和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン106「障害の理解〜内部障害〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回は介護福祉士の試験範囲から「障害の理解」について解説していきます。今回解説していく内容は、内部障害について解説していきたいと思います。

目次

・心臓機能障害

・腎臓機能障害

・呼吸機能障害

・膀胱・直腸機能障害

・ヒト免疫不全ウィルス(HIV)

・肝機能障害

・まとめ、感想

心臓機能障害

心臓機能は、心臓の血管や神経に異常が生じ、心臓の機能が低下することで発生します。

【心機能障害の主な原因疾患】

《虚血性心疾患》

寒いときには、軽度の労作でも発作が起きやすい。動脈硬化による血流障害で神経に酸素不足が生じ痛みを感じる狭心症」、心臓の冠動脈の血流が通じなくなり、心筋の一部が壊死し、心臓に激しい痛みを感じる「心筋梗塞」があります。

《心不全》

心臓の能力低下で起こる体の不調。動悸、息切れ、呼吸困難、むくみなどが症状がみられます。生活習慣、食生活を見直す必要があります。

【心臓機能障害の利用者に対して介護の留意点】

①塩分や水分、動物性脂肪の摂取制限など、食事に注意する必要があります。

②便秘のときの排泄に注意が必要です。

③入浴は、ぬるめのお湯で心臓の負担を軽減する。

④呼吸困難などを軽快させる睡眠支援を行う。

⑤ペースメーカー装着者には、薬の管理のほか腎臓や呼吸器の状況について注意が必要です。医師の指示に基づいて支援する。

⑥人工弁置換手術を受けている人は、血栓ができやすく、血液が固まりにくくなる薬を服用しているため、出血傾向にあるため打撲や擦過傷に注意する。

また、心臓の疾患に関しては違うページで詳しくまとめていますので、下記のページを参考にしてください。

≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン81「発達と老化の理解〜循環器系の疾患〜」≫

腎臓機能障害

腎機能障害のレベルは個人によって様々である。合併症などもあり、疾患のレベルに合った介護を行う必要があります。

腎臓機能の低下を表す指標となる「糸球体濾過量」この値が正常な人の値の30%以下になったときに、慢性腎不全と診断されます。15%にまで低下すると生命の維持ができなくなり、末期腎不全の治療として透析療法や腎臓移植の対象となります。

【腎臓機能障害の種類】

《急性腎不全》

急速に機能障害が生じたもの。食欲不振、悪心、嘔吐、けいれんや昏睡の症状がみられます。

《慢性腎不全》

数ヶ月ないし数年かけて、持続性の機能不全に陥ったもの。むくみ、疲れ、吐き気、食欲低下、息切れなどの症状があります。

【腎臓の働き】

①老廃物の排出

②血圧の調整

③赤血球の産出亢進

④体液量と電解質の調節

⑤活性型ビタミン Dの産出

【人工透析の種類】

人工透析とは、腎不全で機能が低下した腎臓の代わりに、水分や電解質の調節、老廃物の除去を人工的に行う治療です。

《血液透析》

人工膜を利用します。週に2〜3回の定期的な通院が必要です。治療を始めると、途中で止めることができない。

《腹膜透析》

腹膜を介して水や老廃物を引き出し、内部環境を正常化します。一定期間、腹腔内への透析液の注入と廃液を反復します。腹膜カテーテルが挿入されているので、感染への注意が必要です。

《連続携行式腹膜透析(CAPD)》

腹膜透析の1種です。連続的に腹膜に透析液を注入しておこないます。1日に3〜4回透析液を交換する。通院は月に1〜2回で良い。

【腎臓機能障害の利用者に対する介護の留意点】

塩分、タンパク質、水分の制限などの食事管理、軽い運動と十分な睡眠、細菌性感染症の予防などに注意が必要です。また、薬の排泄が不十分で、副作用が強く出ることがあるため注意をする必要もあります。

呼吸機能障害

【呼吸機能障害の基礎疾患】

《慢性閉塞性肺疾患(COPD)》

肺結核後遺症、肺気腫、気管支炎などの総称です。主に喫煙が原因で発症します。肺に慢性の炎症が起こり、肺胞が壊れます。そのことにより肺自体が侵され、ガス交換がしにくくなります。息切れや咳嗽、喀痰が増加します。食事は高カロリーのものとし、入浴時はぬるめのようにします。

