令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン93「認知症の理解〜認知症の検査と治療〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から「認知症の理解」について解説していきたいと思います。
今回解説していく内容は認知症の原因疾患を探るための診断、また検査。そして、その認知症に関する治療について解説していきたいと思います。
目次
・認知症のスクリーニング検査
・認知症高齢者の重症度の評価
・認知症に関わるその他の検査
・薬物以外での認知症に対しの治療方法
・まとめ、感想
認知症のスクリーニング検査
認知症のスクーリング検査として用いられる検査は「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」「ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)」などがあります。これらの評価方法は本人への質問を口頭で行うことが多いのが特徴です。今回はその検査内容について説明していきたいと思います。
【改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)】
年齢、日時、場所、計算、記憶などを評価する9つの質問で構成されます。正誤を点数化し認知症の可能性を測ります。30点満点で20点以下の時に認知症が疑われます。
【ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)】
日時、場所、計算、記憶、言語力などを評価する11の質問で構成されています。正誤を点数化し、認知症の可能性を測ります。図形模写があるのが特徴です。30点満点で23点または24点以下で認知症が疑われます。
認知症高齢者の重症度の評価
認知症の住所を評価する場合に、これらの基準が用いられます。日常生活に見られる行動の観察に基づいて行う「FAST」「CDR」「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」があります。
【FAST(Functional Assess ment Staging)】
生活機能面から観察を行い評価します。認知症の障害なしから、非常に高度の認知機能低下まで7段階のステージがあります。1985年アメリカのライスバーグが考案しました。
【CDR (Clinical Dementia Rating)】
記憶、見当識、社会適応など6項目について、それぞれの度合いを5段階評価で行います。それらを統合して、健康、認知症の疑い、軽度認知症、中等度認知症、高度認知症に評価します。
【認知症高齢者の日常生活自立度判定基準】
厚生労働省が作成した指標です。日常生活に関する支障などの症状や行動を目安に、判定基準によりランク付けします。
※「FAST」や「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」については、違うページで詳しくまとめていますので、下記のページを参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン66「介護過程〜日常生活自立度〜」≫
認知症に関わるその他の検査
認知症評価スケール以外に行われる検査に画像検査があります。認知症の疑いがある場合、精密な脳の検査を行います。MRI (磁気共鳴画像)、CT(コンピューター断層撮影)、脳血流検査で脳の萎縮や血流に異常があるかどうかなどを確認します。
薬物以外での認知症に対しの治療方法
【回想法】
回想法には個人回想法とグループ回想法があります。利用者に思い出話を話してもらい、聞き手が共感的に捉えることで、心理的な安定や高齢者同士の交流を図り、豊かな情動をもたらすことが期待できます。毎回、同じ場所で開催し、家族も参加して昔の楽しかった時の写真を見ながら話を聞くなどすると、記憶を呼び起こしやすい。事実関係が異なっていても否定せず、思い出したくない話は無理にさせないようにします。
【リアリティー・オリエンテーション(RO)】
現実見当識訓練ともいわれ、少人数のグループでプログラムに沿って実施されます。日付や場所を繰り返し質問するなどして現実認識を高めていくのが目的です。
【音楽療法】
歌ったり、簡単な演奏したり、音楽に合わせて体を動かしたりすることにより、心身ともにリラックスし、不安やストレスなどを軽減させます。自発性の向上、記憶力の改善、体力の強化などを向上させることを目的とします。
【運動療法】
認知症の早期に行うことにより、精神活動の活性化を図る場合と、進行後に、関節可動域訓練などにより日常生活能力を向上させる場合があります。
まとめ、感想
まだまだ認知症に対して効果的な薬物が開発されていないこともあり、認知症高齢者の 残存能力を維持するために非薬物療法も重要であると考えられています。
また、認知症で使われる抗認知症薬では悪心や下痢などの副作用も生じるためリスクも考えられます。今後どのように医療が発展しどのような療法が生まれていくのか期待しています。
タグ:テスト,介護福祉士,改訂長谷川式簡易知能評価スケール,療法,認知症
« 前のページに戻る