和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン72「発達と老化の理解〜高齢者に多い疾病〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲から発達と老化の理解」について解説していきます。今回の投稿は高齢者に多い疾病についてまとめていきたいと思います。

目次

・生活習慣病

・悪性新生物(がん)

・糖尿病

・高血圧

・廃用症候群

・まとめ、感想

生活習慣病

生活習慣病は、日々の生活習慣の積み重ねにより発症リスクが高まるとされている疾病のことです。悪性新生物、脳血管障害、心疾患三大生活習慣病と言われ、日本人の死因の約60%を占めています。

それでは、生活習慣病に関わる疾病についてまとめて行きます。

【悪性新生物(がん)】

体内の正常な細胞が突然変異してがん細胞となる。

【脳血管障害】

脳の血管が詰まり血流が阻害される脳梗塞脳の血管が破裂する脳出血

【心疾患】

血栓により冠状動脈の一部が詰まる狭心症冠状動脈がすべてつまり、血流が阻害され、心筋が壊死する心筋梗塞

【糖尿病】

膵臓から分泌されるインスリンの分泌不足または作用不足になり血糖値が上がる。

【脂質異常症】

血液中の糖質が増加し、血管内壁に付着することで血流を阻害する。

【高血圧】

高血圧により血管内の内圧が高くなったり、血管に負担がかかることで血栓ができやすくなったりします。また、血管が破裂しやすくなったりもする。

【慢性腎疾患】

症状はないが、腎機能が慢性的に低下している状態。

【慢性肝疾患】

肝疾患のうち、脂肪肝とアルコール性肝疾患は生活習慣病に位置づけられます。

また、生活習慣病病気の詳しい内容については、下記のページに詳しく載せていますのでそちらを参考にしてください。

≪令和3年度ケアマ試験をケアマネ資格取得者が解説!レッスン22【保健医療サービス〜高齢者の疾患〜中盤〜】≫

≪令和3年度ケアマ試験をケアマネ資格取得者が解説!レッスン23【保健医療サービス〜高齢者の疾患〜終盤〜】≫

悪性新生物(がん)

悪性新生物は男女ともに死亡する原因疾患として1位になっています。

男性の場合は、《1位》肺がん《2位》胃がん《3位》大腸がん

女性の場合は、《1位》大腸がん《2位》肺がん《3位》膵臓がん

となっています。それではそれぞれの悪性新生物についての症状を説明していきます

【悪性新生物(がん)の症状】

《肺がん》

咳、痰、胸痛、呼吸困難などの症状がみられる。また、症状が現れにくい傾向もあります。

《胃がん》

痛み、出血、体重減少、貧血などの症状がみられます。日本人の高齢者では幼少時に胃がんの原因の1つとされているヘリコバクター・ピロリ菌」に感染している人が多いとされています。

《大腸がん》

血便、便通異常等の症状が見られます。高齢者では近位則結腸の頻度が増します。

※小腸の近位に位置する結腸部分。体内の右側にある。

《肺がん》

「原発性肺がん」「転移性肺がん」の2種類があり、男性に原発性肺がんが多い肝炎肝硬変を経てがんに進行するケースが多い。症状が現れにくく進行した状態になると黄疸、倦怠感、腹痛などの症状がみられます。

《膵臓がん》

症状が現れにくく早期発見が困難です。進行すると黄疸などの症状がみられます。

《前立腺がん》

男性のみに発症します。60歳ごろから高齢になるほど多く見られます。尿道が圧迫されることにより尿が出にくい、残尿感、頻尿などの症状がみられます。腫瘍マーカーを使用することにより早期発見がしやすい

糖尿病

糖尿病は膵臓からのインスリンの分泌不足、機能低下が原因となり高血糖が持続してしまう疾病です。インスリンとは血糖値を調節するホルモンのことです。

【糖尿病の種類】

糖尿病には1型糖尿病2型糖尿病があります。

《1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)》

膵臓のインスリン産生細胞の破壊により、インスリンが分泌されなくなる。生活習慣病とは関係せずに発症し若年者に多い傾向です。

《2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)》

インスリンの分泌量の減少や、インスリンの働きが悪くなることで発症します。食事や運動などの生活習慣病と関連があり中高年に多い傾向です。日本では、2型糖尿病にかかる人が圧倒的に多い

【糖尿病の概要】

《症状》

口渇、多飲、多尿、夜間頻尿、倦怠感、体重減少などの症状が見られます。高齢者は症状が現れにくい傾向にあります。低血糖時にふらつき、めまい、目のかすみなどが見られることもあります。血糖値が高くなると血液の粘性が増えて流れにくくなるので、体の中の血管が損傷を受けることにより合併症を引き起こします。

