介福試験範囲「社会の構造」大阪介護の資格の学校の講師が説明
日本の昔の介護状況は、疾病や障害がある方は施設で介護を受け、その施設の中で生活することが当たり前の時代でした。しかし、昨今では、様々な理由により支援が必要な方でも自分の住み慣れた地域で過ごすことが当たり前の時代になりました。それは、地域で過ごす利用者様の周りで支援を行う社会資源やその根源となる制度が充実してきたこと関係しています。
そんな地域社会ではコミュニティー意識が形成され、連帯感を持って助け合うことが望まれています。アメリカの社会学者マッキーバーは、集団をコミュニティーとアソシエーションという2つの概念として分けました。
コミュニティ
一定の地域に住み、共有の意識を持っている人々の集団や組織のことです。共同体や地域社会そのものを示す言葉として使われることもあります。
アソシエーション
共通の目的や関心を持つ人々が意図的または計画的に作られた集団や組織のことです。例えば学校や企業、家族など指します。
都市化と過疎化
現在の日本では都市部への人口集中(都市化)が目立ち、農村部の人口減少(過疎化)が進んでいます。また農村部では過疎化の進行により、65歳以上の人口比率が住民の50%を超えた集落(限界集落)の増加も問題視されています。都市部においても、郊外(都市に隣接した地域)に住居を構える人が多く、都市中心部の住民は高齢化が進んでいる「空洞化」という現象も見られるようになっています。
少子高齢化の現状
現在の日本では、子供の人口が減少してきており、65歳以上の高齢者が増加している少子高齢化が問題となっています。少子化は合計特殊出生率の低下も原因とされています。合計特殊出生率とは何なのか?現在の数値とともに説明します。
現在の合計特殊出生率
合計特殊出生率とは、1人の女性が一生の間に産む子供の平均の数を示した数値です。1971年(昭和46年)〜1974年(昭和49年)の第二次ベビーブームの時期には2.1台の数字で推移しているいたのですが、年々と低下傾向が続いており、2019年(令和元年) は1.33になっています。
【厚生労働省「人口動態統計」】
高齢化の現状
人口によって年齢階級が決まっており、次の3つに分類することができます。
「年少人口(0〜14歳)」
「生産年齢人口(15〜.64歳)」
「老年人口(65歳以上)」
以上の3つの区分に分けられます。日本では1997年(平成9年)老年人口が年少人口を上回りました。以降もその差が広がり高齢化率の上昇が続いている状態です。
高齢化率は2021年(令和3年) 9月15日現在では29.1%に達しています。
日本の少子高齢化の対策
少子高齢化の背景には、女性が社会進出することにより晩婚化や未婚化。また、非正規雇用労働者の増加により、不景気と不安定が続く中での結婚の考え方や雇用環境の変化が影響していると考えられます。そのような背景もあり、仕事と生活の調和の実現に取り組むため2007年(平成19年)に「仕事と生活の調和憲章(ワーク・ライフ・バランス)」策定されました。※ 2010年(平成22年)改定。
さらには個々に合った様々な働き方を選択できる社会、長時間労働の問題、雇用形態に影響されない公正な処遇の確保などの実現を目的として2018年(平成30年)に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が制定されました。
総人口の減少の問題
総務省統計局「人口推計」によると2011年(平成23年)以降総人口は減少傾向にあります。2015年(平成27年)の国勢調査でも調査開始以来、初めて総人口が減少し、20201年令和3年の人口推計では1億2555万9千人の人口となっています。
ここで問題!
【問題】
働き方改革の考え方として、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の格差が存在する事は当然である。
【答え】
答えは「×」です。働き方改革は、雇用形態に関わらない公正な待遇確保等の実現を目的としたものです。
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