和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン154「医療的ケア〜喀痰吸引の実施手順〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲について引き続き解説していきたいと思います。今回、解説していく内容は「医療的ケア」から吸引の実施手順についてまとめていきます。

目次

・必要物品の準備

・吸引前の利用者の状態観察と準備

・吸引実施準備

・吸引の実施

・吸引実施に伴う観察と確認

・吸引実施後の吸引物の確認

・吸引後の片付けと留意点

・痰を出しやすくするケア

・まとめ、感想

必要物品の準備

必要物品の準備・設置については、次のことを確認します。

【吸引器】

①落下や逆流の起きない水平な場所に設置

②電源コードに引っかからない電源配置

③引っ張らなくても十分届く接続チューブの長さ

【その他の必要物品】

気管カニューレ内用口腔・鼻腔用の物品をわかりやすく区別する。

②トレイなどに乗せ、安定した内に置く。

吸引前の利用者の状態観察と準備

①吸引が必要な状態かを判断するにあたっては、口腔内の状況と全身状態を観察します。

②義歯(入れ歯)を装着している場合は、種類と装着状態を確認します。装着が不安定だと、口を開ける際に気道内に落ち込んでしまうことも考えられます。

③実施前には、実施者の目で利用者の状態を観察します。

④利用者に吸引について説明して、同意を得る。

⑤施設等では、プライバシー保護のため、カーテンやスクリーンを用意します。

⑥出来る限り楽に受けれるように、姿勢を整えます。

食後の吸引は避けるようにします。

吸引実施準備

医師の指示書、看護職の指示、引き継ぎ事項の確認を行います。医師の指示書・看護職の指示がないと、喀痰吸引は実施できません

②手洗い、手指消毒

③必要物品の確認と設置

吸引の実施

「清潔」→「確認」→「挿入」→「吸引」→「抜去」→「終了時の清潔」→「終了」の順に実施します。それでは吸引の手順は以下の通りです

【清潔】

手順1:石鹸と流水で手を洗ってから清潔な手袋(気管カニューレ内部の吸引は原則として滅菌手袋)をつけます。またはセッシを使用します。

手順2:吸引チューブを連結管に接続して、吸引器と連結します。

手順3:吸引チューブを浸漬法で保管している場合は、チューブの外側に付いている消毒液を洗浄綿等で拭く。

【確認】

手順4:吸引器の電源を入れて、水(気管カニューレ内部の吸引は原則として滅菌精製水)の入った容器に吸引チューブを入れて、吸引圧を確認します。

手順5:挿入前に吸引チューブ先端の水をよく切ります

【挿入】

手順6:人工呼吸器装着者の場合、鼻・口鼻マスクは、事前に取り決めに沿って、外すか鼻マスクに変更します。気管切開の場合は、人工呼吸器の吸気を確認してから接続を外します。

手順7:吸引チューブを静かに挿入します。

【吸引】

手順8:吸引チューブを回したり(手袋の場合)、ずらしたり(セッシの場合)しながら、吸引圧が1カ所にかからないよう吸引します。

【抜去】

手順9:吸引チューブを静かに抜きます。

手順10:人工呼吸器装着左の場合は、鼻・口鼻マスクまたは人工呼吸器の接続をもとに戻します。

【終了時の清潔】

手順11:吸引チューブの外側を洗浄綿等で拭きます。

手順12:洗浄水を吸引し、吸引チューブの内側の汚れを落とします。

手順13:吸引器の電源を切ります。

手順14:吸引チューブを連結管から外し、保管容器に吸引チューブを戻します。単回使用の場合は、原則として破棄します。

手順15:手袋を外します。

【終了】

手順16:利用者に吸引が終了したことを告げ、ねぎらいの言葉をかけます。痰が取りきれたかどうかを確認します。

手順17:利用者の希望の姿勢に整えます

手順18:人工呼吸器装着その場合は、人工呼吸器の作動状況を確認します。また、鼻・口鼻マスクの確認をします。

手順19:石鹸と流水で実施者の手を洗います。または手指消毒を行います。

手順20:次回使用品の確認。水や足りない物品は補充します。

吸引実施に伴う観察と確認

吸引中から直後にかけては、利用者の状態に変化がないかを観察・確認します。口腔内、鼻腔内に出血や異常がある場合やいつもと違う場合は、医師・看護職に報告します。

【観察・確認項目】

①呼吸状態

②表情、顔色(青白さ)

③唇や総称が紫色(チアノーゼ)になっていないか

④全身状態(意識状態の低下はないか)

⑤吸引による弊害(嘔吐、むせ込みなど)

⑥貯留物(痰や唾液)の残留の有無

⑦パルスオキシメーターを用いた低酸素状態の確認

⑧経鼻経管栄養チューブの確認(口腔内に出てきてしまっていないか)

⑨人工呼吸器回路、口鼻マスクの確認

⑩声かけへの返答の有無、発声できるかどうか

吸引実施後の吸引物の確認

①吸引後は、痰の色、粘性、においを毎回確認します。

粘性は、吸引中の吸引チューブや、吸引器の接続チューブ内の通過の速度、詰まり具合によって推測します。

③吸引物や利用者の状態については、異常の有無にかかわらず看護職に日常的に報告して連携を図ります

吸引後の片付けと留意点

①洗浄用の水(水道水、滅菌精製水)、浸漬用消毒液、吸引チューブは定期的に交換します。保管容器は定期的に交換、消毒します。

②吸引瓶の廃液量が瓶の70〜80%になる前に廃液を捨てます

③廃液の廃棄は、自宅ではトイレ等の下水に流すのが一般的です。施設の場合は、感染予防のため施設が定めた指針に従い処理をします。

痰を出しやすくするケア

①端を出しやすくするには、「重力を利用する」「痰の粘性を保つ」「空気の量と速さ(せきの力)」が大切です。適度な痰の粘性を維持するには、身体全体の水分バランスを整える健康管理が必要です。気管切開をしている場合は、気道に適切な加湿が必要になります。

また、痰を排出させるための体位も覚えておきましょう。

【体位ドレナージ】

体位を変えることで、重力を利用して痰を排出しやすい位置に移動させます。痰がたまっている方を上にした姿勢をとるのが基本です。しかし、同一体位を長時間続けないように注意します。例えば、長時間仰向けでいると、背中側の肺の奥に痰がたまりやすくなってしまいます。

まとめ、感想

安全で確実に喀痰吸引を実施するには、手順通りに進めることが不可欠です。手順の中でも説明しましたが、吸引チューブは外側の汚れを落とした後に、内側の汚れを落とします。

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