和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

消化器系・泌尿器系・内分泌系などの疾患を大阪介護の学校講師が解説

今回の投稿では消化器系(胃、十二指腸、肝臓)、泌尿器系(腎臓、排尿障害)、内分泌系、生活習慣病などの疾患について解説していきます。この知識は介護福祉士国家試験の試験範囲である発達と老化の理解」に含まれる内容となっております。

また、現在はこのような内容をしっかりと学び、介護福祉士国家試験合格を受講生さんと目指す試験対策講座を開講中です。興味のある方は下記のページを参考にしてください。

【介護福祉試験対策講座】

消化器系の疾患

食物の消化に関わる消化器系は、胃、小腸、大腸などの消化管や肝臓などの消化器官によって構成されています。主に細菌やウィルスを原因とした疾患が多い傾向です。それではどのような疾患があるか次に解説していきます。

胃・十二指腸潰瘍

潰瘍とは皮膚や消化管の粘膜などが傷つけられ、えぐれた状態になることをいいます。その代表的なものである胃・十二指腸潰瘍の原因として最も関連が深いのは「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」です。また、薬剤の使用によって胃酸に対する粘膜の防御機能が低下し、潰瘍を形成することもあります。

主な症状はみぞおち(心窩部)の痛みで特に胃潰瘍では食後1時間までに、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みが生じます。

潰瘍からの出血により黒色のタール便がみられることも特徴の1つです。

肝炎・肝硬変

肝炎は、主にウイルスの感染を原因とし、からだのだるさや食欲の低下、黄疸といった症状が現れる疾患です。黄疸とは、ビリルビンという色素が増加することにより皮膚が黄色くなることです。

そんな肝炎には「A型肝炎」「B型肝炎」「C型肝炎」の3種類があります。肝炎は慢性化することリスクがあり、肝炎によって肝細胞が破壊され肝臓そのものが硬くなっていくと硬変に進行します。また、ウイルス性の肝炎のほかに、長期にわたるアルコールの過剰摂取を原因としたアルコール性肝障害によっても、肝機能が低下し肝硬変に進行することがあります。

それでは肝炎の種類によって感染経路や症状の経過も特徴が異なりますので次に解説いたします。

【A型肝炎】

感染経路:経口感染

症状の経過: 3ヶ月程度で治癒するため、慢性化する事はほとんどありません

【B型肝炎】

感染経路:血液感染

症状の経過:出産時の母子感染性行為による感染が多く、全体の10%程度が慢性化します

【C型肝炎】

感染経路:血液感染

症状の経過:輸血による感染が中心となるため、高齢者に発症する確率が最も多く慢性化した後に肝硬変や肝がんに移行していくことがよくみられます

ここで問題!

【問題】

C型肝炎は進行すると、肝硬変、肝がんと病態が変化していくことが多い。

【答え】

答えは「○」です。C型肝炎は慢性化しやすく、肝硬変や肝がんへと進行していくリスクが高い種類です。

泌尿器系の疾患

泌尿器系では尿を作ったり、排尿までの役割を担う機関であり、腎臓尿路によって構成されています。老化により機能の低下を原因として排尿が妨げられ、様々な疾患が現れます。それではどのような疾患があり排尿障害がみられるのか解説していきます。

腎不全

腎不全は何らかの原因で腎臓の機能が低下していく疾患です。腎不全には「急性腎不全」「慢性腎不全」の2つに大きく分けることができます。

それではその2つについて解説していきます。

【急性腎不全】

原因:腎臓に流れ込む血液量の低下、尿路の閉塞など

症状の進行:数日から数週間の間に腎機能の低下します

症状の特徴:尿量が極端に減少します

【慢性腎不全】

原因:腎炎の慢性化、糖尿病性腎症など

症状の進行:数ヶ月から数年後にかけて腎臓の機能が低下していきます

症状の特徴:進行に伴い全身の浮腫(浮腫)、嘔吐、かゆみ、意識障害などが現れます

排尿障害

排尿障害は尿をからだの外に出すことに障害が起こることをいいます。それではどのような排尿障害があり、そのその障害の原因について解説していきます。

【排尿困難】

尿路の通過障害のことをいいます。膀胱の下にある前立腺の肥大・がんなどが原因により尿道が狭くなり、思うように排尿ができなくなります。男性に多くみられます

【頻尿】

排尿の回数が通常以上に多くなることです。膀胱炎や前立腺肥大などにより、いちどに十分な量を排出できないことが原因となります

【排尿時の痛み】

膀胱炎による粘膜の炎症が原因で、排尿時に痛みを感じます

【尿失禁】

からだの機能の低下により、排尿のコントロールが難しくなり尿が漏れてしまうことです。切迫性尿失禁」「腹圧性尿失禁」「溢流性尿失禁」「機能性尿失禁」「反射性尿失禁」の種類があります。尿失禁に関しては違うページで詳しく解説していますので下記のページを参考にしてください

