今回、介護福祉試験の試験範囲でもある「こころからだのしくみ」から睡眠に関する知識について解説していきたいと思います。現在、介護福祉士国家試験合格を目指して受講生さん達と猛勉強中です。今後、介護福祉士の試験を受講される方はぜひお勧めするコースは下記のページになりますので、ご参考にしてください
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それでは、介護福祉試験合格を目指して睡眠について一緒に学んでいきましょう。
睡眠とは
睡眠は心身の休息や疲労の回復、生活のリズムを維持するために欠かせない行為です。睡眠が不足すると疲労の蓄積や思考力の低下などに限らず、食欲不振や便秘、倦怠感などの様々な身体症状が引き起こされるようになります。睡眠のリズムを保ち、適切な睡眠時間を確保する事は健康状態において重要なことだといえます。
睡眠のしくみ
概日リズム(サーカディアンリズム)
人のからだの中には約24時間周期で活動と休息を図るための「体内時計」が存在しています。体内時計としての機能を果たしているのは、間脳にある視床下部の「視交叉上核」です。視交叉上核により体内時計によって保たれる約24時間周期のリズムのことを「概日リズム(サーカディアンリズム)」といい、睡眠と覚醒は概日リズムをもとに引き起こされています。
睡眠に関連するホルモン
睡眠を促進するホルモンである「メラトニン」は、網膜をつうじた光の刺激が視交叉上核に届き、さらに視床の上部にある松果体に伝わることで分泌が調整されます。光の刺激が強い昼間にはメラトニンの分泌が抑制され、夜間には促進されるという特徴があります。
そのため、概日リズムの回復には起床後に日光を浴びることでメラトニンの分泌を調節することが適切といえます。また、トリプトファンという必須アミノ酸は、セロトニンを経てメラトニンに変化していくため朝食時に摂取する事が進められています。一方、夜間にテレビやパソコンなどの過度な照明を浴びる事はメラトニンの分泌を抑制し眠れなくなるので避けることが必要です。
また、睡眠に関して、覚醒状態を維持するために機能する物質として「ヒスタミン」があります。ヒスタミンに対して「抗ヒスタミン薬」は、眠気をもたらす作用があります。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠は、浅い眠りから眠い眠りえと至る過程を1つの周期としています。1つの周期は約90分で「眠りの浅い睡眠(レム睡眠)」と「深い眠りの睡眠(ノンレム睡眠)」が繰り返されます。
入眠直後はノンレム睡眠から始まり、その後レム睡眠となり、再びノンレム睡眠となります。一晩にこれが4〜5回繰り返されます。これには睡眠の長さよりも深さが関係しています。それではレム睡眠とノンレム睡眠について解説します。
【レム睡眠】
からだが深く眠っているが脳は活動しています。眠りが浅い睡眠状態です。
【ノンレム睡眠】
脳が深く眠っており、副交感神経が優位に働いています。眠りが深い睡眠状態です。
睡眠障害について
睡眠障害は、加齢、病気によるからだの痛み、ストレス、こころの病気、生活環境が原因として起こります。また、就寝前にカフェインの摂取なども不眠を引き起こす原因ともなります。そんな不眠症にはどのような種類があるのかを解説していきます。
不眠症の種類
【入眠障害】
寝付きが悪く、なかなか眠ることができない睡眠状態です
【熟眠障害】
「深く眠れた」という感覚を得ることができない睡眠状態です
【中途覚醒】
眠りが浅く、目が覚めやすい睡眠状態です
【早朝覚醒】
早朝に目が覚め、そのまま眠れなくなる睡眠状態です
高齢者の不眠の特徴
高齢者は、加齢とともに眠りが浅くなり、中途覚醒や早期覚醒を引き起こしやすくなります。これは、日中の活動量が減少することによりからだの必要とする睡眠時間が短くなるためです。また、深く眠れなくなることで夜間に起きていて、日中に眠くなるというケースも多くみられます。
睡眠障害の種別について
不眠症の他にも何らかの原因で眠りが妨げられたり、睡眠中に異常な行動とってしまうなど様々な睡眠障害があります。どのような睡眠障害があるのかここでは解説していきます。
【睡眠時無呼吸症候群】
睡眠中20秒以上呼吸が止まる無呼吸の状態が、一定の回数以上に起こる事です。肥満による脂肪の増加や扁桃腺肥大などが原因となります。これにより満足に睡眠が取ることができず日中の眠気を引き起こしたり、様々な病気を引き起こす原因ともなります
【レストレスレックス症候群(むずむず脚症候群)】
足がほてり掻きむしりたくなるような快感やムズムズとした感覚が起こり、眠りが妨げられる症状がみられます。中途覚醒の原因ともなり、下肢を動かすと症状が軽減します
【周期性四肢運動障害】
睡眠中に手足に痙攣などが起こる症状がみられ、睡眠が中断され中途覚醒の原因となります
【レム睡眠行動障害】
夢の中の行動に応じて睡眠中にもかかわらず、大声をあげたり手足を激しく動かしたりしてしまうといった症状がみられます
【時差症候群】
4〜5時間の時差がある地域へ高速で移動すると、体内時計と外界の明暗周期とのズレが生じるいわゆる時差ぼけのことです