和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン127「こころとからだのしくみ~身支度と整容とからだの基礎知識~」

どうも。カイゴライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から「こころとからだのしくみ」について解説していきます。
今回、解説していく内容は、身支度に関連したこころとからだの基礎知識について解説していきます。

目次

・身支度の意味と効果
・身支度に関わるからだの基礎知識①「口腔」
・身支度に関わるからだの基礎知識②「眼」
・身支度に関わるからだの基礎知識③「爪」
・身支度に関わるからだの基礎知識④「毛髪」
・まとめ、感想

身支度の意味と効果

身支度は清潔を保つことによって、健康維持するという基本的な役割があります。また、社会と関わる上での自己表現であり、社会との関係を保つためにも不可欠な行為といえます。
老化や疾病、障害などにより身支度が困難になると、社会との交流を避けることにより、日常の活動が低下してきます。その結果、身体機能の低下につながり、廃用症候群を招くこともあります。

【身支度の効果】

①生活にリズムが生まれる
②社会生活の維持・向上を図ることができる
③生活の中に楽しみが生まれる
④健康的な生活ができる

身支度に関わるからだの基礎知識①「口腔」

口腔は、食事や呼吸、会話をするための構造を持ち、身体機能や生活を維持するための重要な役割を担っています。それでは口腔の機能や観察ポイントについて解説していきます。

【口腔の機能】

①食物を摂取する入口であり、咀嚼、唾液の分泌、嚥下を行い食物を体内に入れる。
②呼吸器の入り口
③発音する
④顔貌を作る

【観察のポイント】

①ぐらぐらした歯はないか②痛みはないか③義歯(入れ歯)は合っているか④出血はないか⑤周囲の口腔粘膜と色の違いはないか(赤い、白いなど)⑥口臭はないか⑦口内炎の症状はないか⑧食事量嗜好に変化はないか⑨十分に唾液が出ているか⑩飲みにくくなっていないか
などの観察ポイントがあります。

【口腔内の変化への対応】

食事や口腔ケア時の観察などによって変化が見られた場合、変化の原因を探って対応策を検討します。例えば食事量の減少は義歯(入れ歯)の不具合や虫歯のチェック、口臭の発生は口腔ケアの状況や疾病のチェックなどを行います。また、口内炎になると口腔ケアが十分にできず、口腔内の清潔を保ちにくくなります。

【唾液】

1日に1〜1.5L分泌される。自律神経が支配しているので、安静時・睡眠時には分泌が減少する。また、食物が口腔内で消化されると刺激となって唾液の分泌が活発となる。その99%が水分。耳下腺、顎下腺、舌下腺が3大唾液腺であり左右に各2か所あります。唾液の減少がみられた場合にはマッサージを行う必要があります。

【歯周病】

歯肉や葉を支える歯槽骨など、歯の周囲組織に起こる病気の総称。歯と歯肉の境界部分に付着した歯垢(プラーク)が原因とされます。歯磨きの際に、虫歯になりやすい部位とともに、歯と歯肉の境界をしっかりと磨くことが大切です。

【口腔内アフタ】

口腔内に、丸く白い偽膜を持つ小さな潰瘍ができます。周囲は赤く腫れていて、痛みがある。原因は細菌、食べ物、アレルギー、ビタミン不足などです。ベーチェット病(難病)の症状の1つです。

【虫歯の進行状況】

歯の硬組織の軟化とくぼみの形成を伴う局所的な歯牙の原因性疾患のことを虫歯といいます。
虫歯の進行状況は4つのレベルに分類することができます。
《C1》
歯の表面、エナメル質に穴があく。症状は特にない。
《C2》
歯の内面、象牙質まで進行します。症状は水がしみるなど。
《C3》
歯の中心部、歯髄まで進行。症状として神経圧迫による痛みがある。
《C4》
歯表部の欠損部分が広い。歯髄の内部まで進行する。放置すると歯根膜へと広がる。症状としては持続的な痛みや腫れ、全身症状としての発熱につながる場合もあります。

【老化による口腔内の主な生理的変化】

①歯の数の減少
②不適切な歯磨きによる知覚過敏
③咀嚼の低下
④唾液分泌量の低下
⑤味蕾の数の減少など

身支度に関わるからだの基礎知識②「眼」

眼は、角膜、水晶体、硝子体、網膜などから構成され、網膜に映った像が、視神経を伝わって大脳の視覚中枢で処理され、色や形が認識されます。

【眼の機能】

外界の光による情報の受容(全感覚器で受容する情報量の約8割を占める)

