和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

日本の地域生活支援関連の制度を大阪の介護養成学校講師が説明します

日本の地域生活を支援する制度は様々存在します。今回は、高齢者の方や障害者の方が住み慣れた地域で生活していくために関連する制度についてまとめていきたいと思います。今回取り上げていく内容はバリアフリーに関する法律や社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業高齢者の方が施設入所ではなく地域で住居の確保を円滑に行うための高齢者住まい法などについて解説していきます。

バリアフリー法

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」は、1994年(平成6年)に制定された「高齢者、身体障害者などが円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」2000年(平成12年)に制定された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」を統合・拡充させて2006年(平成18年)に新しいバリアフリー法が制定されました。

バリアフリー法では、建築物、旅客施設、車両、道路、路外駐車場、都市公園のバリアフリー化を促進するための法律とされています。そして建築物には次の2つのポイントがあります。

【バリアフリー法の2つのポイント】

特定建築物:生活関連施設のうち、多くの人が利用する建築物のことであり、移動等円滑化基準(バリアフリー基準)に適合させる努力義務が課されます。

特別特定建築物:病院、百貨店、官公署などの不特定多数の者又は主として高齢者や障害者などが利用する建築物に対しては、移動等円滑化(バリアフリー基準)に適合させる義務が課されます。

日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業は、成年後見人と同じように高齢や知的障害精神障害等により判断能力が不十分な人の支援を行うための制度です。ただし、成年後見制度と異なり、契約内容を理解する能力を持っている人が日常生活自立支援事業の対象となります。また実施主体になるも異なりますので次に解説していきます。

日常生活自立支援事業の実施主体やサービスの範囲

【実施主体】

都道府県社会福祉協議会指定都市社会福祉協議会が実施しており、一部の事業は市町村社会福祉協議会などに委託ができます。

【配置職員】

専門員:利用者との相談や契約、支援計画の作成を担います。

生活支援員:支援計画に基づき実際のサービス提供を担います。

【サービスの範囲】

日常的な生活援助の範囲に限られます。(福祉サービスの利用手続きの代行、日常の金銭管理、書類等の預かりなど)

ここで問題!

【問題】

日常生活自立支援事業には、初期相談、利用援助契約等を行う専門員が配置される。

【答え】

答えは「〇」です。日常生活自立支援事業には、初期相談、利用援助契約などを行う専門医が配置されています。実際のサービス提供を行うのは生活支援員です。

高齢者住まい法

「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」高齢者の居住の安定の確保を図り、福祉の増進に役立てることを目的に2001年(平成13年)に制されました。それでは高齢者の居住の安定を確保するための措置としてどのようなものが設けられたか?また基本方針や計画について次に解説します。

高齢者住まい法の措置

高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスの提供を受けることができる、良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅等の登録制度の設置

・良好な居住環境を備えた高齢者向け賃貸住宅の供給促進

・高齢者に適した良好な居住環境が確保され、高齢者が安定に居住することができる賃貸住宅について終身建物賃貸借制度の設置

終身建物賃貸借制度

終身建物賃貸借制度は、バリアフリー化された賃貸住宅に高齢者が死亡するまで終身にわたり安心して居住することができる仕組みとして「高齢者住まい法」に基づいて設けられた制度です。この制度では、都道府県知事、政令指定都市・中核市の長が認可した住宅において、借家人がいる限り居住することができ、死亡時に契約が終了する、借家人本人「一代限り」の借家契約をすることができます。

対象となるのは「60歳以上」「入居者本人が単身であるか、同居者が配偶者(配偶者は60歳未満でも可能)もしくは60歳以上の親族」と言う2つの要件を満たした人です。

高齢者住まい法の基本方針と計画

国土交通大臣厚生労働大臣は、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標の設定や供給の促進に関する基本的な事項、高齢者居住生活支援体制の確保に関する基本的な事項などを含む本方針を定めなければなりません。

また、都道府県及び市町村は、基本方針に基づき、高齢者の居住の安定の確保に関する計画である高齢者居住安定確保計画」を定めることができます。(義務規定ではない)

サービス付き高齢者向け住宅の登録制度

サービス付き高齢者向け住宅は、介護・医療と連携をし、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅であり、事業者の申請に基づき都道府県知事、政令指定都市、中核市の長が登録を行います。

有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅

有料老人ホームは、サービス付き高齢者向け住宅として登録することができます。また、登録されたものは「老人福祉法」に基づく事業内容の届出、届出内容の変更、事業の廃止、休止の届け出が不要となります。また2015年(平成27年)以降、サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームに該当するものは、すべて住所地特例が適用とされています。

福祉避難所

福祉避難所とは、特に配慮が必要なよう配慮者の滞在が想定される避難所のことで、災害対策基本法」が規定する避難所の指定基準の1つです。同法が定義するよう配慮者とは「災害時において高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を有する者」です。その他特に配慮を要するものとは、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者などが想定されています。また、要配慮者のうち災害時などに自力で避難する事が困難であり、支援を要するもの避難行動要支援者といいます。市町村長には、避難行動要支援者の名簿作成が義務付けられています。

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