和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン152「医療的ケア〜喀痰吸引時のトラブル〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も引き続き介護福祉士の試験範囲から医療的ケア」について解説していきたいと思います。今回、解説していく内容は、喀痰吸引時のトラブルについてまとめていきます。

目次

・喀痰吸引時に想定されるトラブルと対応

・緊急を要する状態

・喀痰吸引に伴う呼吸器系の感染

・吸引を受ける利用者と家族への対応

喀痰吸引時に想定されるトラブルと対応

【ドラブル①「吸引器が正しく作動しない」】

《対応》

①電源の確認

②吸引ビンの蓋(密室状態日)の確認

③吸引ビンの中身(いっぱいなら破棄)の確認

④吸引チューブの接続の確認

⑤吸引圧(チューブの接続部を折り曲げ、吸引圧が上昇するか)の確認

【トラブル②「呼吸状態が悪い」「顔色が悪い」】

《対応》

①直ちに吸引を中止し、気道の確保

②看護職に連絡

【トラブル③「嘔吐する」】

《対応》

①直ちに吸引を中止し、誤嚥を防ぐため顔を横に向ける

②看護職に連絡

③嘔吐物は、確認後、速やかに片付ける

【トラブル④「出血する」】

《対応》

①少量の場合、直ちに吸引を中止し、看護職に連絡

②多量の場合、直ちに吸引を中止し、顔を横に向け、看護職に連絡

③決められた吸引圧だったかを確認する

【トラブル⑤「痰が固く、吸引が困難」】

①室内の空気の乾燥を防ぐ

②看護職に報告

【トラブル⑥「痰の色がいつもと違う」】

①体温測り、看護職の報告

②全身状態の観察

【トラブル⑦「吸引ができない(チューブを噛む、口を開けないなど)」】

①ゆっくりと吸引チューブを引き抜き、全身を観察して、看護職の報告

緊急を要する状態

【通常の利用者の場合】

次の場合は早急に医師・看護職に連絡をします。

①呼吸が停止している

②呼吸状態が悪化している

③顔が青白い

④多量に出血している

⑤嘔吐して気管に嘔吐物が詰まっている

【人工呼吸器を装着している利用者の場合】

利用者が人工呼吸器を装着している場合は、次のような状態も緊急対応を要する。

①人工呼吸器の音に合わせて胸の膨らみがない(弱い)。

②痰を吸引して除去したにもかかわらず「呼吸が苦しい」という訴えがある、または苦しい表情である。

③気管カニューレが抜けている。

④人工呼吸器のアラームが鳴り止まない。

⑤停電などにより、人工呼吸器の動作が停止している。

喀痰吸引に伴う呼吸器系の感染

【感染のリスクがある症状】

①呼吸器官の粘膜が赤くなる。

痰の色が黄色や緑色っぽくなる。

③喉に痛みがある。

④痰が増える。

⑤発熱する。

【感染を予防するための留意点】

①吸入器材は毎回、洗浄・消毒して清潔に保管します。

②口腔内・鼻腔内吸引の後に、同じ吸引チューブで気管カニューレ内部の吸引をしない。

③吸引前後は手洗い、手指消毒をします。

④吸引を実施するものが風邪の時は、マスクを着用します。

吸引を受ける利用者と家族への対応

吸引を必要とする利用者とその家族は、現状について不安や苦痛を抱えています。利用者や家族に対して、吸引に関する十分な説明と気持ちに沿った対応を行い信頼関係を築くことが大切です。

【利用者と家族の気持ちへの対応と留意点】

①利用者・家族の気持ち(気持ちの変化)を否定せずに受け止める

②療養生活の不安や希望などについて具体的な話を聞く。

③吸引に対して激しく抵抗される時は、医師・看護職とともに、理解を得るよう説明し、複数名で関わるようにする。

④利用者の気持ちについて、医師・看護職と共有する。

【吸引の説明と同意】

吸引にあたっては利用者に十分な説明(声かけ)をして同意を得る必要があります。

吸引に関する説明項目は次の通りです。

①なぜ吸引が必要なのか

②吸引の目的や方法

③吸引により予想される結果や危険性

④吸引以外にも痰を取り除く方法が可能かどうか(また、その方法について)

⑤吸引をしないことにより予測される結果

まとめ、感想

吸引は、痰を取り除き気道の確保をすると言うメリットもありますが、痛みや精神的負担を伴うデメリットもあります。しっかりと説明し、同意を得て、理解のある吸引を行う必要があります。

また、利用者の年齢や理解力に応じた説明も必要です。実際の吸引器具を見せながら説明するのも1つの方法です。

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