【眼の観察のポイント】

①見えにくさの訴えの有無
②目やにの量と色
③結膜の状態(色)
④眼周囲の皮膚の状態

【眼の変化への対応】

眼を拭く時は、目頭から目尻に向かって拭きます。目やにの量が異常に多い場合や結膜が赤くなっている場合には、医療職へすぐに報告します。見えにくさが疑われる場合は、医療職に繋げる。

【主な目の病気】

《逆まつげ》
まつげが眼球に触れることが原因。症状としては、ゴロゴロ感、涙目、目やにがある。
《ベーチェット病》
ぶどう膜の炎症が繰り返し起きる。黒目下に三日月型の白い炎症も見られます。症状としては、眼痛、視力低下、口腔内アフタがある。
《白内障》
加齢による水晶体の混濁が原因。症状としては視力低下、視界が白く霞む。
《緑内障》
眼圧の上昇が原因。最近では正常圧の眼圧でも発症することがある。症状は視力低下、視野狭窄であり中途視覚障害者で1番多い疾患

身支度に関わるからだの基礎知識③「爪」

爪は、タンパク質が変性したケラチンでできています。1日に約0.1mm伸びます。正常な爪は桃色で、圧迫すると白くなります。なお、爪は足指より手指のほうが伸びる速度が早い。
爪は短く切りすぎると巻き爪になるので注意が必要です。また、爪白癬の予防は洗浄後に水分をよく拭き取ることが重要です。

【爪の機能】

①指先の保護
②指の支持
③手足の動きの補助

【観察のポイント】

①爪の色②爪の性状③かゆみや痛みの有無④爪周囲の皮膚の状態(赤み、周囲との違い)
上記のような変化が見られた場合には医療職に相談する必要があります。

【爪の変化と考えられる原因】

《暗青色》
心疾患や呼吸状態の悪化
《全体に白い》
肝障害、低栄養、貧血
《中央に白色帯》
腎疾患
《白濁、肥厚、崩れ落ちる》
爪白癬
※皮膚に感染すると水虫となる。
《深爪、巻き爪、陥入爪》
不適切な爪切り

≪スプーン爪≫

爪先が反り、内側に凹んでスプーン状になっている状態を指す。重症の貧血が原因。

≪バチ状爪≫

指先が太鼓を叩くバッチのようになった状態を指す。主に心疾患が原因で起こる。わ

身支度に関わるからだの基礎知識④「毛髪」

毛髪は、皮膚のタンパク質が糸状に角化したもので、1日に日本人では0.3~0.45mm伸びます。頭皮から分泌されるトリグラセイド(中性脂肪)には、表皮の保護作用があります。

【毛髪の機能】

①外界から取り込んだ汚染物質を体外に排出する
②保温

【観察のポイント】

①異常な抜け毛の有無(円形脱毛症の疑い)
②皮膚の痒みや痛みの有無
③周囲の皮膚の状態(赤み、周囲との違い)など

【変化への対応】

異常な抜け毛が生じた場合は、円形脱毛症である可能性が高い。原因としては、ホルモンやストレスが主な原因と考えられます。
1~3ヶ月ぐらいで治癒することが多い。
皮膚のかゆみとともに痛みがあり、発赤や皮膚の盛り上がりがある場合は、炎症の可能性があるので、医療職に報告します。
かゆみやフケが多い場合は、シャンプーの適応・不適応、また洗い方を検討します。
かゆみについては季節の変化や洗髪の減少など、利用者の生活習慣の変化も影響するので確認が必要です。

まとめ、感想

今回まとめた内容以外にも身支度には、化粧や髭剃りなども含まれます。
化粧やおしゃれをすることは精神的な効果もあり、「外に出たい」という気持ちを向上させる効果もあります。逆にそれを怠れば引きこもりになる原因にもなりますので注意が必要です。
また、利用者の服の選択は、利用者自身にしてもらい残存機能の活用を行い、本人の好みのものを表現できるよう心がけて下さい。
髭剃りは介護職のできる範囲でいうと電気カミソリを使って、ヒゲを剃ることは可能ですが、カミソリを使ってヒゲを剃ることは禁止されていますので実際の現場では注意してください。

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