和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン36「介護の基本〜リスクマネジメント〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲である「介護の基本」について解説していきます。今回の投稿ではリスクマネジメントについてまとめていきます。介護の現場では、事故発生時に記録の保存が義務づけられています。また、その記録に対してしっかりと検討し再発予防対策を行わなければなりません。このようリスクを管理し無くしていく、リスクマネジメントに対して、本日は皆様と一緒に学んでいけたらと思います。

目次

・リスクマネジメントについて

・介護保険制度での事故に対する取り組み

・ヒヤリ・ハット

・事故防止と安全対策の組織

・高齢者介護施設における介護事故について

・高齢者の家庭内における事故について

・環境を整えるための用具について

・行動に応じたリスクの対策

・まとめ、感想

リスクマネジメントについて

リスクマネジメントとは、「危機管理」と訳されます。介護で言うリスクマネジメントは事故防止と事故発生時の問題解決のために重要となるプロセスです。

「ヒヤリハット」事故報告書などを活用し、未然に防止し、問題の解決に向けて我々、介護従事者は検討していかなければなりません。事故には、「環境による原因」「知識と技術による原因」と大きく分けて2つあります。それらについて触れていきます。

【環境による原因】

環境とは、福祉用具や手すりを設置することにより、介護における事故を未然に防ぐことができます。利用者のADLを私たちはしっかりと把握し、事故のリスクをしっかりと予測し、その利用者に合った環境の提供をすることが私たちの役目です。

【知識と技術による原因】

知識と技術の不足により、適切な介助やサービスの提供が出来ておらず、安全確保に必要なポイントが理解できていないといったことが原因で事故を起こす可能性もあります。職員間同士で情報提供を行い、また研修などにより技術の向上を図る必要があります。

介護保険制度での事故に対する取り組み

事故の防止、または発生したときの対応などについて介護保険制度にもまとめられています。

その内容は、

①事故発生防止のための指針の整備

事故発生のための委員会の設置及び従業員に対する定期的な研修行うこと等を定める。

事故発生時には事故の状況や事故に対してどのような対応を行ったかなど記録を義務付ける。

④賠償事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならない。

⑤介護事故が発生した場合、市町村や家族等への報告が義務付けられています。

ヒヤリ・ハット

ヒヤリハットとは、事故に至らないものの介護現場で「ヒヤリ」とした事、「ハッ」とした事を記録するものです。ヒヤリハットは、1929年にアメリカのハインリッヒが発表した「ハインリッヒの法則」が元になっています。ハインリッヒの法則では、1件の重大事故に対して29件の軽症を伴う事故、300件のヒヤリハットする体験があると言う法則である。「1・29・300の法則」ともいわれます。

事故防止と安全対策の組織

【事故防止検討委員会】

組織的に事故を防止し、安全対策を行います。委員会は情報の収集と共有を行う。具体的には、事故の種類や状況」「件数」「事故に対する再発防止のための対策」等把握し、対策の見直しの検討を行います。

【サービス担当者会議】

利用者や家族が参加し、利用者に関わる専門職が集まり利用者の問題を検討する会議です。またチーム内での情報共有も行います。基本、介護支援専門員(ケアマネージャー)が開催します。

☞サービス担当者会議について違うページにまとめていますので下記のページをご参考にしてください。

≪令和3年度ケアマネージャー試験をケアマネ資格取得者が説明していきます!レッスン13【介護支援分野編〜ケアマネジメント〜】≫

高齢者介護施設における介護事故について

2018年(平成30年)になされた「介護サービスの利用に関わる事故の防止に関する調査研究事業所の報告書」によれば、施設での介護事故の種類が多い順に、1位「転倒」2位「転落」3位「誤嚥」となっています。

事故の発生場所として多い順に「居室」「玄関」「廊下」「階段」「台所」「お風呂」「トイレ」になります。

障害別にみると多い順に「骨折」「捻挫」「打撲」になります。

高齢者の家庭内における事故について

2018年(平成30年)になされた「介護サービスの利用に関わる事故の防止に関する調査研究事業所の報告書」では高齢者の家庭内における不慮の事故による死亡原因「転倒・転落」が最も多く、その次に「窒息」「溺死・溺水」となっています。

自宅における転倒の発生場所が多い順に「庭」「居間、リビング」「玄関」「階段」「寝室」となっています。

環境を整えるための用具について

【低床ベッド】

ベッドの高さが限りなく低くなり、ベッドからの転落の際にも怪我をするリスクが少なくなります。また高さの調節に幅がありますので立ち上がり時にも役に立ちます

【ポータブルトイレ】

トイレまでの導線で転倒する恐れのある利用者は、ポータブルトイレを使用することにより、安全な導線の確保が行えます。手すりのついた家具調のものや、便座が暖かくなるものなど利用者によって検討する必要があります

【手すり】

立ち上がりが必要な玄関やトイレまでの導線、浴室など取り付けることが多い。壁に取り付けるタイプ、床に置くタイプ、天井と床に固定するタイプなど様々な手すりが存在します。住宅環境に応じて検討する必要があります。

行動に応じたリスクの対策

【転倒、転落の防止】

歩行のふらつきや立ち上がり時の膝折れなどによる転倒、転落の恐れがある利用者には介助をする必要があります。また、環境整えることも効果的です。

【誤嚥】

利用者に合った食事形態で食事を提供します。姿勢も大事であり、しっかりと座り、顎が下がるようにして、嚥下を行う必要があります。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防にもなり、食後に口の中に食べ物が残っている場合は、誤嚥性肺炎の恐れがあります。

【誤薬】

薬の量と回数を守り利用者の口に入って飲み込むまで見守り、介助を行う必要があります。施設では本人確認を行い、他者の薬と間違えて服薬しないようにする必要があります。

【防火、防災】

消防法により福祉施設では「非常災害に関する具体的計画」を作成し、定期的な避難・救出訓練が義務付けられています。

まとめ、感想

事故が起こりやすい現場では、社会資源(福祉用具や制度によるサービスなど)の導入を行い未然に防ぐ必要があります。利用者や家族に対して介護相談を行うのも私たちの仕事です。介護知識やアイディアを家族や利用者に提供し、健康に暮らしてもらうよう心がけていきましょう。

 

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