【南大阪の福祉の向上】介護事業所が集まり利用しやすい移動支援ついて
今回、人権文化センターで訪問介護と計画相談員の交流会が開催されました。それに伴い、南大阪の障がい者の外出支援に特化したサービスである移動支援事業が介護報酬の事情や事務作業の膨大さと複雑さにより依頼を受けない事業所が多発している現状です。そんな移動支援サービスを「使えないないサービスから使えるサービスへ」変えていきたいという思いもあり新たに「移動支援向上委員会」を設立いたしました。
今後の活動としては「和泉市」「忠岡町」「岸和田市」「泉大津市」の市町会議員に協力を仰ぎ議会で取り上げていただくような活動をメインに行っていきます。それでは、この委員会で具体的にどんな活動を行っていくのかをここではご紹介していきます。
移動支援サービスに関わる事務作業の簡素化
移動支援事業は各市町村で請求業務や計画書の作成、その他、管理業務が存在いたします。この内容は、2006年に施行された自立支援法ができた当時にある程度のルールが定められ、移動支援事業が市町村によって運営されてきました。
僕が知る限り請求方法や作成しなければならない書類はその当時からほとんど変わりなく運用されておりスマートフォンやパソコンの進化、システムの導入が進んでいる世の中、効率的に運用されている事はなく課題がたくさんあります。
例えば書類の提出方法もいまだに紙媒体で切手を貼って郵送するか、直接市役所障害担当窓口に提出するといった内容です。
そして、わが国では印鑑の文化をどんどんとなくしていき、ペーパレス化も進んでいく中、利用者様の印鑑や会社の印鑑がいまだに必要とされています。市町村によっては印鑑レスを行い各書類をメールで受付するところもありますが、障害福祉分野に関しては積極的に近代化が進められていない市町村が多いのが現状です。
これは介護サービスを提供する訪問介護事業所などの民間企業が努力し、いろいろなシステム導入を行っても解決されることではなく、行政職の強いこの仕事は行政自身の考え方や運用方法を変えてくれなければ、我々もそれに従うことしかできないのがこの業界になります。
私が住む和泉市役所は最近、建物の老朽化が問題され、役所の立て直しとシステム導入が行われました。しかし、実際の状況は時代に取り残された移動支援事業の運用方法で行われているのが実態となります。
また、されらにおり行政側は事業所の作成した書類を適正化していかなければならない管理業務の多忙化。事業所側も行政側から提示されている書類の作成による事務作業の多忙化。お互いが非効率な事務作業を行い管理できず紙媒体で保管しなければならない状態です。
例えば、ペーパーレス化を行うことにより行政側も書類のデータ管理等が行え、必要な書類を必要な時にすぐに取り出すことができ、紙の保存場所も必要がなくなります。こういったことをそれぞれが問題認識し、事務作業を効率的に運用していくことを移動支援向上委員会は望んでいます。
移動支援サービスの単価報酬増加
大阪府は特に障害福祉に対しての意識が低くその象徴と言えるのが移動支援の単価報酬です。※大阪北部は除く。さらに詳しい内容は違うページで解説していますので、下記のページをご参考に。
【南大阪の移動支援の現状 ブログ】
あらゆる大阪府周辺の都道府県、そして、大阪北部でも移動支援の報酬は身体介護が必要な方に関しては、報酬が高く1時間に対して平均4000円の報酬が事業所に支払われます。
ただし、大阪府に関しては半分以上の市町村では、身体介護を「必要」「必要ではない」など関係なしで、一律平均1時間1800円と明らかに地域間での報酬の差が生じているのが事実です。
先程述べた事務作業が大変な中、介護現場も対応しながら、介護職員にお給料を支払うとなれば、この報酬では赤字になる事業所も多く、移動支援のサービスの依頼があっても、受け持つことができないのが事業所が多数存在しています。
もちろんこの内容で困るのは事業所になりますが、それに伴い移動支援を利用し、外出したいと希望されている障がい者当事者も困っており、悪循環になっているのが現状です。
これは事業所や利用者様の原因ではなく、その地域の行政が障害福祉に対しての意識の低さや、その問題認識を把握していないことが要因となっております。
「移動支援を使いたいけど使えない利用者様」「移動支援を使って外出させてあげたいと思っている事業所側」これらの2つの思いが行政事情により妨げられているのが移動支援事業の実態です。
こういったことをこの委員会を通して解決する方向へ持って行けたらと考え、南大阪の各市町村の議会で定義していただくことを目標としております。そのためはこの問題の啓発活動と問題を解決すればどのようなメリットがあるのかという課題をしっかりと提示し、活動を行っていきます。
誰のための移動支援事業なのか?
移動支援のサービスを利用することにより、障がい者の方が休日、学校や生活介護が終わった夕方の時間などに外出し、気分転換してもらうためにこのサービスがあります。また、外出先で社会参加を行い、買い物や食事などの余暇活動を過ごしてもらうことも目的にあります。
しかし、行政の予算事情により、事業所側がサービスの依頼があったとしても受け入れない事業所が多く存在するのが実際の介護現場に携わる身として感じていることです。
事業所間同士のお話でも移動支援のサービスの依頼があれば、まずは断ることが前提になるので「申し訳ない気持ち」になるのが介護事業所で働く職員の本音です。
また、そのサービスを依頼する計画相談員も「移動支援のサービス依頼をすることが申し訳ない」という前提でサービス依頼をしていることも現場でよく聞く声です。
このように、障がい者当事者や事業所に原因がないのにもかかわらず、大阪府以外の各都道府県で対応できているようなことをできていない行政事情により悪循環が生まれ、移動支援サービスは使えないサービスとして認識されているのが介護現場のリアルです。
私は想像します。この問題が解決する必ず障害福祉分野に元気が出ます。利用者様も介護事業所で働く職員、みんなが気持ちよく楽しく使えるサービスになり、介護業界が元気になることを願っています。こういう問題を解決するために、この委員会を立ち上げ活動していくことを誓います。
« 前のページに戻る