【介護福祉試験対策】認知症のある人の心理について徹底解説
今回解説する内容は介護福祉士の試験範囲では「認知症の理解」に含まれる内容となっております。認知症の症状の背景にどのような認知症患者の感情があるのか?また認知の人が安心できる環境作りについてのポイントを押さえて国家試験に向けて励みましょう。また、カイゴミライズアカデミーでは介護福祉士国家試験対策の講座を現在会合中です。詳しくは下記のページまで。
【介護福祉国家試験対策コース】
認知症の人のこころの理解
認知症の「行動・心理症状(BPSD)」には、行動面の症状と心理面の症状があります。我々、介護福祉職として認知症の人の介護を行うときに心がけておきたいのはこれらの症状の背景にどのような感情があるのかを理解しておくことです。
認知症の中核症状による「感情」
中核症状では記憶障害により自分のしたことを思い出せなくなる。見当識障害によって時間や場所の感覚が失われたりする。そのことにより不安感や焦燥感、混乱、おびえといった感情をもたらします。症状の現れ方に個人差がある「行動・心理症状(BPSD)」は、こうした感情を背景として引き起こされます。
介護福祉職に求められる「態度」
「行動・心理症状(BPS D)」は、周りの人たちの対応や支援の内容により、予防・抑制することが可能な症状です。そのため介護福祉職には、認知症の人の不安感や焦燥感といった感情を理解し、その言動を否定したり訂正するのではなく、利用者のありのままの姿を受け入れていく「受容的態度」で接することが必要です。
認知症の人に影響与える環境変化
認知症の「行動・心理症状(BPSD)」は、生活環境の変化に影響します。施設への入所時に環境の変化に戸惑い、混乱状態に陥る事で徘徊など症状が現れたりすることも考えられる。こうした現象を「リロケーションダメージ」や「トランスファーショック」などと呼びます。症状を予防したり、和らげたりするために症状に配慮した環境整備や自宅に近い環境作りのために必要な次のポイントを押さえておきましょう。
認知症の人が安心できる環境作り
【見当識への支援】
・時計やカレンダーを見やすく掲示する。
・トイレやお風呂の場所がわかるような目印を活用する。
【機能的な能力への支援】
・洗面用具や化粧品を「口に入れると危ない」という理由でしまわず、その人自身が整容する力を維持するために日常的に目の届くところに置いておく。
【環境における刺激の質と調節】
・音や光、匂いや手触りなど五感を刺激する環境を工夫する。
【安全と安心への支援】
・帰宅願望の強い人は1人で外出してしまう危険性を軽減するために見守りできる人を配置する。
・転倒や事故を回避するため手すりが滑りにくいマットを準備する。
【生活の継続性の支援】
・本人が大事にしている人形や写真など個人的な持ち物を持ちこむ。
・家庭的な雰囲気を感じてもらうための家具を準備する。
【自己選択への支援】
レクリエーション活動の選択、入浴時間、食事の献立への希望、食堂やデイルームの自由な出入りなど居場所の選択の融通性に配慮する。
【プライバシーの確保】
・居室に入る際にノックや声かけをする。
・入浴、排泄、更衣に関して羞恥心に配慮する
【入居者とのふれあい】
・小グループで利用できるようなテーブルや椅子が準備されている空間作り
・季節感があり昔の生活を思い出すような小道具を用意する
ここで問題!
【問題】
認知症の高齢者の人への対応として、部屋の家具の配置を飽きないように毎月変える。
【答え】
答えは「×」です。認知症高齢者の場合、自分の生活環境に変化がみられると記憶障害や見当識障害により混乱がいっそう深まる恐れがあるため、家具の配置はむやみに変えない。
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