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【2024年度改正】障害者差別解消法が変わる。事業者の「努力義務」から「義務化」へ

2024年度4月から障害者差別解消法が改正されることにより、様々な職種の事業者にも重要な内容が変更されました。

この内容は障がい者に関わる介護従事者や医療従事者だけではなく、全国民が把握し認知しておかなければならない内容となっております。今回は、どのような法改正がおこなわれたのかまとめていますので、ぜひご参考にしていただければと思います。

障害者差別解消法ができるまでの経緯

まず、障害者差別解消法が施行されるまでには様々な経緯があります。まず虐待防止に関する法制度は、2000年(平成12年)に施行された児童虐待防止法が初めて施行されました。その後、2005年(平成17年)には65歳以上の高齢者を対象とした高齢者虐待防止法が2番目に施行されました。しかし、その一方で、障がい者に対する虐待の施策に関しては、ほかの国と比べて遅れており、家族や障がい者、福祉施設、障がい者が働く職場で表面化したことで社会問題となりました。

そのような経緯もあり、障がい者の虐待防止の法律の立法化に向けての議論が進められ、2011年(平成23年)障害者虐待防止法が成立し、2012年(平成24年)から施行されました。その後、2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。

障がい者に関する虐待防止の法律は、児童から高齢者、そして、最後に障がい者を対象とした法律が定められました。

このように、わが国では、障がい者の政策に関しては、先ほども述べたように他の国と比較したときには積極的には進められておらず、障害者権利条約の推進も143カ国が推進している中、日本は2006年に推進し、141番目という障害者関連の条約でも後進国となっております。余談ですが、この条約には北朝鮮も2016年に推進されているのが驚きですね。

逆に批准していない国は、イスラエル近くにある「レバノン共和国」、宗教国家である「ブータン王国」、島国の王国である「トンガ」になります。また、アメリカは各州によって独自に法律が作れるため、州によっては違いがあるようです。

障害者差別解消法の改正について

障害者差別解消法とは、2016年4月に施行された法律です。法律の内容は、国や都道府県、市町村等の役所。会社やお店などの事業者が障がい者に対して正当な理由なく、障害を理由として差別することを禁止した法律です。

この障害者差別解消法には2つのポイントがあります。それは合理的配慮」「不当な差別的取り扱い」です。それではこの2つの内容について解説します。

「合理的配慮」について

合理的配慮とは、障がい者から社会の中にあるバリアを取り除くために、何らかの対応が必要としていると協力を求められたときに、負担が重すぎない範囲で対応するように配慮することをいいます。

例えば、「車椅子の方が段差を登れなくて、困っているときに段差乗り越えの介助を行う」「視覚障害者の方が目的地までの導線がわからない時に案内する」などが合理的配慮の対象となる行動です。

現在(2023年2月7日)、に関しては、この合理的配慮を障がい者自身から求められた場合には、国、独立、行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人に関しては、負担が重すぎない範囲での合理的配慮が義務とされていました。

しかし、2024年4月からは、事業者に対しても「努力義務」から「義務」に変わりました。ということはあらゆる民間事業者が障がい者から協力を求められたときには、この実施に伴う負担が重すぎない範囲で協力しなければならないとなりました。

※雇用に関するものは、同時期に施行された「改正障害者雇用促進法」にて規定されます。

「不当な差別的取り扱い」について

不当な差別的取り扱いとは、障害を理由に「拒否」「制限」「条件を与える」を禁止することです。

例えば「視覚障害があるので、コミニケーションが難しい為、受付や窓口の対応を拒否する」「聴覚障がい者に対して耳が聞こえないとチームワークが取れないので、サッカー教室の入会を拒否する」「車椅子の障がい者に対して、学校にはエレベーターがないので受験の拒否する」など。

このように障害を理由として、本来あるべき権利を奪ってしまうことがその対象となります。

障害者差別解消法に定められる罰則について

障害を理由に差別(不当な差別的取り扱い)や障がい者から協力を求められたときに負担が軽度にもあるのにかかわらず、対応しなかった場合(合理的配慮)、第6章、罰則第19条、第25条の規定に違反したものとして「1年以上の懲役又は5万円以下の罰金に処する」または「第16条、第26条、の規定による報告をせず、または虚偽の報告をしたものは20万円以下の過料に処する」と定められています。

すべての人にやさしい社会づくりを

4月からは民間事業者も障がい者から協力を求められた場合には、負担が重すぎない範囲で協力することが義務となります。福祉に関わる介護従事者だけではなく、この国に住む国民全体が把握しなければならない情報です。そして、これらのことが啓発されることにより、障害を持った方が住みやすい地域作りを築くことができます。

この投稿を読んでいただいた方にも、たくさんの人にこの情報をお伝えしていただき、すべての人に優しい社会づくりの貢献を行ってくれることを祈っています。

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