《三大合併症》

糖尿病性網膜症:眼球の網膜の血管が損傷を受けることにより出血する。失明原因の第2位である。1位は「緑内障」

糖尿病性腎症腎臓の毛細血管が損傷することにより機能低下を招きます。浮腫やタンパク尿の症状がみられ、さらに進行すると透析治療が必要となります。

糖尿病性神経障害:体内部の毛細血管の血流不足により、末梢神経、自律神経の機能が低下します。最初はしびれや痛みを伴うが、進行してくると感覚機能が低下し、感染などに気づかず細胞の壊死(糖尿病性壊疽)を招き足指の切断に至ることがあります。

《治療法》

薬物治療(経口血糖降下薬、インスリン注射)、運動療法食事療法

高血圧

高血圧には原因が特定できる「二次性高血圧」と原因不明である本能性高血圧」があります。

高齢者の場合、老化による原因不明の「本能性高血圧」にかかりやすい。

血圧は、心臓が収縮し、全身に血液を送り出したときの血圧である「収縮期血圧」(最高血圧)と心臓が拡張し、全身から血液が心臓へ戻ってきたときの拡張期血圧」(最低血圧)があります。

【高血圧の定義】

高血圧の定義はWHO (世界保健機関)や日本高血圧学会のガイドラインに定義されています。

収縮期血圧(最高血圧)は、140mm Hg以上

拡張期血圧(最低血圧)は、90mm Hg以上

上記のいずれかを満たせば高血圧と診断されます。

【老人性高血圧の特徴】

老人性高血圧では、収縮期血圧(最高血圧)が高く、拡張期血圧(最低血圧)はそれほど高くない収縮期高血圧症が多い傾向です。また、加齢による高血圧は原因が明らかではない本能性高血圧症」が多い。

【治療法】

食事制限(食塩、脂肪摂取制限、カリウムの摂取)、運動薬物療法などが効果的です。薬物療法ではカルシウム拮抗剤などの降圧剤を用います。

【高血圧による影響】

高血圧が長期化すると、心臓、脳、腎臓、眼などに影響を及ぼします。

心臓では心肥大、狭心症、心筋梗塞、心不全。脳では脳梗塞、脳出血。腎臓では腎不全。眼では高血圧網膜症引き起こします。

【心房細動(不整脈)】

心房細動とは、高血圧の人がかかりやすい心疾患であり、心房が細く不規則に震えて、頻脈性不整脈になる状態のことをいいます。心臓に血栓ができやすくなり、血栓が脳に運ばれて脳の血管を詰まらせ脳塞栓を引き起こすことが多い。治療には血行良くするワルファリンが投与される場合もあります。80歳以上では10人に1人が心房細動だといわれます。

廃用症候群

廃用症候群は、長期間の寝たきりにより、二次的に起こる症状です。活動が低下することにより心身に様々な障害が生じます。

それでは長時間の寝たきりになることによって、どのような症状が現れるか説明します。

【筋萎縮】

筋肉が細くなり、筋肉が低下します。トレーニングにより予防することができます。

【骨萎縮】

負荷がかからなくなることによりカルシウム量が減少し、骨が脆くなります。活動量を増やし、日光に浴びる時間を作る。

【関節拘縮】

軟部組織の障害で、関節が動きにくくなり可動域が狭くなる。麻痺側の手でタオルを握るなど予防が必要。

【心肺機能低下】

心臓の拍出量が低下することにより動悸や息切れが引き起こされます。また疲れやすくなる。

【起立性低血圧】

長い時間、臥床している状態から座位や立位により、上半身を起こすと血圧調整機能の低下が起こり低血圧症状が起こります。

【褥瘡】

同じ箇所に圧力が加わることにより血液の循環不全が起こり、皮膚細胞が壊死する。寝返りができない場合は、定期的な体位変換が必要です。

【意欲低下、うつ、見当識障害】

療養が長引くことにより、精神的な刺激が少なくなることが原因。

【血栓塞栓現象】

血管内に血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの症状が現れやすくなる。

【末梢神経障害】

長時間の神経が圧迫されることより、麻痺が起こります。

まとめ、感想

今回は高齢者の疾患についてまとめてきました。食事、運動、睡眠など普段の生活の中からリハビリを行い、予防していく心がけが必要です。また、病気早期発見が重要なので異常が現れた場合には医療機関での受診も検討する必要があります。

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