和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

【実務者研修教員が徹底解説】医療的ケアの基礎について

実務者研修のカリキュラムにも含まれる「医療的ケア」について今回は解説していきます。この内容は実務者研修だけではなく介護福祉士国家試験の試験範囲にも含まれる内容となっております。

実務者研修にご興味のある方。また、今後、介護福祉士国家試験を受講される方には参考になる知識となっていますので、ぜひこの内容を覚えていただきたいと思います。

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医療的ケアについて

医療的ケアとは、喀痰吸引経管栄養など日常生活に不可欠な生活援助行為として、長期にわたり継続的に必要とされるケアのことを指します。本来であれば医師などに認められた「医行為」の一部ですが、2011年(平成23年)の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、特定の研修を受けた介護福祉士を含む介護職には、医師の指示のもと、喀痰吸引及び経管栄養の実施がみともられるようになりました。

「喀痰吸引」の範囲

①口腔内の喀痰吸引は「咽頭」の手前までを限度とする

②鼻腔内の喀痰吸引は「咽頭」の手前までを限度とする

③気管カニューレ内部の喀痰吸引は「気管カニューレの先端を超えない」ように注意する

「経管栄養」の範囲

胃ろうまたは腸ろうの経管栄養の場合の状態に問題がないことの確認は、医師または看護職が行う

経鼻経管栄養の場合の栄養チューブが正常に胃の中に挿入されていることの確認は、医師または看護職が行う

ここで問題!

【問題】

介護福祉士が医師の指示のもとで行う喀痰吸引の範囲は、気管の手前までである。

【答え】

答えは「×」です。介護福祉士に認められている喀痰吸引の範囲は、咽頭の手前までである。

「医行為」含まれない行為

医行為とは、医師の医学的判断・技術によるものでなければ人体に危害を及ぼしたり、及ぼすおそれのある行為とされています。どこまでの行為を「医行為」とするか明確な定義は定められていません。しかし、2005年(平成17年)の厚生労働省通知により、医行為ではないと考えられる行為が次のように示されました。

【医行為ではないと考えられる行為】

①水銀体温計・電子体温計による腋窩での体温測定や、耳式電子体温計による外耳道での体温測定

②自動血圧測定器による血圧測定

③動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメーターの装着(新生児以外で入院の必要のないものが対象)

④軽微な切り傷、擦り傷、火傷など、専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)

⑤一定の条件(利用者の容態が安定していることなど)を満たした上での医薬品使用の介助。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡処置を除く)や湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内容薬の内服(舌下錠使用を含む)、肛門からの座薬挿入、鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助

⑥爪切りやヤスリ掛け(爪そのものの異常、爪周囲の皮膚の化膿・炎症がない、糖尿病などの専門的な管理が必要ない場合)

⑦歯ブラシや綿棒などを用いた、歯・口腔粘膜・舌の汚れの除去(重度の歯周病などがない場合)

⑧耳垢の除去(耳垢塞栓の場合を除く)

⑨ストーマ装具のパウチに溜まった排泄物を捨てること(専門的な管理を必要としないストーマ装具の交換も含む)

⑩自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位の保持など

⑪市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸

医療的ケア実施するための従業者の要件

介護職が医療的ケアを実施するためには、まず次のいずれかの要件を満たす必要があります。

①介護福祉士養成課程において、知識・技術を習得し、実地研修を修了する

②介護福祉士を除く介護職が、都道府県や登録研修期間の実施する「喀痰吸引等研修」を終了して、認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける

