介福試験範囲!生活習慣病の予防施策を大阪介福試験対策の講師が解説
生活習慣病とは日々の生活の不摂生により二次的に発症する病気の総称です。食生活の乱れ、過剰な飲酒や喫煙、運動習慣の不足などにより起こる疾患の総称であり、主な疾患としては、がん、脳血管疾患、高血圧、2型糖尿病などが挙げられます。日本ではそんな生活習慣病を予防するために様々な施策が設けられています。今回はそんな施策やその施策に関わる地域保健対策なども解説していきたいと思います。
健康日本21
生活習慣病の増加を抑えるためには、「二次予防(疾患の早期発見)」と「三次予防(疾患の治療と回復)」以上に、健康増進と疾患の発症そのものを予防する一次予防が重視されるようになりました。
この方針のもとに厚生労働省によって2000年(平成12年)から推進されている施策が「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」です。健康日本21は2015 (平成24年)までを第1次期間とし、2013年(平成25年)〜2022年(令和4年)が第2次期間とされています。第2次期間の基本的な方向については次のような点が挙げられます。
健康日本21 (第2次期間)の基本的な方向
①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
④健康を支え、守るための社会環境の整備
⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及びは歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善
健康寿命の延伸のための目標
「健康寿命」とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間のことを指します。健康寿命を延ばすためには、介護予防などによる「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)対策」が重要視されています。ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために自立度が低下し、介護が必要になる危険性の高い状態とされており「健康日本21 (第2次期間)」においても、2022年)令和4年)までに認知している国民の割合を80%まで増加させることが目標として掲げられています。
特定健康診査と特定保健指導
生活習慣病に関わる健康診査と保健指導が「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」に基づき実施されました。これは40歳以上75歳未満の医療保険加入者を対象にしたので「特定健康診査」と「特定保健指導」と呼ばれています。それではそれぞれの制度の特徴について解説していきます。
特定健康診査と生活保健指導の内容
【特定健康診査】
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健康診査です。身体計測、血圧測定、検尿、血液検査などが行われます。
【特定保健指導】
特定健康診査の結果を受け、生活習慣病のリスクは高いが予防効果が期待できる人を対象に指導が行われます。
ここで問題!
【問題】
特定健康診査の対象は75歳以上のものである。
【答え】
答えは「×」です。特定健康診査の対象は40歳以上75歳未満の医療保険加入者です。
地域保健対策の推進
疾患の予防や早期発見のためにも地域における保健対策を推進していくことも重要な視点です。地域住民の健康の保持や増進を目的とした法律には「地域保険法」があります。この法律に基づき設置されている地域保健の拠点として、保健所と市町村保健センターについて理解しておく必要があります。
地域保険法に基づく保健所と市町村保健センターの概要
【保健所】
設置者は、都道府県、指定都市、中核市、特別区などです。
主な業務内容は、地域保健対策の中心となる機関であり、食品衛生、環境衛生、医事・薬事、感染症などの分野について、施策の企画から実施者の指導、検査・相談、患者発生の報告など。結核の定期外健康診断、予防接種などが行われます。
【市町村保健センター】
設置者は市町村(設置は任意)です。
主な業務内容は、地方保健対策を通じて、住民に直接関わる機関であり、健康相談、保健指導、健康診査などを実施します。
感染症と難病への対策
感染症については「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づき1類感染症から5類感染症などに分類されています。一方、難病については2014年(平成26年)に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が新たに制定され、2015年(平成27年) 1月に施行されました。それでは、感染症の1類〜5類について簡単に解説します。
感染症法の対象となる主な感染症
【1類感染症】
エボラ出血熱など
【2類感染症】
結核など
【3類感染症】
コレラ、腸管出血性大腸菌感染症など
【4類感染症】
A型肝炎、E型肝炎など
【5類感染症】
インフルエンザ、ウイルス性肝炎、後天性免疫不全症候群、麻疹、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症など
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