介護福祉士試験範囲「日本国憲法と人権」を大阪介護養成学校講師が解説
介護福祉士の試験範囲である「日本国憲法」と「人権」に関して、国家試験を挑む方には覚えておかなければならない知識を解説していきます。実際の介護現場でも私たち介護従事者は、利用者主体に考えていかなければなりません。利用者に自己選択してもらえるように促していくことも、利用者のニーズを把握し、希望を実現させるための生きていく権利の一つです。
日本国憲法でチェックしておきたい「個人の尊重」と「生存権」
まず人間の尊厳とは、すべての人が持つ個人としてのその意義を尊重され、生きる権利のことがいわれます。その人間の尊厳について規定されており、基盤となっているのは「日本国憲法」の中にある第13条個人の尊重と第25条生存権になります。
【個人の尊重(第13条)のポイント】
ポイント①
すべて国民は、個人として尊重される。生命自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り立憲その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする
※この第13条では人間の尊厳を、人が個人として尊重されること、そして国家においてどのように扱われるべきかを規定しています。
【生存権(25条)のポイント】
ポイント①
(第1項)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
(第2項)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない
※この25条では最低限度の生活の保障を目的とされており「生活保護法」と関連する法律になります。ここで+ α覚えておいて欲しいのだ生存権と生活保護法をめぐる有名な訴訟として「朝日訴訟」があります。1957年に朝日さんが当時の厚生大臣を提訴したものです。
人権について
日本国憲法において、基本的人権の尊重が掲げられています。この基本的人権は、すべての国民が等しく持つ権利であり、3つの特徴があります。
【人権の固有性】
人は生まれながらにして誰もが人間として権利を持っていること
【人権の不可侵性】
公共の福祉に反しない限り、他の人に奪われたり制限されたりしない
【人権の普遍性】
人種や性別、年齢等にかかわらずすべての人が当たり前に持つことができる
このような特徴が基本的人権にはあります。そして、基本的人権で覚えておかなければならない権利が5つあります。
【その1:平等権】
第14条「法の下の平等」など
【その2:自由権】
第19条「思想及び良心の自由」、第21条「表現の自由」など
【その3:社会権】
第25条「生存権」、第26条「教育を受ける権利」など
【その4:請求権】
第32条「裁判を受ける権利」など
【その5:参政権】
第10五條「選挙で投票する権利」など
介護現場でも考えておかなければならない利用者の理解
利用者は一人ひとり違う側面があり、対応も変わってきます。こうした人間の多面性をしっかりと踏まえて、様々な視点から利用者の理解に努める事は介護福祉士として求められることです。
また、日本介護福祉士会の「日本介護福祉士会論理綱領」の職業倫理の中でも「介護福祉士はすべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます」と示されています。そのことから介護福祉士は、利用者の人権を尊重して現場で活躍する専門職という事が掲げられています。
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