【喀痰吸引と研修の種別】

次に挙げる第1号から第3号研修に分類されます。

①第1号研修:研修修了後、すべての喀痰吸引・経管栄養を実施できる

②第2号研修:実地研修を修了した任意の行為のみ実施できる

③第3号研修:特定の利用者(重度障害者(児)など)に対して、必要とされる行為のみ実施できる

医療的ケア実施するための事業所の要件

先程の要件を満たした介護職は、都道府県の登録を受けた事業者に就業することにより医療的ケアを実施できるようになります。

事業者は事業所ごとに「登録喀痰吸引等事業者(第2号研修の介護職は「登録特定行為事業者」)」として登録を受ける必要があります。

登録喀痰吸引等事業者(登録特定行為事業者)には、登録にあたって次のような基準が示されています。

【医療関係者(医師や看護職)との連携の確保の基準内容】

①医療的ケアの実施にあたり、医師の文書による指示を受ける

②実施内容を記載した計画書の作成

③実施状況に関する報告書の作成と医師への提出

④利用者の急変に備え、緊急時の医療関係者への連絡方法をあらかじめ定めておく

【医療的ケアを安全・適正に実施するための措置の基準内容】

①医療関係者を含み構成される安全委員会の設置、研修体制の整備

②実施のために必要な物品の整備

③備品の衛生管理と感染症予防のための措置

④計画書に対する利用者・家族への説明と、その同意を得る

医療的ケア実施の留意点

医療的ケアの実施にあたっては事故の防止と事故が起こったときのその被害を最小限に抑えるための「リスクマネジメント(危機管理)」の視点が重要です。

また、実施中の急変に備え、応急処置や一時救命処置の内容も必要です。それでは応急処置は一時救命処置について解説していきます。

異物を喉に詰まらせたときの対応

「チョークサイン」などがみられた場合、異物は喉に詰まったり、誤嚥を引き起こしたりしている事が疑われます。

異物を除去するためには①「背部叩打法」②「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」③「指交差法(交差した親指と人差し指で利用者の口を開く)」を行い、「指拭法(ハンカチなどを利き手の人差し指に巻き異物を取り出す)」などの応急処置を行います。

利用者が心肺停止に陥ったときの対応

緊急隊に引き継ぐまでに「CPR(心肺蘇生法)の実施」「AED(自動体外式除細動器)」の使用を含む一時救命処置を行う必要があります。それではその救命処置の手順について次に解説いたします。

【手順1:周囲の安全の確認・反応の確認】

呼びかけに対する反応の確認を行い、反応がなければ大声で応援を呼び、「119番通報」「AED手配」を行う

【手順2:呼吸の確認】

①呼吸がある場合は気道確保を行い、救急隊の到着を待つ

②呼吸がない場合は、直ちに【手順3】の胸骨圧迫を開始する

【手順3: CPR (胸骨圧迫・人工呼吸)の実施】

《胸骨圧迫》

胸骨の下半分を②重ね合わせた両手の付け根の部分で③胸が約5センチ沈む様に強く圧迫する。回数は④1分間100〜120回店舗で、絶え間なく実施する

《人工呼吸》

人工呼吸ができる場合は、①胸骨圧迫30回行い、②人工呼吸2回(約1秒かけて息を吹き込む)を行い、再度、胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返します

【手順4: AEDの実施】

心電図の解析結果に基づき、必要があれば電気ショックを一回行う。その後、電気ショックの有無にかかわらず救急隊に引き継ぐまで【手順3】を実施する

感染予防について

感染予防の3原則は

感染源の排除

感染経路の遮断

宿主の抵抗力の向上

です。これらの感染症の予防を理解している事は大切であり、介護現場で広く使われるものに「スタンダードプリコーション」ありますので次に解説していきます。

スタンダードプリコーション

感染経路の遮断の対策として、スタンダードプリコーション(標準予防策)があります。感染症の有無にかかわらずすべての人の血液」「体液(唾液や腹水など)」「分泌物(汗を除く)」「排泄物」「傷のある皮膚」などを感染源とみて予防策を講ずることをいます。

【スタンダードプリコーションの具体的な内容】

《手指衛星》

適切な手洗い、手指消毒薬による手指消毒

《防護用具の着用》

使い捨て手袋、マスク、使い捨てエプロン、ガウン、ゴーグルなどの着用

《鋭利な器具の適切な取り扱い》

針刺し事故の防止など

《使用機材、廃棄物の適切な取り扱い》

使い捨て機材の使用、消毒、廃棄物の管理など

《環境の整備》

清掃、清掃しやすい環境作り、床や壁を汚染環境と捉えるなど

ここで問題!

【問題】

スタンダードプリコーション(標準予防策)において、感染する危険性のあるものとして取り扱い対象として汗がある。

【答え】

答えは「×」です。汗はスタンダードプリコーションにおいて、感染源として対象とならない。

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