令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン151「医療的ケア〜人工呼吸器と気管カニューレ〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から引き続き「医療的ケア」について解説していきます。今回、解説していく内容は人工呼吸器と気管カニューレについてまとめていきます。
目次
・人工呼吸器について
・人工呼吸器の仕組み
・気管カニューレについて
・子供の吸引
・まとめ、感想
人工呼吸器について
人工呼吸器は、圧力をかけて酸素を肺に送り込む医療機器です。体内に酸素を取り込んで、体外に二酸化炭素を排出する換気を助ける。
気管に空気を出入りさせる穴をあけて(気管切開)、気管カニューレを挿入し、そこからホース(蛇菅)を通して空気を送り込む侵襲的人工呼吸療法と、口と鼻または鼻のみを覆ったマスクを通して空気を送り込むひい侵襲的人工呼吸療法があります。
※侵襲的とは、手術のように、生体を傷つけること。
人工呼吸器の仕組み
人工呼吸器は、人工呼吸器本体と回路などの付属品を接続して使用します。
回路には多くの付属品を接続するため、接続がゆるんだり、ねじれたり、破損したりすることによって空気が漏れることがあります。
本体には、人工呼吸器が正常に作動していない時になるアラームが付いています。停電時に備えた電源の確保が必要です。
全身状態が安定している場合には、小型の人工呼吸器を装着したまま外出が可能なこともあります。
気管カニューレについて
気管カニューレは首の中央部から気管に挿入された器具です。
気管カニューレの外側周囲には、小さな風船のようなカフがついています。カフには、チューブがずれないよう固定したり、十分な換気を維持したり、口や鼻からの分泌物が気管に入り込まないようにしたりする役割があります。
【気管カニューレ内部の吸引の留意点】
①気管カニューレ内部の吸引とは、気管カニューレからははみ出さない深さまで吸引を行う。
②吸引時には気管カニューレと回路を繋ぐコネクターを外すときは、清潔に取り扱い、外した回路内の水滴が気管カニューレや利用者の口に入れないように気をつけます。
③吸引チューブを深く挿入しすぎて、気管カニューレの先端を超えないように注意する。
※気管カニューレの先端を超えると、迷走神経を刺激して、心停止や血圧の低下を引き起こす場合もある。
④ 前屈しない姿勢を保って、適切な吸引圧と吸引時間を守る。
⑤清潔な吸引チューブや滅菌精製水等を用いた無菌的な操作を行う。
【非侵襲的人工呼吸療法の場合の口腔内・鼻腔内吸引の留意点】
①適切にマスクを着脱する。
②マスクを取り外している状態が長くならないよう、確実で速やかに実施する。
③吸引による嘔吐の誘発で気道が塞がれないよう、顔を横に向けて姿勢を整える。
④吸引が終わった後は、マスクが確実に装着されているか確認する。
子供の吸引
子供と成人の方法には、大きな違いはありませんが、子供に実施する場合に注意することがいくつかあります。また、子供は体調の悪さを訴える表現力が未熟なため、異常の発見が遅れる場合もありますので注意して観察する必要があります。
【吸引が必要な子供とは】
①自分で咳ができない
②体位ドレナージなどの侵襲性の少ない方法で、気道内から痰や異物・血液などを出すことができない。
※体位ドレナージとは、体位を変えることで、重力を利用して痰を排出させる方法
【子供の吸引の留意点】
①子供にとって吸引は、恐怖と苦痛を伴うので、子供の理解力に応じた説明をして、心理的準備(プレパレーション)が行えるようにします。
②医師の指示に従い、子供の身体的特徴に合わせた吸引チューブを用意します。
③通常、吸引圧は成人よりも低く設定します。
④医師の指示による吸引圧・吸引時間を厳守します。
⑤泣いたり、手足をバタつかせたりしたときは、落ち着くまで待ちます。
⑥説明の理解が十分でなく、処置に協力が得られないときは、半座位、抱っこなどで頭部を固定する。
⑦気管カニューレ内部の吸引では、吸引チューブをゆっくり回転させながら、5〜10秒以内で引き上げます。
まとめ、感想
今回、人工呼吸器と気管カニューレについて説明していきました。人工呼吸器には多くの機種があり、それぞれ特徴や取り扱い方法が異なりますので、使用する場合には取扱説明書を十分に確認し使用する必要があります。
タグ:カフ,人工呼吸器,介護福祉士,吸引,子供の吸引,気管カニューレ
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