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循環器系と呼吸器系の疾患を解説!大阪介護の資格学校講師が介福対策

今回は、介護福祉士国家試験の試験範囲でもある循環器系と呼吸器系の疾患について解説していきたいと思います。この知識は国家試験のカリキュラムでは「発達と老化の理解」に含まれる内容となっていますが、実際の現場でも活用できる知識となりますのでぜひ介護現場で活躍する方もご参考にしていただければと思います。それでは介護福祉士国家試験合格を目指してみんなで頑張りましょう。

循環器系の疾患について

循環器系の疾患には心臓血管など生命活動に不可欠な器官が含まれます。循環器系の疾患は、老化による脈拍の乱れや不健全な生活習慣を原因とした動脈硬化などによって引き起こされます。それではどのような疾患があるのか解説していきます。

不整脈

不整脈は、老化やストレス、心臓の疾患を原因として脈拍のリズムが不規則になった状態をいいます。脈拍の乱れは大きく2つに分類されます。①脈が平常時よりも速くなる「頻脈」②脈が平常時よりも遅くなる徐脈」の2つです。それではその2つについてもう少し掘り下げていきましょう。

【頻脈】

頻脈が起こりやすい不整脈は、「心房細胞」などです。高血圧や虚血性心疾患などに合併して現れることがよくみられます動悸、めまい、胸部の圧迫感といった症状が現れます。

【徐脈】

徐脈が起こりやすい不整脈は「洞不全症候群」「洞房結節」などの異常によって発症します。めまい、湿疹、動作時の息切れといった症状が現れます。

ここで問題!

【問題】

心房細胞では、頻脈になることが多い。

【答え】

答えは「○」です。心房細胞では頻脈が起こりやすくなります。

心不全

心不全とは、血液を循環させる心臓の機能が低下することにより、十分な血液が全身に送り出されなくなった状態のことをいいます。虚血性心疾患、高血圧などを原因とします。主な症状は、左心不全(左心室の機能低下による心不全)」と「右心不全(右心室の機能低下により心不全)」によって異なります。それではその症状について次に解説します。

【左心不全の症状】

チアノーゼや息切れ、呼吸困難の症状がみられます。心不全による呼吸困難は、起座位または範囲座位となることで呼吸困難が軽減されます

【右心不全の症状】

浮腫(浮腫)や食欲不振、血尿などの症状がみられます

虚血性心疾患

虚血性心疾患は動脈硬化を原因とし心筋に酸素や栄養素を供給する冠動脈が狭窄したり、閉塞することにより発症します。原因が冠動脈の狭窄と閉塞により分類されています。「狭心症」は冠動脈の狭窄によって引き起こされるもの、「心筋梗塞」は閉塞によって引き起こされるものです。それぞれ痛みの表れ方や特徴などに違いがあるのでしっかりと覚えておきましょう。

【狭心症】

発症:「冠動脈の狭窄」により、心筋に必要な酸素が一時的に不足している状態です

症状:胸部の痛みや圧迫感が5分程度続きます

治療:ニトログリセリンの舌下投与効き目があれば狭心症と判断されます。舌下投与は、舌の下に薬を置き薬物を吸収させる方法です。薬物が舌の血管から直接、吸収されるために効果が速く、強く現れます

【心筋梗塞】

発症:「冠動脈の閉塞」により酸素や栄養分の供給が途絶え、心筋が死滅していく状態です

症状:胸部の激しい痛みが30分以上続きます。ただし、老化により痛みを伴わない無痛性の人もいます

治療:冠動脈形成術・冠動脈バイパス術など

高血圧

高血圧とは、血圧が正常な数値を超えた状態に維持されていることをいいます。原因がはっきりしない場合が多いですが、動脈硬化と相互に関係があり、生活習慣病の1つに挙げられています。

【高血圧の診断基準】

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」では、最高血圧(収縮期血圧)最低血圧(拡張期血圧)について、高血圧の診断基準となる数値を示しています。どちらか一方でも該当することで高血圧とみなされます。それではその最高血圧と最低血圧の診断基準を紹介します。

【最高血圧(収縮期血圧)】

最高血圧とは心臓が収縮して、血圧を送り出す時に血管にかかる圧力のことです。140mmHg以上で高血圧とみなされます。また、高齢者では最高血圧が高くなるという特徴もあります。

【最低血圧(拡張期血圧)】

最低血圧とは心臓が拡張して、血液を受け入れるときに血管にかかる圧力です。90mm Hg以上で高血圧とみなされます。

呼吸器系の疾患について

肺炎

肺炎は、細菌やウイルスの感染、風邪の悪化、誤嚥などによって肺に炎症が起こる疾患です。主な症状として、発熱、咳、痰、呼吸困難などが挙げられますが、高齢者の場合、必ずしもはっきりとした症状が現れるとは限りません。苦しそうにしていないか?普段と比べて呼吸の回数が多くないか?といったところから症状の有無を読み取っていくことが大切です。肺炎の中でも高齢者に多く見られるのが「誤嚥性肺炎」です。食べたものや唾液などが、誤って気管から肺に入り込んでしまうことで肺に炎症が起こり発症する疾患です。脳梗塞などによる嚥下障害が原因となることもあり、予防のためには口腔ケアの実施や食事を摂取するときの体勢などが重要となります。

ここで問題!

【問題】

高齢者の肺炎では、呼吸数は減少する。

【答え】

肺炎の影響で呼吸困難となり、息苦しさを感じることから呼吸数は増加します。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣のある人に多くみられる疾患です。慢性閉塞性肺疾患には、タバコの煙によって気管支に炎症が起こり、気管支が狭くなる「慢性気管支炎」、肺胞が破壊されることで発症する「肺気腫」があります。特にからだを動かしているときに呼吸困難が現れやすく、長期間にわたって咳や痰が続くのが特徴です。

気管支喘息

気管支ぜん息は、主にハウスダストやダニなどのアレルギーを原因とした気管支の炎症によって発症します。特徴的な症状としては気管支の中を空気が出入りするときに喘鳴(「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音を立てる)がみられます。その他、気管支が狭まることによる呼吸困難、咳、などがみられます。

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