和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

大阪の介護の学校の講師が解説!介福対策「人間関係の形成」

コミュニケーションとは、人と人が言葉や表情、身振り手振りなどの手段を通じて、お互いの意思や感情、情報を伝え合い、共有することです。そんなコミニケーションには大きく2つに分けることができます。それは「言語的コミュニケーション」非言語的コミニケーション」になります。特に人に影響与えるのは非言語的コミニケーションが大きく、言葉には現れないメッセージに気づき情報を受け取れるように心がけることが介護の現場では重要です。それではその2つについて説明していきます

言語的コミニケーションと非言語コミュニケーション

言語コミュニケーション

言葉を用いて情報を伝達する方法です。文字、手話、点字などによるコミニケーション方法も含まれます。

非言語的コミュニケーション

言葉を用いないコミニケーション方法です。表情、身振り、手振り、姿勢、視線、服装や髪型などです。声の強弱や抑揚(準言語)も含まれます。

人間関係と心理

自己覚知

自分自身のものの見方や考え方について客観的な視点から理解することです。「自分はどんな性格」「自分の価値観の判断基準」など自分の感情の動きとその背景を洞察する事が自己覚知といわれます。介護職は、自分が抱く感情にどのような背景があるのかを知ることで、先入観持たずに利用者様に接していくことができるようになります。

他者理解

相手に対する理解の心の意識を持つことでコミニケーションはよりスムーズになります。利用者様の生活歴や家族関係などの背景も含めて、利用者がどのような価値観や考え方を持っているのかを知ろうとする事は支援において重要なことです。

自己開示

自分自身に関する情報を自分自身の意思のもとに言語を介して伝達することです。適度な自己開示を行う事はお互いのことを知ることができ良好な関係づくりにつながります。適度な自己開示を行うためには次の5つの判断基準を前提に考える必要があります。

①量:どのくらいの量の情報を開示するか

②深さ:どのぐらいの深さの内容を開示するか

③時:どのようなタイミングで開始するか

④人:どのような相手に開示するか

⑤状況:どのような状況や機会に開示するか

行き過ぎた自己開示は、利用者様に悪印象を与える原因にもなりますので注意が必要です。

ラポール(信頼関係)

先ほど紹介した自己覚知・他者理解・自己開示を適切に取り入れたコミニケーションを重ねていくことにより、人間関係は形成されていきます。その人と人の間に形成される信頼関係をラポールといいます。お互いへの尊敬の念や信頼関係に基づく関係である、ラポールを形成する事は介護においてとても重要なことです。ラポールの形成の基本は、利用者様を知ろうとする姿勢が重要です。利用者をありのままに受け入れる(受容)その感情を自分自身のことのように共有する(共感)といった姿勢を見せることがラポールにつながります。

ここで問題!

【問題】

ラポール形成の初期段階の関わりとして、介護福祉職が詳しく自己紹介をしました。

【答え】

この答えは「×」になります。ラポールの基本となるのは利用者様のことを知ろうとする姿勢です。介護職の方が初めから詳しく自己紹介をすると、利用者様はかえって話しづらくなることも考えられます。少しずつ自己開示しながら、利用者の話を引き出せるように努めるのが適切です

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、自分や他人の「知っている部分」知らない部分」を組み合わせて4つの窓に分類した考え方です。

①自分は知っていて他人も知っている「開かれた窓(開放部分)」

②自分は知っていて他人は知らない「隠された窓(隠ぺい部分)」

③自分は知らない他人は知っている「気づかない窓(盲点部分)」

④自分は知らない、何も知らない「閉ざされた部分(未知部分)」

自己開示を行う事はジョハリの窓の「隠された窓を(隠ぺい部分)」を狭くし、「開かれた窓(開放部分)」を広くするために行います。

対人距離と位置関係

人と人との間の距離を対人距離といいます。対人距離には物理的距離」「心理的距離」があります。物理的距離と心理的距離は密接に関係しており、物理的距離が近くなると、心理的距離も近くなります。しかし、ラポール(信頼関係)が築けていないにもかかわらず物理的距離だけを近づけてしまうと利用者様に緊張や不快感を与える場合もあります。そのため、ほどよく適切な距離を保つことが求められます。対人距離と合わせて、利用者とどのような位置関係を取るかもコミニケーションの中で重要となります。

それではテーブルに座って利用者様と会話をする場面を想定して座る位置関係によりもたらす効果を3つ紹介します。

直角法

介護職と利用者様がテーブルの角を挟み斜めに座る方法です。お互いの視線がぶつかりにくく、圧迫感が和らぎ会話がしやすいのが特徴です。

対面法

介護職と利用者様が向かい合う形で座る方法です。視線がぶつかりやすいので圧迫感が強まることが特徴です。視線を自然に向けれるような花瓶などをテーブルの上に置くと緊張感が和らぎます。

並列法

介護職と利用者様が横並びに座る方法です。視線が交わらないため時間の面談に適しています。

ここで問題!

【問題】

利用者との関係性を作る座り方として、直角方より対面法の方が有効である。

【答え】

答えは「×」思います。対面法は向かい合うので視線がぶつかりやすく圧迫感が強まります。信頼関係を築くには、視線がぶつかりにくい直角法が有効と考えられます。

受容、共感、傾聴

介護の基本である受容、共感、傾聴を心がけて利用者様の話を聞く姿勢や態度は、信頼関係に大きく関わるので常日頃から心がける必要があります。それではその内容について解説していきます

受容

利用者様をありのままに受け入れることです。利用者様の言動には何かしらの理由があると考え、批判はせず肯定し受け入れることです。

共感

利用者の気持ちに心を寄せて、その感情を共有し理解するように努めることです。

傾聴

利用者様の主観的な訴えに対して、心の声にも耳を傾けることです。利用者様の言葉を妨げず、適度に相槌やうなずきを挟むことで、利用者様に関心を持って接していることが伝わるようにします。

感情の反射と感情の明確化

受容、共感、傾聴は、利用者様との信頼関係を築く上で大切です。これと関係して「感情の反射」感情の明確化」という技法があります。

【感情の反射】

利用者様の話の中から、特に感情の表れている言葉をピックアップして、介護者が繰り返す(反射する)技法です。

【感情の明確化】

利用者様の話から読み取った感情を改めて、介護者が言葉にして伝えることで自覚や理解を促す技法です。

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