和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

高齢者の疾患の特徴について大阪介護の資格の学校講師が解説します

今回は、介護福祉士国家試験範囲でもある高齢者に特徴的な様々な症状やその原因疾患を解説します。また、高齢者の方がどのような原因で介護が必要になっていくのかを解説していきたいと思います。

この知識は介護福祉士国家試験範囲では「発達と老化の理解」に含まれる内容となっておりますので、国家試験を受験される方は、ぜひとも参考にして試験に挑んでいただければと思います。

高齢者に現れる様々な症状

高齢者がからだの不調を訴えた場合、その背景には様々な疾患があることが予測されます。それではどのような原因でその症状を訴えるか次に解説していきます。

高齢者が訴える様々な症状とその原因

【痛み】

頭痛:くも膜下出血、脳腫瘍

胸痛:虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

腰痛:腸閉塞、胃潰瘍、大腸がん

関節や骨:骨折、変形性関節症、関節リウマチ

【痒み】

発疹あり:皮膚炎、疥癬、かぶれ

発疹なし:老人性掻痒症、糖尿病、慢性腎不全

【浮腫】

顔の浮腫:慢性腎不全、甲状腺機能低下症

手足の浮腫:静脈の血栓

全身の浮腫:ネフローゼ症候群

【しびれ】

手足のしびれ:末梢神経障害、後縦靭帯骨化性

半身のしびれ:脳梗塞、脳内出血

【めまい】

持続的なめまい:動脈硬化による多発性脳梗塞

立ちくらみなど:低血圧、脱水

耳鳴りや回転感を伴うめまい:メニエール病

耳鳴りを伴わない回転感のあるめまい:良性発作性頭位めまい症

【下痢・便秘】

急性の下痢:ウイルス性の感染症

慢性の下痢:過敏性腸症候群

便秘:朝の働きの低下、大腸がん

【咳・痰】

慢性の咳:慢性気管支炎、肺気腫

痰のない咳:降圧剤

咳や血痰:肺結核

高齢者の疾患の特徴

高齢者の疾患の現れ方には、この疾患ならこの症状が現れるという保証がない「否定型的」といった症状の特徴があります。また症状の現れ方も個人差が大きく、高齢者の健康状態を把握するにも特徴をしっかりと押さえておく必要があります。

高齢者の疾患の特徴

①恒常性を保てず全身状態が悪化しやすい

②複数の疾患を併発し、合併症を起こしやすい

③疾患の基本的な症状が現れにくく否定型的

④症状の現れ方や程度に個人差が大きい

⑤入院や入所など住環境の変化の影響を受けやすい

⑥うつなどの精神症状や神経症状が伴いやすい

⑦慢性化しやすく治療に時間を要する

⑧慢性化により廃用症候群がADLやQOLの低下を招く

⑨肝臓や腎臓の機能低下により、薬剤の代謝は低下し、薬物排泄量も減少するため、複数の薬物が相互に影響を与えあい、有害な副作用が引き起こされやすくなる

ここで問題!

【問題】

高齢者が複数の慢性疾患を持つ事はまれである。

【答え】

答えは「×」です。高齢者は複数の疾患を併発し、合併症も起こりやすく慢性化しやすい。

老年症候群について

老年症候群とは、加齢による心身機能の低下によって引き起こされる様々な症状・病態をいいます。原因が多様ではっきりせず、治療よりも予防と適切な対応が重要となります。それではどのような症状や病態が見られるか次に紹介します。

老年症候群として扱われる主な症状と状態

「フレイル、サルコペニア」「意識障害、せん妄」「抑うつ」「認知機能障害」「低栄養、食欲不振」「脱水」「起立性低血圧」「めまい、ふらつき」「視聴覚障害」「廃用症候群」「尿失禁」「手足のしびれ」「誤嚥、嚥下障害」「転倒、転落」「便秘」「貧血」「骨折」「骨粗しょう症」「低体温」

フレイル

高齢になって筋力や活動が低下している状態を「フレイル」といいます。健康と病気の中間の段階で進行すると寝たきりや廃用症候群になる恐れがあります。次の項目のうち3項目以上あればフレイル1〜2項目であればプレフレイルとみなされます。その項目とは体重減少」「歩行速度低下」「握力低下」「疲れやすい」「身体活動レベルの低下」です。フレイルは適切な介入と支援があれば健常に近い状態への改善や進行を遅らせることができる可能性があるため、適度な運動、適度な食事、社会活動への参加を通じてフレイルに陥らないことが重要です。

サルコペニア

加齢に伴う骨格筋量の減少を「サルコペニア(加齢性筋肉減少症)といいます。近年では筋量の減少に加え、筋力や身体機能の低下を含めた概念で考えられます。

高齢者の介護が必要になった原因

高齢者はどのような疾患が多く見られ、何が原因で介護が必要になったか?また、65歳以上の高齢者の死因の原因についても覚えておきましょう。

介護が必要になった主な原因

【要介護の場合】

第1位:認知症/第2位:脳血管疾患/第3位:骨折・転倒

【要支援の場合】

第1位:関節疾患/第2位:高齢による衰弱/第3位:骨折・転倒

【要介護・要支援の総数】

第1位:認知症/第2位:脳血管疾患/第3位:高齢による衰弱

65歳以上の高齢者の死因

第1位:悪性疾患/第2位:心疾患/第3位:老衰/第4位:脳血管疾患/第5位:肺炎/第6位:誤嚥性肺炎

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