和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

【介護福祉試験対策】利用者と家族とのコミュニケーションの基本

ここでは利用者と家族との関係づくりについての基本的なコミュニケーション技術について解説していきます。

介護福祉試験対策の試験範囲では「コミニケーション技術」に含まれる内容となります。

また、バイスティックの7原則に関してもしっかりと覚えておき、試験に挑む必要があります。

利用者との関係づくり

コミュニケーションは、情報伝達そのものであり、人間関係を形成する上で欠かせないものです。利用者のベースに合わせながらコミニケーションを重ねていくことにより、相互理解が深まり、「信頼関係(ラポール)」の形成につながります。

また、利用者とのコミュニケーションにおいて、関係性が悪くとなることも考えられます。「感情の転移(転移と逆転移)」が生じた場合には注意が必要です。また話を聞く技法や質問の技法などもここでは重要になってきます。それではまず感情の転移ついて解説していきます

感情の転移

【転移】

利用者がかつて抱いていた様々な感情を、「援助者に向ける(投影)」こと

例:母親に対する敵意を、母親と同年代の女性の援助者に向けること転移を援助関係の進展に活用する事は可能

【逆転移】

援助者がかつて抱いていた様々な感情を「利用者に向ける」こと

例:亡くなった祖母と似ている利用者に無意識に頻繁に関わること逆転は避けるべき。援助者自らが好みで偏った気持ちで関わることを「選好感情」といいます

ここで問題!

【問題】

利用者に対する嫌悪の感情を抑え、過剰に優しく利用者に接するのは、利用者とのコミュニケーションにおいて逆転移が起きている事例に該当する。

【答え】

答えは「×」です。逆転移は、援助者が抱いている無意識な感情や葛藤を利用者に対して向けるようになることです。記述は適応機制の「反動形成」の例です。

話を聞く技法「SOLER」

相手の話に関心を持って耳を傾けて聞いていることが伝わるように聞く技法としてイーガンの示す「SOLER(ソーラー)」があります。これは話を聞くときの姿勢を示した5つの頭文字をとったものです。その5つの頭文字は次の通りになります。

【Squarely(S)】

相手とまっすぐに向き合う

【Open(O)】

開放的な姿勢をとる※腕や足を組んだ姿勢は相手に威圧感を与える「閉じられた姿勢」となります

【Lean(L)】

相手に向かって、からだを少し傾ける

【Eye contact(E)】

適度に視線を合わせる

【Relaxed(R)】

適度にリラックスした態度で話を聞く

質問の技法「閉じられた質問」と「開かれた質問」

質問の仕方によって相手がどのように答えるかどうかは変わってきます。質問には「閉じられた質問(クローズドクエスチョン)」「開かれた質問(オープンクエスチョン)」があり、場面に応じて使い分ける必要があります。それではその質問の内容について解説いたします。

【閉じられた質問】

「はい」や「いいえ」など、一言で答えられるような簡単な質問

メリット:質問に答えやすい。運動性失語の人には「閉じられた質問が適切」です

デメリット:十分な情報を引き出せない

【開かれた質問】

「どう思われますか」や「どのようなことが気になりますか」など、その人にしか答えられない考えや状態を尋ねる質問

メリット:その人の思いや考えなど、より多くの情報を引き出せる

デメリット:質問に答えにくい

納得と同意「焦点化・明確化・直面化」

介護方法やサービスの方向性等について利用者や家族の納得と同意を得る必要があります。納得と同意を得るためには、利用者にどのような課題があるのか、家族を含めてどういった希望を持っているのか、整理する必要があります。そのための技法には次に挙げる焦点化・明確化・直面化」があります。

【焦点化】

相手の話す内容をコンパクトにまとめ、ポイントを絞った上で質問を投げかける技法

【明確化】

利用者の話す内容が曖昧だったり、とらえどころがなかったりする場合に伝えようとしていることを質問により確かめる技法

【直面化】

利用者自身が見つめ直す必要のある感情や言動に対して、向かい合うきっかけを作るために、矛盾点を指摘するなどの質問を投げかける技法

ここで問題!

【問題】

直面化の技法では、利用者が話した内容を整理して伝える。

【答え】

答えは「×」です。直面化とは、両者の感情と行動の矛盾点を指摘することで、利用者自身が見つめ直す必要のある感情や言動に対して向かい合うきっかけを作る技法です。記述は焦点化の技法です。

バイスティックの7原則

介護職に利用者や家族の相談に応じ、ときには助言や指導を行うことが求められます。こうした時に活用されるのが「バイスティックの7原則」です。主に相談援助の場で原則として守られているものであり、介護の現場でも活用されています。

それではバイスティックの7原則について解説していきます。

【バイスティックの7原則】

《①個別化》

利用者の個別性を理解し、一人ひとりに合った援助を行う

《②意図的な感情表出》

利用者が自由に感情を表現できるように、意図的に援助を行う

《③統制された情緒的関与》

援助者は感情をコントロールし、利用者の感情の理解に努める

《④受容》

利用者の感情や行動を、ありのままに受け入れる

《⑤非審判的態度》

利用者を援助者の価値観によって評価・批判したりしない

《⑥自己決定》

利用者が自己決定できるように援助を行う

《⑦秘密保持》

利用者に関する情報を守り外部に漏らさない

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