令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン91「認知症の理解〜若年性認知症〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲の中から様々な分野についてまとめていきたいと思います。
今回まとめていく内容は「認知症の理解」について解説していきます。様々な認知症の中から若年性認知症といったテーマをピックアップして解説していきたいと思います。
目次
・若年性認知症の特徴
・若年性認知症の現状
・生活上の課題と必要な支援や施策
・若年認知症の人とその家族が抱える問題
・まとめ、感想
若年性認知症の特徴
18歳以上65歳未満までに認知症を発症した場合には、高齢になってから発症した認知症とは異なる疾患の特徴があるとともに、高齢者にはない生活上の課題が存在するため若年性認知症として別に考えられます。
高齢者では、認知症の原因になる疾患としてアルツハイマー型認知症が最も多いが、若年性認知症の場合は、脳血管性認知症が最も多くなります。次いでアルツハイマー型認知症、頭部外傷後遺症となっています。
男性の方が、発症率が高くなっています。
若年性認知症の現状
2009年(平成21年)の厚生労働省の調査では、全国における若年性認知症患者の推計数は約3万8千人であり、18歳以上64歳未満の人口10万人あたりに47.6人となります。推定発症年齢の平均は51.3 ± 9.8歳となっています。
生活上の課題と必要な支援や施策
働き盛り世代の若年性認知症の発症は、経済的な困難が大きいほか、育児や子供の就学、就職などにも影響が及びます。家族が若年性認知症になると、子供世代に与える心理的影響は大きく、家族介護者の約6割が抑うつ状態になるといわれています。また、親の介護との重なりや、高齢の親による介護も課題となります。
また相談窓口として「若年性認知症コールセンター」が設置されています。
このような社会問題を解決するために2015年(平成27年)に策定された「新オレンジプラン」では柱となる施策の1つとして「若年性認知症施策の強化」が位置づけられています。
施策は以下のようになります。
①早期発見、早期対応につなげるための普及啓発
②発症初期から適切な支援を受けられるような若年性認知症ハンドブックを配布
③若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役(若年性認知症支援コーディネーター)の配置
などの施策が挙げられています。
若年認知症の人とその家族が抱える問題
【診断が遅れる】
物忘れや行動の変化などが何らかの異常に気づいても、若年であるため認知症だとは思わず見過ごしてしまうことが多い。また、更年期障害やうつ病と勘違いし、間違った医療機関を受診しているケースも多くある。認知症は、早期発見・早期治療が重要であり、若年性認知症と診断されたときには、かなり進行していることが珍しくない。
【約8割が職を失う】
認知症を発症したからといって、必ずしも仕事を辞めなければないというわけではなく、軽度であり体調が安定していれば、治療を受けながら仕事をすることも可能です。しかし、実際は多くの人が診断後に失業しています。2014年(平成26年)に厚生労働省が認知症介護研究・研修大阪センターと実施した調査によれば、約8割が自ら退職するか、解雇されています。
【収入減により家計が苦しくなる】
2009年(平成21年)の厚生労働省の調査では、7割が認知症発症後に収入が減ったと回答しています。自立支援医療、年金や手当等を利用するのが一般的だが経済的な困難を感じている人は多い。
【子供に影響が及ぶ】
親の若年性認知症が子供世代に与える心理的影響は大きく、進学、就職、結婚などの人生設計にも関わる場合もあります。
子供が親の病気を理解し、不安を取り除いて自分の人生を止めるよう支援することが求められています。
【若年性認知症に特化した支援やサービスが充実していない】
施策を強化しているとはいえ、若年性認知症向けの支援やサービスは充分ではありません。多くの介護者が経済的支援と、若年性認知症に特化した福祉サービスや専門職の充実の必要性を訴えているのが現状です。
まとめ、感想
若年性認知症は本人の症状の進行はもちろんのこと、周りの家庭環境に大きく影響を与えるのが特徴的です。他の病気と勘違いされやすく発見された時には遅いので、気づいた頃には病気の進行が進んでおり、本人、またその家族の精神的負担も大きいようです。
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