和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

「老年期の発達段階」について大阪介護の学校実務者研修教員が解説

ここでご紹介する知識は、介護福祉士国家試験の試験範囲も含まれる内容となっています。今後、国家試験にチャレンジする方はこの投稿を参考にして試験に読んでいただけたらと思います。ポイントとしては、各法律の制定における高齢者の定義と規定を整理しておく必要があります。また、老年期を迎えた人はどのように老化を感じて、成熟を迎えているのかを理解しておくことが重要です。

老年期の定義

老年期は高齢期といい換えることができ、WHO (世界保健機関)の定義する高齢者は65歳以上とされています。この定義に沿って日本の高齢者福祉に関する法律でも、おおむね65歳以上の人を高齢者として定義されていますなので次に紹介していきます。

高齢者福祉の法律における高齢者の定義

【介護保険法】

第1号被保険者: 65歳以上

第2号被保険者: 40歳以上65歳未満

【老人福祉法】

原則として65歳以上が施策の対象(軽費老人ホームの利用は60歳以上)

【高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)】

前期高齢者: 65歳以上75歳未満

後期高齢者保険:75歳以上

【国民年金法・厚生年金保険法】

65歳以上の人に年金が支給

【高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)】

65歳以上の人の高齢者と定義

【高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)

事業主が定める定年年齢60歳以上と規定。

【道路交通法】

普通自動車対応免許は70歳以上に高齢運転者標識の表示の義務

運転免許の更新を受ける75歳以上の人に認知機能検査の義務

ここで問題!

【問題】

高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者を65歳以上としている。

【答え】

答えは「×」です。高齢者の医療の確保に関する法律では、65歳以上75歳未満を前期高齢者、75歳以上後期高齢者としています

老年期の発達課題

老性自覚

老性自覚とは老いを自覚することです。老性自覚が現れる時期には個人差があり、その要因には内的要因」「外的要因」があります。老いを自覚した後の生き方も、人それぞれです。その後の人生に対して否定的になる人も、肯定的になる人もいます。それではその要因について次に解説していきます。

老性自覚をもたらす要因

【内的要因】

体力の低下、記憶力の低下、病気のかかりやすさなど

【外的要因】

退職、子供の成長、配偶者や友人の子など

喪失体験

人は歳を重ねることによって様々なものを失っています。病気にかかり健康なからだの喪失」「退職することにより収入の激減」「子供が社会に出ることにより役割の喪失」などがあります。こうした喪失体験によって生きがいが失われると、その後の人生の質の低下につながってしまう恐れがあります。特に親しい人との死別を経験したときには、その直後に大きな悲しみとなります。

サクセスフル・エイジング

老いる事は必ずしも失うことばかりを意味するものではありません。高齢者は様々な知識と経験を積み重ねて今に至ります。老化に適応し、有意義な人生を送ろうとする事は老年期の発達につながります。老年期における望ましい発達のあり方を示したのが「サクセスフル・エイジング」「プロダクティブ・エイジング」という2つの考え方です。それではその2つの考え方について次に解説いたします。

【サクセスフル・エイジング】

老年期を迎えた人が幸福な人生を過ごせているかどうかを本人の主観的な観点から捉えようとする考え方

【プロダクティブ・エイジング】

老年期に差し掛かっても自立して生産的な活動に関わる結果とする考え方。生産的な活動とはボランティアや家事などの「支払い」を求めない無償労働を中心とします。

ここで問題!

【問題】

サクセスフル・エイジングは、客観的な幸福感のことである。

【答え】

答えは「×」です。サクセスフル・エイジングとは本人の主観的な幸福感や満足度からの老化への適応状態を図る考え方である。

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