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介福対策!認知症ケアの歴史を大阪介護資格の学校講師が解説いたします

認知症とは何らかの脳の疾患や障害により、正常に発達した知的機能や認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態をいいます。認知症ケアにおいては、認知症高齢者がその人らしい生活を送れるように利用者本位のケアを行うことが求められています。利用者本位という考え方がケアの中心になるまでの過程を過去の歴史から考えていきましょう。

認知症ケアの歴史

認知症が脳の障害による疾患であることが認識されたのは、明治時代のことです。この頃は、家族に認知症高齢者がいることが恥だと考えられていた時代であり認知症高齢者は自宅や精神科病院で監護をする対象とされていました。

施設中心のケアに

時代を経て1963年(昭和38年)老人福祉法」が制定されました。それにより老人福祉施設が制度化され、認知症ケアを含めた高齢者が、施設中心へとシフトしていきました。

認知症高齢者の増加

日本では1970年(昭和45年)に高齢化率は7%を超え、高齢化社会を迎えました。高齢化率の上昇は認知症高齢者の増加をもたらすことになり、1970年代後半にかけて社会問題とされてきました。しかし、当時はまだ介護を提供する側の視点から認知症高齢者の問題行動を抑える」ことに焦点が当てはめられており、施設や老人病院で行動を制限するという行為がなされていました。

職員の技術向上を目的とした研修事業

1980年代に入ると、認知症高齢者の言動の背景を捉え、介護のあり方を考えるべきではないかという考え方が示されるようになりました。この考えにより厚生労働省は、1984年(昭和59年)痴呆性老人処遇技術研修事業を創設し、施設の職員の機能向上が図られました。

介護の心構えが示されました

1986年(昭和61年)には、総合的な痴呆性老人対策を確立するために厚生労働省内に痴呆性老人対策推進本部が設置されました。その報告書ではデイケア、デイサービス、ショートステイの拡充、専門治療病棟の整備などのほかに介護の心構えとして、認知症高齢者の生活歴や性格を踏まえて、本人のペースに合わせた受容的態度で接することが示されました。

グループホームの誕生

1987年(昭和62年)に日本で初めて設立されたグループホームは、認知症高齢者が少人数で家庭的な環境の中で共同生活を送る場所です。認知症高齢者の尊厳に配慮し、落ち着いて生活することのできるケアのあり方として注目されるようになりました。グループホームは1990年代にかけて次第に数を増やし、その効果が認められると2000年(平成12年)に施行された「介護保険法」において、痴呆対応型共同生活介護としてサービスの1つに含まれました。

ユニットケアの推進

2000年代前半のグループホームの急増に伴い、施設における小さな生活単位としてユニットケア推進されていくようになりました。グループホームやユニットケアが広がり、認知症高齢者の方や個別的なケアの重要性が理解されていくことで、利用者本位の考え方が認知症ケアの中心となっていきました。また2004年(平成16年)には「痴呆」から「認知症」の見直しが行われました。

地域密着型サービスの創設

2005年(平成17年)介護保険法改正では、認知症高齢者が住み慣れた地域で生活を続けることが出来るように地域密着型サービスが創設されました。

地域密着型サービスとは、住み慣れた地域での生活を支援するためサービス利用を原則として、事業所のある市町村の住民に限られます。認知症対応型共同生活介護のほかに、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護などのサービスがあります。

地域密着型サービスについては違うページで詳しく解説していますので下記のページを参考にしてください。

【地域密着型サービスについて】

オレンジプランと新オレンジプランの策定

認知症高齢者のさらなる増加が見込まれる中、厚生労働省は2012年(平成24年)「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を策定して、認知症の早期診断・早期対応の重要性などについて指針を示しました。

そして、2015年(平成27年)にはその改定版として認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定し、次のような基本的な考え方と7つの柱が示されました。

【新オレンジプランの考え方】

認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域でより良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す

【新オレンジプランの7つの柱】

①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

②認知症の容体に応じた適時・適切な医療・介護などの提供(認知症ケアパスの作成など)

若年性認知症施策の強化

④認知症の人の介護者への支援

⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進

⑦認知症の人やその家族の視点重視

認知症施策推進大綱

2018年(平成30年) 12月には、認知症に関わる諸問題について、各関係機関が連携し、政府一体となって総合的に対策を推進することを目的として認知症施策推進関係閣僚会議が設置されました。翌年2019年(平成元年) 6月「新オレンジプラン」の後継となる「認知症施策推進大綱」策定されました。対象期間は、団塊の世代が75歳以上となる2025年(令和7年)までとし、策定を3年をめどに施策の確認するものとして、次のような基本的な考え方と具体的な施策の5つの柱が示されました。

【認知症施策推進大綱の基本的な考え方】

認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら共生予防を車の両輪として施策を推進

※共生とは、認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でも共に生きると言う意味です

※予防とは、認知症にならないとい意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、または、進行を穏やかにするという意味です

【認知症施策推進大綱の5つの柱】

①普及啓発・本人発信支援

②予防

③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援

④認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援

⑤研究開発・産業促進・国際展開

パーソン・センタード・ケア

パーソン・センタード・ケアは、利用者本位で行われる認知症ケアの代表的な理念として、認知症高齢者の「その人らしさ」「自分らしさ」を重視する考え方です。これはイギリスの心理学者キットウッドが提唱したもので当事者の生き方を尊重し、支えていくことをケアの中心とする考え方です。

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