状や物忘れについて把握しておく必要があります。また、認知症と違う疾患の間違いをしないようにポイントを押さえておく必要があります。例えばよく間違えられやすいうつ病では、判断障害は認知症ではよく見られたりします。このように症状も分けて覚えておく必要がありますね。

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