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神経系疾患を大阪で活躍する介護の学校講師が解説!介福国家試験対策!

介護福祉の試験範囲である「発達と老化の理解」の出題範囲である神経系の疾患について解説していきます。神経系の疾患には脳血管疾患やパーキンソン病などが含まれます。それらの病気の特徴などについて今回は覚えて、国家試験に挑みましょう。また、介護現場でも実際に活用できる知識になりますので是非、参考にしていただければと思います。

脳血管疾患について

脳血管疾患は脳血管障害脳卒中とも呼ばれ、脳血管の異常による病気をまとめて表す言葉です。高血圧や動脈硬化などの原因とし、生活習慣病の1つにも含まれています。脳血管疾患は大きく分けて、脳の血管が破れる「脳出血(脳内出血・くも膜下出血)」脳の血管が詰まる「脳梗塞(脳血栓・脳塞栓)」に分類されます。まずはその分類について解説していきます。

脳出血(脳内出血・くも膜下出血)の特徴

脳出血は、脳の血管が何らかの原因で破れ出血することで様々な症状を引き起こします。出血の部位によって、脳内出血くも膜下出血に分類されます。

【脳内出血】

原因:高血圧

発症:脳の細い血管が圧力を受けて破れることにより、脳内に血液が流れだし発症します

症状:頭痛、嘔吐、片麻痺などの症状が活動中に突然起こることが多い

【くも膜下出血】

原因:脳動脈りゅう(脳動脈にできたこぶ)の破裂

発症:くも膜と軟膜の間の血管が破れて、出血し足をします

症状:激しい頭痛、嘔吐、意識障害など

脳梗塞(脳血栓・脳塞栓)の特徴

脳梗塞は、動脈硬化によって狭くなった血管に「血栓(血液の塊)が詰まることにより、脳細胞に必要な酸素や栄養素が運ばれず異常をきたすものです。血栓が作られた場所により脳血栓と脳塞栓に分類されます。

【脳血栓】

発症:「脳で作られた血栓」によって発症します

種類: ①ラクナ梗塞(脳の深部の細い動脈で発症) ②アテローム血栓性脳梗塞(太い動脈で発症)

症状:片麻痺、感覚障害、言語障害などが発症を重ね段階的に現れます

【脳塞栓】

発症:「心臓など脳以外の血管で作られた血栓」が脳に運ばれてくることで発症します

種類: 不整脈を原因とした血栓の場合に「心原性脳塞栓症」と呼ばれます

症状:片麻痺、感覚障害、言語障害などが突然現れて、症状も悪化しやすくなります

ここで問題!

【問題】

脳梗塞の症状として激しい頭痛が特徴的である。

【答え】

答えは「×」です。激しい頭痛を特徴としているのはくも膜下出血です。

パーキンソン病について

パーキンソン病は「中脳(姿勢保持の中枢)の黒質」に異常が起こり、神経伝達物質ドーパミンの産生量が減少することにより発症します。50〜60歳代の中高年の人に多く見られ、認知症を合併することも多い病気です。また、嚥下障害も症状として現れ「不顕性誤嚥(誤嚥してもむせない)」が多いため注意が必要です。パーキンソン病には次の特徴的な4つの主症状があります。

パーキンソン病の4つの主症状

【筋固縮】

筋肉が硬くこわばり、スムーズに動かせなくなります

【安静時振戦】

じっとしている状態の時に手足が震えます

【無動・寡動】

動作するのに時間がかかり、ゆっくりとしか動けなくなります。表情の変化が乏しくなる「仮面様顔貌」という症状も現れます

【姿勢反射障害】

姿勢を変えようとした時などにバランスを維持することが難しくなります。

①「突進現象(前のめりになって止まれなくなる)」

②「小刻み歩行(歩幅が極端に狭くなる)」

③「すくみ足(歩きはじめの1歩目が踏み出せなくなる)」

パーキンソン病の重症度を分類する指標

パーキンソン病の重症度を分類する指標として「ホーエン&ヤールの重症度分類」や厚生労働省の示す「生活機能障害度」があります。それではその2つの重症度分類を次に紹介いたします

【ホーエン&ヤールの重症度分類】

ステージⅠ:一側性障害のみ、機能障害は軽微かなし

ステージⅡ:両側性障害、平衡機能障害はなし

ステージⅢ:軽度から重度の機能障害、姿勢反射障害、小刻み歩行やすくみ足が見られます。独立した生活が可能

ステージⅣ:高度の機能障害、歩行・起立は介助なしでかろうじて可能。1人での日常生活は困難

ステージⅤ:介助がなければ、寝たきりまたは車いすの生活

【厚生労働省の生活機能障害度】

Ⅰ度:日常生活、通院にほとんど介助を必要としない状態

Ⅱ度:日常生活、通院に部分的な介助を必要とする状態

Ⅲ度:日常生活に全面的な介助を必要とし、独力の歩行・起立が不可能

ここで問題!

【問題】

パーキンソン病は筋肉の異常が原因である。

【答え】

答えは「×」です。パーキンソン病は、中脳の黒質に異常があり、神経伝達物質であるドーパミンの産生量が減少し発症します。

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