介護福祉士の試験範囲でもある日本の社会保障の財源と費用について解説していきます。ここでは社会保障の費用を支える財源についての金額や割合などに注目していきます。また、社会保障関係費の内訳、総額や比率を覚えておくことが介護福祉士国家試験にチャレンジする方は重要ですのでしっかりとポイントを押さえておきましょう。
社会保障の財源
社会保険料とは、労働者や法人が「年金保険」「医療保険」「介護保険」などを通して社会保険制度に対して納める保険料のことです。税負担(国負担)は、所得税や法人税、消費税として徴収され、日本に住む国民全員が受ける公共サービスに使われます。
そんな社会保障の財源は、保険料と税金より賄われているということです。2019年(令和元年)度には財源の総額は約132兆円になりました。
社会保障の内訳
被保険者と企業などが支払う社会保険料「55.9%(内訳:被保険者29.4%、事業主26.5%)」
国及び地方公共団体が税金で支払う公費負担「39.2%(内訳:国庫負担26%、他の公費負担13.2%)」
他の収入「4.9%(内訳:資産収入等1.2%、その他3.7%)」
となっています。
人口問題研究所「令和元年(2019年)度社会保障費用統計」
一般会計予算と社会保障関係費
国の財源は、一般会計と特別会計から成り立っています。
【一般会計】
一般会計は、国の基本的な歳入(一会計年度内の収入の総計)・歳出(一会計年度内の支出の総計)の経理のことです。
【特別会計】
特別会計は、一般会計と区分して設けられた会計で、国の行政活動が拡大し複雑化して、事業の適切な経理が難しい場合などに、一般関係と区分して特定の歳入と歳出を経営します。
国の歳出で最も良いのは社会保障関係費
国の歳出を見てみると、最も多い歳出項目は「社会保険関係費」です。これには社会福祉関係の費用も含まれます。2022年度(令和4年)の一般会計歳出をみると、社会保険関係の割合は33.7%を占めています。
社会保障関係費は、「年金給付費」「医療給付費」「介護給付費」「生活扶助等社会福祉費」などによって構成されています。今後高齢化が進むにつれ年金や医療、介護に係る歳出が拡大するため、社会保障関係費の総額は年々増加の道をたどっています。中でも年金給付費と医療給付日の割合が高くなってきています。
ここで問題!
【問題】
国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は、30%を超えている。
【答え】
答えは「○」です。2022年度(令和4年)の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は33.7%となっています。
社会保障給付費
社会保障給付費の総額と部門別
先程の一般会計における社会保障関係費とは別に「社会保障給付費」という指標もあります。これは1年間に国民に支払われる「年金・医療等の社会保険」「福祉関係のサービス給付」の合計額です。その部門別の内訳は「年金」「医療」「福祉その他」となっています。
社会保障給付費の総額は、少子高齢化により、一貫して増加しており2019年度(令和元年)では123.9兆円となっています。その内訳は、
年金が55.4兆円(44.7%)
医療が40.7兆円(32.9%)
福祉その他が27.7兆円(22.4%)
となっています。「年金・医療・福祉その他」は概ね「5:3:2」の比率となっています。
社会保障給付費の機能別
社会保障給付費の機能別には「高齢」「遺族」「障害」「労働災害」「保健医療」「家族」「失業」「在宅」「生活保護その他」に分類されています。そのうち最も多いのが「高齢」となっており46.7%と約5割を占めています。その次に「保健医療」が31.5%、「家族」が7.4%、「失業」が1.2%の順となっています。
ここで問題!
【問題】
2019年(令和元年)の社会保障給付費の「年金」「医療」「福祉その他」の部門別割合は約5:4:1である。
【答え】
答えは「×」です。社会保障給付費の「年金」「医療」「福祉その他」の部門別割合は約5:3:2になります。