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【移動支援向上委員会の実績報告】業務の効率化等の問題点について改善を

移動支援向上委員会は、偶数月の最終火曜日に開催され、そこでは南大阪の障害支援サービスの1つである「移動支援(ガイドヘルパー)」の問題点について啓発する委員会です。この移動支援とは障がい者の外出支援サービスに特化した内容となっております。障がい者が余暇活動や社会参加のためにこの制度を利用し、ヘルパーさんと一緒に外出を楽しむんだり、外出先で必要な目的を達成するための支援です。

そんな移動支援サービスは地域支援事業(市町村が独自で運営する事業)の中に含まれ、各市町村によってルールや報酬が違うのはご存知でしょうか?

いまだに紙媒体にて印鑑を押し郵送で請求書を送る市町村もあれば、請求業務が電子化されている市町村もあります。また、請求業務だけではなく、移動支援計画書等の管理業務も必要であり、そちらも業務の負担となっております。

移動支援向上委員会では、そんな問題について、各市町村の市町会議員さんに啓発することにより、議会で取り上げていただき、改善していくことを目的として活動しています。

それでは移動支援向上委員会の今までの2つの実績である「忠岡町の移動支援計画書の効率化」「岸和田市の電子請求化」の内容について紹介していきます。

大阪府泉北郡忠岡町の移動支援計画書の効率化

忠岡町の計画書は、近隣の岸和田市と和泉市に合わすような形で運用されていたと思われます。というのも今まで忠岡町独自の計画書がなく、近隣の計画書に合わせて作成していました。そんな近隣にあたる岸和田市や和泉市の移動支援計画書は、現在でも利用者様1人に対して目的地が変わるたびに計画書を作成しなければならない内容となっております。

例えば河野綱希(投稿者)という利用者様が「天王寺動物園」に行きたいという支援がある場合、移動支援計画書には、河野綱希の自宅から電車に乗って、天王寺動物園に行って昼食を食べて、電車に乗って帰ってくるまでの内容と時間を共に予定を計画書に反映しなければならないといった事務作業がありました。また、この場合、河野綱希が「海遊館」に行きたい場合も、目的地が違うので、再度、計画書を作らなければならないとされています。※下記の移動支援計画書参照(和泉市で運用されている計画書)

この様に目的地が変わるたびに交通公共機関の時間を調べ、どのような場所で昼食を食べて、買い物するかなどのリサーチが必要であり、毎回の事務作業が大変です。

そんな計画書もある中、忠岡町でこちらから提案し、新たな計画書を作成していただきました。

その内容はその利用者様に対して、どのようなサービスが必要かということを記入するよう簡潔な計画書であり、1人の利用者様に対して1つの計画書で運用することが可能な計画書となりました。

これも忠岡町の障害福祉課の担当者様が効率化に対して非常に、協力的であり実現した内容となっております。※下記の移動支援計画書参照(忠岡町で運用されている計画書)

令和7年度4月から始まる岸和田市の電子請求化

この電子請求書の発端となったのは、令和6年11月に開かれた岸和田市議会になります。この時に移動支援向上委員会に参加していただいた議員さんが、移動支援向上委員会の資料をもとに一般質問で取り上げてくれ、その内容が岸和田市の電子請求化につながりました。

冒頭でも触れたよう現在(令和7年2月10日)、岸和田市の移動支援の請求は、紙媒体で印鑑をし郵送にて期日以内に提出する内容となっています。また、内容については3月から各事業所の説明会が始まり、そこで具体的なことが決定となります。これは事業所や行政にとっても様々なメリットがあると予測されます。介護業界では様々な業務が電子化されてきており、ここ数年で紙媒体で管理する業務が圧倒的に少なくなりました。そんな電子化することによって次にメリットについて考えていきます。

電子化することによっての3つのメリット

金銭的なコストの削減

物価高騰により郵送代やインク代もどんどんと高くなってきており、その費用を抑えることもできます。また印鑑レスにより利用者様からいただく印鑑も必要がなく、請求書に押していた会社の社印もいらなくなるかと予測しています。そういったことも踏まえて金銭だけではなく、印鑑を押すやりとりもなくなります。もちろん効率化される部分はありますが、それにより印鑑レスによる不正請求の防止や利用者様のとのコミュニケーションのやりとりも減るという問題点もございます。

タイムコストの削減

この移動支援に関わる記録は、5年間の保存の義務があります。しかし、その記録を電子化し、データで管理できれば、いざ必要という時に簡単に検索することができ、時間の削減ができます。

また、この記録は個人情報が含まれるものとありますので、紙媒体の場合には必要がないと判断された場合にはシュレッダーにて破棄をしながら管理をしております。

記録はゴミではないので、処理の仕方にも気を使いながら管理を行わなければならないことです。この破棄の方法も、パソコン内であればすぐに処理を行うことが可能です。

電子化によるデメリットとしては、操作ミスにより必要な書類を破棄してしまうことにありますが、これもバックアップを取りしっかりと管理しておけば問題ありません。

記録の置き場所が必要ない

電子化することにより、紙媒体の記録を置く場所も削減でき、行政側も事業所側もどちらにもメリットがあります。事業所規模にもよりますが、この5年間の記録は膨大であり、わが社では過去の記録をほとんど使うことがないので、古くなりにつれて、事業所とは違う倉庫に保存しています。そのように膨大な量の書類がなるのが、介護職の特徴であります。

そんな紙媒体の記録は、更新しながら過去5年間分を保存していかなければなりません。

訪問介護事業所は施設ではないので、事業所は狭く場所の確保が難しい傾向にあります。

大分物理的なメリットが電子化することに考えられます。電子化することによってのデメリットは、情報漏洩やセキュリティー上の問題が考えられます。この対策としては、

①記録を外部に持ち出さない

②セキュリティーソフトの導入。

③最近はネット上で管理することが多くなっていますが、業務と関係のない操作は極力行わない

このように、対策をし日々励んでいく必要があります。

電子化と効率化されたその先

このように郵送にかかる期間や手間暇の削減、電子化することにより業務の効率化を行えば、事業所で移動支援にかかる時間を作ることができます。この時間を「移動支援に係る教育」を行えば、質の高いサービスの提供と、介護従事者の成長を行うことが可能です。

また、移動支援のサービスに実際関わる時間もでき、利用者様の外出する機会が増えることにもつながります。

移動支援補助委員会では、南大阪を中心にこのような問題点を取り上げ、障害福祉の向上を目的に活動していきます。より働きやすい介護現場と利用者様が使いやすい制度を共に作っていきましょう。

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