【南大阪の移動支援事業の実態】利用者がサービスを使えず、事業所も悪循環に!!
移動支援とは、地域生活支援事業の一部であり、各市町村が独自でルールを定め、利用者様に提供するサービスです。そんな移動支援サービスは、市町村により報酬に違いがあり、地域によって様々な要件が存在することはご存知でしょうか?今回はそんな移動支援サービス(ガイドヘルプ)のサービスの報酬にピックアップし、関西圏をリサーチしましたので、「移動支援のサービス内容」と「南大阪の問題」とともに解説していきます。
移動支援(ガイドヘルパー)のサービス内容
このサービスは市町村に住所を有する障害者の方が利用できる外出支援に特化したサービスです。ここでいう障害者の定義とは「障害者手帳を有するもの」ということになります。
この障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳)をお持ちの方が、市区町村役所の障害担当の係の窓口で申請することにより、様々な調査や主治医の意見書の提出などの手順を経て利用できるサービスになります。
冒頭でも説明した通り、外出支援に特化したサービスですので目的地は様々です。プールに一緒に入ることもあれば散歩をすることもあります。映画館や遊園地で一緒に楽しんだりと様々です。移動支援を利用するにあたり達成すべき内容は、余暇活動や社会参加を行うことにあります。
外出支援は、施設サービスとは違い交通公共機関の利用や天候や周りの環境などにより予測し得ないことが起こるサービスにもなりますので、担当する介護従事者は細心の注意を払わなければなりません。また、夏になると数時間の散歩など、サービス内容もハードなものが存在します。
私たち介護従事者は利用者様をしっかりと観察し、周りの環境に応じてリスクの軽減を図ること。そして、体力も必要になるサービス内容となります。
大阪府の移動支援の地域別報酬のリサーチ
今回のタイトルにもあるよう南大阪の移動支援の報酬単価は関西全体と比較して最も低い報酬となっております。
私が住む大阪府和泉市(南大阪)周辺の大体の報酬ですが、「1時間一律1800円」の報酬が事業所に支払われることになります。
そして、大阪府の中心地である。大阪市に関しても「一律1時間1900円」の報酬になります。
そこから大阪府北部になると報酬は大きく変わります。大阪府豊中市に関してはなんと「1時間4240円(身体介護伴う)」と倍以上の報酬。
そして、近隣の大阪府池田市に関しては「1時間4000円(身体介護伴う)」と言う報酬になります。さらに豊中市と池田市に関しては、時間帯に応じて報酬が変わり、早朝や夜間に関しても、1.25倍から1.5倍の報酬が支払われることになります。
この情報を見ると、大阪府全体が移動支援事業に力を入れていないという数字が見られます。
関西圏の移動支援の報酬圏
ここからは、簡単にですが関西圏の移動支援の報酬についてご紹介いたします。
京都府は「八幡市1時間4000円(身体介護伴う)」「宇治市1時間4000円(身体介護を伴う)」
兵庫県は「神戸市1時間4050円(身体介護を伴う)」「赤穂市1時間4020円(身体介護を伴う)」
和歌山県は「紀の川市1時間4070円(身体介護伴う)」「岩出市1時間4000円(身体介護伴う)」
奈良県は、「奈良市1時間4000円(身体介護を伴う)」「生駒市1時間4040円(身体介護を伴う)」
全てではありませんが、大体の数字が1時間4000円を超える報酬となっております。さらに詳しい内容は下記の内容となります。
大阪府は、一律1800円前後の市町村が多く、地域格差が生じているのが現状です。ここで身体介護を伴うとは、外出支援に対して身体的な介助(トイレ介助や車椅子介助)が必要な方になります。
大阪府のほとんどの市町村に関して「身体介護伴う」という重度の方に対して報酬を高くするような制度は設けられておらず、報酬が一律という特徴があります。
介護以外の移動支援に関わる業務
移動支援にはサービスを担当する介護従事者とは別に事務作業も存在します。事務作業とは、主に請求業務や管理業務になります。請求業務は各市町村のフォーマットに応じて入力し、メールに添付し送信したり、切手を貼って郵送にて行う方法となります。
フォーマットが各市町村により違いもあり、ここには専門的な知識を持った事務処理が必要になります。ある市町村では移動手段をしっかりと記入しなければならない。ある市町村では印鑑を必要とし、利用者様の印鑑をいただき、提出しなければならない業務が存在します。また、介護の記録もIT化が進んでいるのにもかかわらず、それを紙媒体で保管しなければならない管理業務。
そのような裏方の作業を得て、市役所に請求を行うことで事業所に報酬として支払われ、現場の移動支援サービスを担当する介護従事者に給与として支払われます。
大阪府ではサービスを利用できない障害者が増加
このような報酬単価から見て移動支援サービスは、利用者様が使いたくても、事業所に支払われる報酬が低いため、サービスを受け持つことができず「余暇活動で楽しみたい」や「社会参加したい」というプランをお考えの障害者の方がサービスを利用できないといった問題が南大阪発生しています。
障害者の方は、平日の日中は生活介護や就労支援で活動されている方が多く、移動支援を利用するのは土・日・祝日に集中することが多い傾向にあります。
例えば、私の事業所で正社員の方が月給25万円を支給しているとして、土曜日に出勤した場合の時給(月労働日数21日の場合)を計算すると 1860円になりますので移動支援の報酬1800円以上の給与を支払わなければなりません。また、日曜日の場合は法定休日になりますので、掛け率がさらに上がり、時給2008円になります。そこに事務作業が発生することになり、さらに人件費がかかります。
こういった問題が発生し、サービスを担当すればするほど事業所が赤字になってしまうのが南大阪の移動支援です。私も、介護現場で移動支援介護従事者として働く職員でもあります。利用者様と外出する事はリスクを抱える責任もあり、体力も必要になります。もちろん、無事に目的地で楽しむことも仕事のやりがいにつながっております。
しかし、このような南大阪の現状が、利用者様がサービスを利用できない問題や事業所がサービスを受け持つことができない問題につながっています。
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