介福対策!認知症の中核症状とBPSDを大阪介護の資格の学校講師が解説
今回の投稿では認知症による様々な症状を解説していきたいと思います。この症状の中でも認知症の「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の違いをしっかりと把握しておくことが、介護福士の国家試験を受ける上で大切なことです。現在、カイゴミライズアカデミーでは介護福祉士の試験勉強を受講生さんとともに猛勉強中し試験対策を行っています。そんな介護福祉試験対策コースは下記のページまで。
【介護福祉士直前試験対策集中講座】
それでは解説していきます。
認知症の中核症状
認知の中核症状は認知症の人に必ず起こる症状です。具体的には①記憶障害②見当識障害③失語・失行・失認④判断力の障害⑤実行機能障害があります。それでは中核障害についてさらに詳しく解説していきます。
記憶障害
認知症で起こる記憶障害は、老化による「物忘れ」とは異なります。自分が少し前に何を体験したのかを思い出せなくなることから始まり、体験したこと自体も忘れていくようになります。症状が進行すると、忘れている事の自覚も失われ日常生活に支障をきたすようになります。
見当識障害
見当識障害は時間や場所、人物に対する認識が失われる障害です。
「時間」に対する認識の障害とは、現在が何時か?何月何日か?などがわからなくなります。
「場所」に対する認識の障害とは、今いる場所がどこなのか分からなくなります。
「人物」に対する認識の障害とは、自分や人の名前がわからなくなり、家族も含めた周りの人との関係も認識できなくなります。
失語・失行・失認
【失語】
失語では、聴覚そのものに異常がないにもかかわらず、相手の言葉を理解できない、言葉がうまく出てこないといった症状が現れます。
【失行】
思考は、運動機能には障害などはなく、その行為の内容を理解しているにもかかわらず、思うような行動や目的に沿った動作が取れなくなる症状です。主な失行の症状では、
①観念失行:動作の内容は理解できていても、順序を組み立てて行うことができなくなります
②構成失行:図形や絵を思い通りに描くことができなくなります
③着衣失行:衣服を思い通りに切ることができなくなります
【失認】
失認は感覚機能は正常な状態にもかかわらず、見たり聞いたりしたことが何なのか正しく認識できなくなる症状です。視空間失認(物の位置がわからなくなる)、鏡現象(鏡に映った人物は自分だと認識できなくなる)などがあります
判断力の低下
判断力の障害は、物事を正しく判断することができなくなる障害です。周囲の状況を理解したり、認識したりすることが難しくなり引き起こされるものです。また、計算力などの低下も起こります。
実行機能障害
実行機能障害は、物事を計画通りに行うことができなくなる障害です。失行や失認、判断力、IADL、ADLの障害なども加わり、計画を立てることや手順を考えること自体が難しくなります。
認知症の行動・心理症状(BPSD)
「認知症の行動・心理症状(BPSD)」は、中核症状によって二次的に引き起こされる症状であり以前は周辺症状と呼ばれていました。
行動面の症状と心理面の症状があり、症状の現れ方や程度は生活環境などによっても大きく左右されます。症状の背景には、思うように行動できないことや、自分自身の状態に対する不安感・焦燥感といった感情があることをまずは理解しておきましょう。
行動面の症状
行動面の症状として挙げられるのは、徘徊、興奮や暴言・暴力、異食、失禁、常同行動なのです。それではそれらの主な行動について解説していきます。
【徘徊】
徘徊とはあてもなくあちこち彷徨歩いてしまうことです。目的を持って歩いている場合と不安感から歩きまわってしまう場合があり、夕方になると落ち着きがなくなり、自分の家に帰ろうとする「夕暮れ症候群」も多くみられます。
【興奮・暴言・暴力】
環境の変化に適応できない、ケアの方法を受けられないなどの原因により興奮状態に陥ります。また、自分のことや周囲のことが理解できず介護者に対して暴言を口にしたり、暴力を振ったりする介護への抵抗や拒否といった症状もあります。
【異食】
食べ物ではないものを口に入れて、食べてしまうことです。
【失禁】
トイレの場所がわからない、便器の使い方がわからないといった機能性尿失禁の場合が多いです。
【常同行動】
同じ言動を何度も繰り返してしまうことです。
心理面の症状
心理面の症状として挙げられるのは、抑うつ、感情失禁、幻覚・幻聴、妄想、睡眠障害などです。それではそれらについてどのような心理症状がみられるのか解説していきます。
【抑うつ】
理由もなく意欲が低下して、自分自身や周囲の出来事に対して無関心になります。
【感情失禁】
自分の感情をコントロールできなくなり、ちょっとしたきっかけで激しく泣き出したり、怒り出したりすることです。
【幻覚・幻聴】
実際には存在しないものが見える「幻視」、または聞こえたりする「幻聴」が現れます。
【妄想】
事実ではないことを事実として思い込み、間違いを指摘されても受け入れられない状態です。もの盗られ妄想や被害妄想などがあります。
【睡眠障害】
睡眠障害により日中に眠りやすくなり、夜間に眠れなくなる昼夜逆転が生じやすくなります。また、十分に睡眠が取れていても不眠を訴える場合もあります。
認知症と間違えられやすい症状
老年期うつ
老年期うつ病は若年者に比べて抑うつ気分が軽く、不眠や頭痛、食欲の低下といった身体症状の訴えが強く現れるのが特徴です。記憶障害や見当識障害などの症状を示すこともあるため「仮性認知症」とも呼ばれます。
仮性認知症の症状は急速に進行するため、朝方から午前にかけて症状が悪化するなど1日の中でも「日内変動」がみられるのが特徴です。一方で認知症と異なり、うつ病が改善されれば症状も消失していきます。
せん妄
せん妄は、何らかの原因で意識レベルは不安定な状態になれ意識障害の1種です。認知症と比べて症状の現れ方が特徴的であり、その原因や危険因子、具体的な症状の内容押さえておくことが重要です。次に解説いたします。
【原因と危険因子】
①薬の副作用、高熱、脱水などによる影響
②施設への入所、入院などによる環境の変化
③手術後の精神的な混乱(術後せん妄)
④夜間は情報量が少ないので日中よりも混乱しやすい(夜間せん妄)
【症状の現れ方】
①症状は突然現れて急速に進行します
②症状は1日の中でも大きく変動します(日内変動)
③症状は一過性のものであり、原因を見つけ早期治療を開始すれば、同時に消失します
【具体的な症状】
①意識の混濁
②注意力が低下し、集中力が保てなくなります
③幻覚や妄想がみられるようになります
④興奮状態に陥り、暴言を吐いたりします
ここで問題!
【問題】
認知症と比較した場合のせん妄の特徴として、幻覚を伴う事は少ない。
【答え】
答えは「×」です。幻覚は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の1つであり、せん妄でもみられます。
« 前のページに戻る