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介福試験対策!大阪実務者研修講師が解説「関節、感覚器系、皮膚の疾患」

今回の解説では介護福祉士試験対策として高齢者に特に多い疾患として関節と骨、感覚器系、皮膚に関わる疾患についてどのようなものがあるか紹介し、その内容を解説していきたいと思います。この知識は介護福祉士国家試験のカリキュラムでいうと発達と老化の理解」の内容にあたる部分になります。

関節や骨に関わる疾患

関節や骨では老化によって骨と骨を連結させる関節の機能が低下したり、骨そのものがもろくなったりすることで様々な疾患が引き起こされます。今回はそのような各疾患についての症状を解説していきます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、老化により機能の低下した関節に体重や運動などの負荷が加わることで起こる疾患です。関節の軟骨がすり減った状態になり、特に膝関節に症状が現れた場合には「変形性膝関節症」と呼ばれます。中年期以降の肥満のある女性に多く見られ、歩行時や立ち上がりなどの膝を動かしたときに痛み、関節の可動域の制限などの症状が現れます。また、変形性膝関節症の症状が進行してくるとO脚が進み、次第に歩行が困難になってきます。

【変形性膝関節症の特徴的な症状と対応】

変形性膝関節症は、膝が曲がりにくくなることにより前かがみの歩行がみられます。対応方法としては、膝の負担を出来る限り和らげるため歩行時は杖をついて体重を支えます。また、仰臥位や座位の状態で膝の曲げ伸ばしや足上げなどの運動を行うことが症状改善に効果的です。

ここで問題!

【問題】

変形性膝関節症と診断された高齢者への介護福祉職の助言として、階段の上り下りの運動を勧めた。

【答え】

答えは「×」です。変形性膝関節症では、膝に負担がかからないように仰臥位や座位の状態で、膝の曲げ伸ばしや足上げなどの運動を勧めます。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、老化によって脊柱管が狭くなり、脊柱の中にある神経が圧迫されることにより起こる疾患です。症状は腰痛や足の痛み、しびれなどがみられます。

【脊柱管狭窄症の特徴的な症状と対応】

特徴的な症状として「間欠性跛行」と呼ばれる歩行障害があります。これは30分ほど歩くと足の痛みやしびれを感じて、しばらく休むと回復し、再び歩きだしてからまた同じように休息を挟むと回復するといったことを繰り返すものです。

関節リウマチ

関節リウマチは、多発性の関節の痛みや腫れ、関節可動域の制限の症状がみられます。中年の女性に多くみられる疾患です。免疫機能の異常が関わっているものと考えられていますが、原因は不明であり、両側の関節に症状が現れるのが特徴的です。手足の関節の痛みから始まり、肘、膝、股関節、指の第二関節などにその範囲が広がっていき、関節の変形に至ることもあります。

【関節リウマチの特徴的な症状】

特徴的な症状は「朝のこわばり」はみられます。これは目を覚ました時に手足のこわばりを感じるもので、気候によっても症状の現れ方が影響します。

骨粗しょう症

骨粗しょう症は、骨量の減少によって骨密度が低下する疾患です。原因は、カルシウム不足や更年期を迎えたことなどで、高齢者や閉経後の女性に多くみられる疾患です。骨がもろくなることにより骨折しやすくなるのが特徴です。また、高齢者に関しては骨粗しょう症を発症していなくても骨折をしやすい状態といえます。骨折の主な原因は転倒であり、転倒によって衝撃を受けやすい肩関節、手首、背骨、股関節周辺の骨折は多くみられます。

感覚系の疾患について

白内障と緑内障

白内障と緑内障は、視覚の機能低下に関わる疾患です。白内障と緑内障の症状の現れ方やその違いを解説していきます。

【白内障】

目の中にある水晶体が白く濁ることにより、視界が霞むようになり視力が低下する疾患です。天気が良い日などに外に出ると太陽の光で見えにくくなります。白内障は大半の高齢者にみられる疾患です

【緑内障】

眼圧が上昇することにより、視神経が障害を受けて視野が狭くなる疾患です。外側からの視野がだんだんと狭くなってくるのが特徴です。中途視覚障害者の中でも一番多い原因疾患です。

ここで問題!

【問題】

白内障では、眼圧が上昇する。

【答え】

答えは「×」です。眼圧の上昇により、症状が現れるのは緑内障です。

加齢黄斑変性症

黄斑とは、網膜の中心にあり視機能の要として役割を果たしている器官です。加齢黄斑変性症は、この黄斑に様々な障害が起こることで発症します。主な症状として、黄斑の萎縮による視力低下、黄斑に異常な血管が現れ液体がにじみ出ることによる物の歪みなどがみられます。特に後者の症状が進むことにより最終的に視野の中心部が見えにくくなる中心暗転が起こります。症状の進行を抑えるためにレーザー治療などが行われます。

老人性難聴

老人性難聴の特徴は、高音域の音が聞き取りにくくなることです。また、音が歪んで聞こえるようになるため言葉の聞き取りが難しくなるのもその特徴です。症状は両方の耳に現れ、徐々に進行していきます。老化を原因とするため、特別な治療方法はありません。

老化による皮膚の変化と疾患について

高齢者の皮膚は老化によって水分補給量が低下することにより乾燥しやすくなり、弾力性や抵抗力などの低下がみられます。また、活動力の低下が影響を起こす皮膚の状態悪化する疾患もあります。

老人性掻痒症

老化により皮膚の水分補給量の低下と皮脂が減少することにより皮膚の乾燥が起こります。老人性掻痒症はこうした皮膚の乾燥によるかゆみを主な症状としています。発疹などは特にみられず、特定の部位を中心にかゆみが生じ、やがて全身に症状が広がっていきます。特に症状が悪化しやすいのは、皮膚の乾燥が促進される秋から冬にかけてです。肌を乾燥させないことが大事で、入浴後の保湿などが効果的です。

褥瘡

褥瘡とは、からだの一部が長期間にわたって圧迫されることにより、血液の流れが途絶え、皮膚が赤みを帯びてやがて、ただれた状態になる疾患です。寝たきりなどの状態にある高齢者に多く見られ、廃用症候群の1つに含まれます。褥瘡は、体重のかかりやすい部位や骨の突き出た部位などに発生しやすく、そのため予防方法としてはこまめな体位変換が効果的です。

褥瘡が起こりやす部位は、仰臥位や側臥位、座位の姿勢によって変わります。

【仰臥位で褥瘡が起こりやすい部位】

後頭部、肩甲骨部、肘関節部、仙骨部、踵部※特に仙骨部分が最も起こりやすい

【側臥位】

耳介部、肩峰突起部、大転子部、膝関節顆部、外踝部

【座位で褥瘡が起こりやすい部位】

後頭部、肩甲骨部、仙骨部、座骨結節部、踵部

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