《脳出血、脳梗塞》

脳の障害により、呼吸をすることがが困難になる場合もあります。

《喘息》

気道が狭められ、呼吸をすることがが困難であります。

《筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー症》

神経や筋肉の障害により、呼吸をすることがが困難になります。

【呼吸機能障害の利用者に対する介護の留意点】

①慢性呼吸不全は、仰臥位がより起座位が楽に呼吸できます。

②気道感染に注意します。

③塵、ほこりを室内から除去し、常に衛生に配慮する必要があります。

④温度、湿度の調整を行う。

⑤本人はもちろんのこと、本人が過ごす室内は禁煙。強い香りや臭気など刺激のあるものを避ける。

【在宅酸素療法】

在宅で高濃度の酸素を含む空気を鼻カニューレを使い酸素濃縮器から吸入します。携帯酸素ボンベを用いれば、外出が可能です。

在宅酸素療法の注意点は、

①酸素吸入中は火気厳禁

②酸素量を自分で調整しない

膀胱・直腸機能障害

膀胱・直腸機能障害がある人は、ストーマと呼ばれる人工肛門や人工膀胱を増設している場合が多いです。ストーマを増設した人のことをオストメイト(仲間)と呼びます。

【消化器系ストーマ】

直腸癌、大腸がんなどの手術で臓器の一部を切除し、便を体外へ排出できなくなった場合に作られる人工肛門のことです。消化管ストーマのある利用者でも、入浴は可能であり、公衆浴場も利用できます。また、ストーマが増設された位置で便の性状や排泄回数が異なります。

【ストーマの位置による便の性状と排泄回数】

《回腸ストーマ》

液状便であり、持続的に排泄

《上行結腸ストーマ》

液状便〜粥状便、排泄回数は多い

《横行結腸ストーマ》

粥状便〜軟便、排泄回数は多い

《下行結腸ストーマ》

軟便〜固形便、排泄回数が多い

《S状結腸ストーマ》

硬便、排泄回数は少ない

【尿路ストーマ】

尿の排泄のために作られた人工膀胱の排泄口。排尿困難で残尿が多い場合、自分で尿道に管を入れて残尿排泄する自己導尿を行います。

【ストーマをつけた利用者の介護の留意点】

介護福祉職は、排泄物の入ったパウチ(袋)の交換を行います。ただし、介護職がストーマ装具を交換できるのは、皮膚の状態が安定していて、専門的な管理が必要な場合のみです。

ヒト免疫不全ウィルス(HIV)

ヒト免疫不全ウィルス(HIV)が増殖すると、体の免疫機能を維持することが難しくなります。その結果、免疫力が低下し弱い菌やウィルスなどが活性化して、感染症(日和見感染症)が起こります。ヘルペスウィルス感染症、ニューモシスチス肺炎、カンジダ症などが日和見感染症で発症します。

【エイズ(AIDS)】

後天性免疫不全症候群の総称です。HIVに感染して免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた23の合併症(日和見感染症)のいずれかを発症した場合に、エイズと診断されます。

感染経路は、性行為、輸血血液、血液製剤、母乳、臓器移植などがあります。

※HIVとエイズとは異なることに注意する。

【ヒト免疫不全ウィルスの利用者の介護の留意点】

手洗いをきちんとし、血液、体液、分泌物、汚染物に触れるときには手袋をします。感染防御のため、標準予防策(スタンダード・プリコーションズ)を採用します。

肝機能障害

肝機能障害には、脂肪肝、肝炎、肝硬変などがあります。肝硬変は肝臓がんになる確率が高いとされており重症化しやすい傾向にあります。肝硬変の症状としては倦怠感、黄疸、全身水腫などがあります。

【肝機能障害の利用者の介護の留意点】

肝臓は、障害が起きても自覚症状がないため、発見が遅れがちである。倦怠感、浮腫(むくみ)、黄疸などがないかしっかりと確認し、肝臓機能の疑いがある場合、早期に診察を進めるようにすることが重要です。

まとめ、感想

内部障害は、行動の制約が多く、また、見た目では障害が分かりにくく、周囲の理解を得にくいことがストレスになることが多い障害です。また、内部障害は、身体障害者手帳の対象であり、重症化し各種サービスが必要な場合には介護の対象となります。

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