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「介護保険制度改正」大阪介護学校の講師が解説!介福の試験範囲

介護保険制度は、1997年(平成9年)に制定、2000年(平成12年)に施行された「介護保険法」が創設されたことによってスタートしました。介護保険制度により、介護を必要とする高齢者を社会全体で支えていく「介護の社会化」が求められました。この制度が創設された背景には、次のような社会的要因がありました。

介護保険制度創設の背景とは

・少子高齢化が進み、65歳以上の人口(老年人口)が増加した

・平均寿命が高まり、介護の長期化や重度化により介護の必要性が求められた

・家族の高齢化や女性の社会進出などによる家族の介護力の低下

介護保険制度の目的

介護保険制度の目的は、介護保険法の第1条(目的)に次の内容で示されています。これにより国民の共同と連帯によって、介護を必要とする高齢者を支える「介護の社会化」という理念が示されました。

介護保険法の目的(第1条)

要介護状態になり、介護、機能訓練、看護等を必要とする人が、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、「国民の共同連帯の理念に基づき」介護保険制度を設け、保険給付を行い、国民の保健医療の向上と福祉の増進を図る。

介護保険制度の特徴

措置制度から契約制度

過去には、国や地方公共団体などの行政機関が主体となってサービスの利用の決定を行う「措置制度」が行われていました。介護保険制度の第一の特徴は利用者主体のサービス提供と事業者間の競争原理を働かせることを目的とし「措置制度」から利用者がサービスを選択して事業者と契約する「契約制度」へと方針が変わりました。

介護保険制度の改正

介護保険制度は、5年をめどに大きな見直しを図るものとして、過去に2000年(平成12年)からスタートし、その方針に基づき2005年(平成17年)、2011年(平成23年)に見直され、それ以降は3年ごとに2014年(平成26年)、2017年平成29年)、2020年(令和2年)に改正されています。それではどのように改正されてきたのかを解説していきます。

2005年(平成17年)の改正

【改正による方向性】

介護を必要とする高齢者の増加を受け、介護予防を重視したシステム「予防重視型システム」への転換が図られました。

【改正内容】

「要支援1・2」の区分の創設

介護予防サービスの創設

地域密着型サービスの創設

地域支援事業の創設

地域包括支援センターの創設

介護サービス情報の公表制度の創設

2011年(平成23年)の改正

【改正による方向性】

住み慣れた地域で生活を続けることができるように住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステム」の構築を目指しました。

【改正内容】

①地域密着型サービスに定期巡回・随時対応型訪問介護看護と複合型サービスを創設

②地域支援事業に介護予防・日常生活支援総合事業を創設

2014年(平成26年)の改正

【改正による方向性】

持続的な社会保障制度の確立を目的とした法改正の一環として実施されました。「地域包括ケアシステム」の構築を推進するため地域における医療と介護の拠点づくりの連携が重視されました。

【改正内容】

①地域支援事業を充実させるために「地域ケア会議」の推進等を規定

②前回の改正で創設された介護予防・日常生活支援総合事業を大幅に見直し、予防給付の一部(訪問介護と通所介護)を地域支援事業に移行しました

2017年(平成29年)の改正

【改正による方向性】

地域包括ケアシステムの深化と推進を主要な目的とされました。

【改正内容】

①介護医療院の創設

②共生型サービスの創設

③ 一部の自己負担割合を2割から3割

2020年(令和2年)の改正

【改正による方向性】

地域共生社会の実現を図るため、各般の措置を講ずる

【改正内容】

①国と地方公共団体に認知症施策を総合的に推進する努力義務

②市町村が地域支援事業を行うにあたって、介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に実施するよう努めるなどデータベースの活用規定

③介護保険事業計画などの見直し

ここで問題!

【問題】

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設は、2018年(平成30年)に施行された介護保険制度の改正内容である。

【答え】

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設は、2012年(平成24年)に施行された介護保険制度の改正内容です。

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