【尿失禁について】

内分泌系の疾患

内分泌系は、内分泌腺を通じてホルモンを分泌しからだを正常な状態に保つ役割を果たしています。ホルモンの分泌に異常がみられることにより、さまざまな疾患が現れます。それではどのような疾患があるのか次に解説いたします。

糖尿病

糖尿病は、血糖値をコントロールするホルモンであるインスリン」が不足することにより、高血糖状態が続き様々な症状が現れる疾患です。発症の初期には自覚症状はなく、進行して中度の状態には、からだのだるさ、口や喉の激しい渇き、多尿、かゆみなどの症状が現れます。糖尿病には2種類あります。

①自己免疫などによるインスリン分泌障害で発症する「1型糖尿病

②遺伝子や環境因子によるインスリン作用不足で生じる「2型糖尿病」

その他にも遺伝子の異常や薬剤によるもの、妊娠をきっかけとし発症するものなどがありますが、2型糖尿病がほとんどの割合を占めます。それでは1型糖尿病と2型糖尿病の特徴を解説いたします。

【1型糖尿病の特徴】

発症者:若年者の発症が多い傾向です

治療法:インスリン産生細胞が破壊されているため、インスリン注射が不可欠になります

【2型糖尿病の特徴】

発症者:生活習慣病の1つで、中年期以降の発症が多い傾向です

治療法:食事療法、運動療法を中心とし効果が望めない場合には薬物療法(血糖降下薬、インスリン注射など)が行われます

【薬物療法の注意点】

食事摂取量に注意を払い、発熱や食欲不振など体調不良で摂取量が少ない時(シックデイ)対処法としてはインスリン注射の容量を減らす、打たないなどを行う必要もあります。

また、血糖降下薬の場合も同じく、血糖値に注意が必要です。低血糖になると空腹感、冷や汗、動悸、意識レベルの悪化などが生じ重症化がすると意識障害や昏睡に至ります。

【糖尿病の三大合併症の特徴】

糖尿病性腎症:腎臓の毛細血管が障害を受けることで、腎臓の機能が低下する疾患です。慢性腎不全の原因ともなります

糖尿病性網膜症:網膜の血管から出血することで、網膜剥離が起こる疾患です

糖尿病性神経障害:末梢神経と自律神経につながる血管が詰まり、血流がさえぎられることにより障害が現れる疾患です。末梢神経障害では足の指のしびれや痛みに始まり、やがて感覚の低下に至ります。自律神経障害では起立性低血圧、便秘や下痢などの症状がみられます

脂質性異常症

脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に増加することで、動脈硬化を進行させる疾患です。私生活の乱れ、運動不足、肥満、喫煙などが原因となるため生活習慣病の1つに挙げられています。

動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクともなります。予防策としては、食事の管理が必要です。エネルギー摂取量を制限し、食物繊維の摂取を心がけるようにします。

甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンは、全身のエネルギー代謝を活性化させる役割を果たしています。甲状腺ホルモンの分泌が低下することにより「甲状腺機能低下症」、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され「甲状腺機能亢進症」かみられます。それではその2つの疾患についての症状を解説いたします。

【甲状腺機能低下症の】

気力の低下、傲慢な動作、皮膚の乾燥、顔のむくみ、寒気、便秘、体重の増加など

【甲状腺機能亢進症の症状】

不安や苛立ち、動悸、発汗、振戦、下痢、体重の減少など

生活習慣病について

生活習慣病とは、食生活の乱れ、過剰な飲酒と喫煙、運動習慣の不足などが積み重なって引き起こされる様々な疾患をまとめて指す言葉です。生活習慣病に含まれる疾患については次のようになります。

【生活習慣病に含まれる疾患】

「脳血管疾患」「虚血性心疾患」「高血圧」「慢性閉塞性肺疾患」「2型糖尿病」「脂質異常症」「がん」

« 前のページに戻る