和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン157「医療的ケア〜経管栄養のトラブル〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から引き続き医療的ケア」について解説していきたいと思います。今回、解説していく内容は経管栄養のトラブルについてまとめていきます

目次

・経管栄養のトラブルと対応

・下痢

・誤嚥性肺炎

・経管栄養チューブによるスキントラブル

・経管栄養に伴う感染と予防

・経管栄養を受ける利用者や家族への対応

・まとめ、感想

経管栄養のトラブルと対応

【チューブ・胃ろう(PEG)の脱落・抜去】

注入せずに、すぐに看護職に連絡する。

【出血】

看護職に連絡する。

【嘔吐】

①直ちに注入を中止する。

②誤嚥を防ぐため顔を横に向ける

③看護職に連絡をする。

【息が苦しそう・顔色が悪い】

①直ちに注入を中止する。

②看護職に連絡をする。

【痰がからんでいる】

①続くようなら注入を中止し、ベッドを起こしたまま様子を見る。改善すれば注入を再開し、しなければ看護職に連絡をする。

【腹部膨満】

注入速度を少し遅くする

②それでも改善されないときは、看護職に連絡をする。

【チューブ挿入からの注入液の漏れ】

①発見したら、看護職に連絡をする。

②少しずつ漏れることが常態化している場合でも、量が多い時は看護職に連絡をする。

【注入液が注入されない・体内に入りにくい】

①決められた通りに実施しても、注入液が滴下しない場合は、滴下を中止し、看護職に連絡をする。

【しゃっくり】

①注入開始後に起こったら、直ちに注入を中止する。

②下半身を献上し、口腔内を観察する。

③看護職に連絡をする。

【げっぷ】

①げっぷと同時に嘔吐があったら、注入を中止し、看護職に連絡をする。

下痢

下痢は、経管栄養を行う上で最も多い合併症の1つです。下痢が起こった場合、次のように対応し改善する必要があります。

【原因①「注入速度」】

医師の指示に基づき、滴下速度を遅くする。

【原因②「経管栄養の濃度」】

①浸透圧の高いものを使用する場合はあらかじめ希釈する。

【原因③「不潔な状態での操作」】

①器具類は清潔な状態で使用する。

②器具類は注入後、充分洗浄し乾燥させる。

【原因④「低温の経管栄養材の注入」】

①保存場所や利用時の気温・室温に注意します。判断が難しい場合は、医師・看護職に相談する。

誤嚥性肺炎

経管栄養を行う上で最も重篤な合併症です。経鼻経管栄養の場合は、鼻からのチューブが胃ではなく、気道に留置されていることに気づかないまま、栄養剤を注入してしまうことがないように注意が必要です。逆流を防止するために、栄養剤の注入時は、上半身を30〜45℃起こす半座位が良い。

誤嚥性肺炎の原因としては、次のようなことが考えられます。

①嚥下障害で口腔内の汚染物質が気道へ流れてしまう。

②胃の内容物が逆流し、気道に入ってしまう。

食道裂孔ヘルニアやサイズが大きすぎる経管栄養チューブを使用しているときに逆流が起きてしまう。

※食道裂孔ヘルニアとは、食道が横隔膜を通る孔を通って、胃の一部が胸腔部へ脱出している状態です。

経管栄養チューブによるスキントラブル

経管栄養チューブ挿入部のスキントラブルを防ぐには、利用者に合うサイズ・材質の経管栄養チューブを選択することと、挿入部周囲を清潔に保つことが大切です。

経管栄養チューブ挿入部もしくはろう孔部周囲が、赤くなったり、滲出液が出たり、痛みがあったり、出血したり、悪臭がしたりする場合には、医師や看護職に連絡をします。

経管栄養に伴う感染と予防

経管栄養を行っている人は、免疫力や体力が低下していることが多く消化器感染が起こりやすい。消化器感染の原因と予防は次のようになります。

【原因①「注入物の不適切な取り扱い」】

対応としては、栄養剤の賞味期限に留意し、期限内の古いものから順に使用しています。

【原因②「器具類の汚染」】

対応としては、使用した物品は、中性洗剤でよく洗浄し、乾燥させます。また、栄養点滴チューブは、流水を通してよく洗浄する。定期的な交換も必要です。

【原因③「実施者の手指の汚染」】

対応としては、十分な手洗いをします。エプロンなどの衣類の汚染にも注意が必要です。

経管栄養を受ける利用者や家族への対応

【利用者と家族の気持ちへの対応と留意点】

介護福祉職は利用者と家族の気持ちや価値観を尊重しながら、生きる喜びを損なわないケアが大切です。利用者や家族を認め、自己効力感が得られるような会話を心がけます。

【経管栄養の説明と同意】

実施前に説明をし、同意を得ることが大切です。実施中と実施後には声かけをし、無言では行わない。医療者の同意が得られない場合は、利用者の話を傾聴します。

まとめ、感想

いつもと違うことに気づいたら、迅速かつ確実に医療職に連絡し、状況を伝えることが大切です。

経鼻経管栄養チューブの挿入留置は、必ず医師や看護職が行います。また、医師や看護職による定期的な確認も必要です。

経管栄養も「食事」であることを忘れず、経管栄養を必要とする利用者や家族の気持ちに沿った対応が必要です。

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