和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン150「医療的ケア〜喀痰吸引の基礎〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から「医療的ケア」について引き続き解説していきます。今回、解説していく内容は喀痰吸引の基礎についてまとめていきます。

目次

・喀痰吸引を行う前の呼吸の確認

・呼吸困難による苦痛と障害

・喀痰吸引について

・痰の観察

・喀痰吸引を行う上での留意点

・まとめ、感想

喀痰吸引を行う前の呼吸の確認

喀痰吸引を行う前には必ず呼吸の確認を行う必要があります。呼吸は、口・鼻→咽頭→喉頭→気管→気管支→肺→肺胞の順番で取り込まれ、細胞から血液中に送られます。

それでは正常な呼吸と異常な呼吸についてまとめていきます。

【正常な呼吸】

《呼吸回数》

成人:1分間に12〜18回程度

乳児:1分間に約30回

5歳時:1分間に約25回

《呼吸音》

「スースー」といった空気の理かすかな音

《呼吸の仕方》

胸や腹部は比較的一定のリズムで呼吸に合わせて膨らんだり縮んだりする

《呼吸の苦しさ》

感じない

【異常な呼吸】

《呼吸回数》

呼吸回数の増加:障害、発熱など、いつもより体内で酸素を必要とする時。

呼吸器系の病気の人が歩行や入浴等の活動する時

《呼吸音》

「ヒューヒュー」「ゼーゼー」(喘鳴)

「ゴロゴロ」(痰や分泌物)

《呼吸の仕方》

体内の酸素不足の場合は、リズムが速くなったり、呼吸の感覚が不規則に長くなったり短くなったりする

呼吸困難の場合は、肩呼吸がみられたりします。

《呼吸の苦しさ》

呼吸困難を訴える、訴えなくても苦痛の表情や胸を掻き毟る行為が見られる、息が荒くなる。

呼吸困難による苦痛と障害

呼吸困難は不安と恐怖をもたらします。呼吸困難からくる体内の酸素不足によって、行動や意識に変化が生じます。軽度の酸素不足は注意力・判断力の低下が見られ、長期化すると意識が薄れて反応が乏しくなります。

意識がない人や話すのが困難な人も何らかのサインを出すはずなので、よく観察する必要があります。

呼吸がいつもと違うと感じたら、早急に医療職に連絡します。

喀痰吸引について

喀痰吸引は、喉や気管に溜まった痰を自力で出すことが難しい場合に、器具を使って痰を吸い出だす医行為(医療行為)です。

痰の観察

痰は、ちりや異物をとらえた余剰な分泌物です。通常は咳や咳払いをして排出します。

それでは痰の状態について説明していきます。

【正常な痰】

《色》

無色透明またはやや白色に濁っている

《粘性(粘り気)》

やや粘り気がある

《におい》

強いにおいはない

【異常な痰】

《色》

何かの感染がある場合は、白色の強い濁り、黄色、緑色

口・鼻・喉・気管に傷がある場合は、うっすらした赤色、赤い点々

以前に口・鼻・喉・気管に傷がある場合は、黒ずんだ赤色

《粘性(粘り気)》

サラサラしていて、透明色で量が増える場合は急性の気道の炎症、鮮やかな赤色の場合は救急対処伴う出血です。

粘り気が強いときには体内の水分不足も考えられます。

《におい》

腐敗臭、甘酸っぱい匂いの場合何らかの感染

喀痰吸引を行う上での留意点

【痰の貯留を示す状態】

痰は量が増えたり、粘性が増したりすると、口・鼻・喉・気管に溜まります。

口の中や喉でゴロゴロという音や、鼻の奥の方でズルズルという音が聞こえた場合には、痰が溜まっています

痰が絡むような音を伴いながら咳を繰り返している場合も痰が溜まっている状態です。

痰の貯留によって気道閉塞になった場合は、体内の酸素が不足するため、呼吸の苦しさや呼吸の仕方が変化して、顔色が青紫色っぽくなる(チアノーゼ)。全く空気が入らなくなると、窒息する可能性もあります。

【痰が増加する原因】

痰が増加する原因は、感染症誤嚥性肺炎治療器具等が口や鼻から入れっぱなしになっている事が考えられます。

体の水分が不足していたり、乾燥した外気を吸っていたりする場合にも端の粘り気が強くなります。

【喀痰吸引が必要な状態】

痰が増加している。

②咳をするための喉の反射や咳の力が弱くなり、痰を排出しにくい

痰が硬くなり、排出しにくい

【喀痰吸引の注意点】

介護福祉職が喀痰吸引をするときは、医師の指示書が必要です。

口の中から管を挿入する場合を「口腔内吸引」鼻の穴から挿入する場合を「鼻腔内吸引」といいます。

口から吸引したからといって鼻からの吸引が不要とは限らない。また鼻から吸引したからといって、口からの吸引が不要とは限らない。

吸引チューブなどの使用する器具や実施する人の清潔を保持することが大切です。吸引チューブによって口や鼻を傷つけないよう、静かに挿入し、利用者ごとに決められた吸引チューブの挿入の深さや痰を吸い取る圧(吸引圧)・挿入時間を守ります。

吸引前後の利用者の状態はよく観察します。

まとめ、感想

呼吸に異常があると、体内で様々な機能が低下します。また、重度の場合、生命維持が困難になります。痰によって呼吸ができない場合、喀痰吸引を行い、気道の確保を行う必要があります。また、吸引中は、利用者は十分な呼吸ができなくなるため、酸素が不足することもあるので注意が必要です。

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