和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

【大阪介護の資格学校講師が解説】認知症ケアにおける連携

認知症ケアにおける連携は、様々な制度や機関、またその家族への支援も重要となります。今回は介護福祉士国家試験の試験範囲でもある「認知症の理解」の内容から認知症を支える地域の機関の機能やその家族への支援について解説していきたいと思います。

カイゴミライズアカデミーでは、現在介護福祉士合格を目指して受講生さんたち猛勉強中です。介護福祉士国家試験対策コースは下記のページを参考に。

【介護福祉士試験対策講座】

地域における認知症サポート体制

2019年(令和元年) 6月に厚生労働省が策定した「認知症施策推進大綱」では、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる「共生」を目指しています。認知症の人を支えるために地域の様々な機関が連携して、切れ目のない支援を行っていくことが大切です。そんな認知症の人を支える地域の機関の役割について触れていきます。

認知症の人を支える地域の機関

【地域包括支援センター】

地域における横断的なネットワーク構築を狙います。

【認知症疾患医療センター・認知症初期集中支援チーム・認知症地域支援推進委員】

認知症の早期診断、早期対応のための連携を図ります。

【認知症サポーター】

認知症の普及・啓発に努めます。

【認知症コールセンター】

認知症に関する電話相談を担います。

【民生委員】

認知症の人に関する情報を収集し、地域包括支援センターなどの専門機関につなぐ役割を担います。

上記で紹介した機関や専門職についてさらに詳しい内容を解説していきます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは2005年(平成17年)の介護保険法改正に基づき設置された地域包括ケアシステムの中核となる機関です。地域における横断的なネットワークの構築を担い、地域住民やボランティアなども含めた見守り体制を整備するための支援を行います。また、認知症の人や家族にとっては相談機関としての役割を果たし、権利擁護業務なども行っています。

認知症疾患医療センター

認知症疾患医療センターは、地域において認知症の人に必要な医療を提供していくために中核となる機関です。都道府県や政令指定都市によって指定された病院に設置されます。

中核機関としては、医療(主治医・かかりつけ医・サポート医)介護双方の連携を深める役割を果たしています。また、実際の業務としては「認知症の診断」「急性期の治療」「専門的な医療相談」などが挙げられます。

認知症初期集中支援チーム

認知症初期集中支援チームは、認知症の「早期診断・早期対応」を図るため、初期段階から複数の専門職が関わり、訪問による状態の把握やアセスメントを行い、専門医療機関の紹介や家族支援を包括・集中的(おおむね6ヶ月)に行うチームです。地域包括支援センターなどに設置されており、認知症疾患医療センターとの連携を図り、認知症の人と家族の自立した生活をサポートします。

【チームのメンバー構成】

サポート医、保健師、看護師、作業療法士、介護福祉士など

【支援の対象者】

支援の対象は40歳以上で自宅で生活している認知症の人や認知症が疑われる人で次のいずれかに該当する人です。

医療サービス、介護サービスを受けていない人、または中断している人で以下のいずれかに該当する人

①認知症疾患の臨床診断を受けていない人

②継続的な医療サービスを受けていない人

③適切な介護保険サービスに結びついていない人

④診断されたが介護サービスが中断している人

以上のようになります。また医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状により対応が難しい場合も対象となります。

ここで問題!

【問題】

認知症初期集中支援チームの支援期間は2〜3年である。

【答え】

答えは「×」です。認知症初期集中支援チームの支援機関は、医療、介護サービスが安定するまで(おおむね6ヶ月)とされています。

認知症地域支援推進員

認知症地域推進委員は、認知症の人や家族への相談支援、サービスのコーディネート、連絡調整などを行います。保健師や看護師、作業療法士、介護福祉士などが担い認知症初期集中支援チームとの連携を図ります。

認知症地域支援推進員などが企画する、認知症のある人やその家族、地域住民、専門職などが集い情報交換や交流を図る「認知症カフェ」があります。

認知症サポーター

認知症サポーターは、認知症を正しく理解して認知症の人とその家族を見守り、支援する民間のサポーター」です。

【認知症サポーター養成講座の主催】

全国キャラバン・メイト連絡協議会が自治体や全国規模の企業、団体と共同して養成講座を行っています。認知症サポーター養成講座は「キャラバン・メイト」が講師を務めます。

認知症コールセンター

認知症コールセンターは、認知症の人やその家族を対象として、家族の悩みや介護方法について、認知症介護の専門家や経験者などに電話相談ができる機関です。都道府県や政令指定都市に設置されています。

民生委員

民生委員は都道府県知事の推薦によって、厚生労働大臣が委嘱する民間のボランティアです。任期は3年であり児童委員も同時に委嘱されます。地域住民の生活相談等に応じる一方で認知症の状態にあると思われる人、日常の人の情報収集に努め、地域包括支援センターを始めとした専門機関につなげることが期待されます。

認知症の家族への支援

認知症の家族もまたショックを受け、不安感や焦燥感、混乱といった感情を招くことになります。認知症の進行により介護負担は大きく、心身ともに疲労が蓄積されます。そういう意味では認知症家族への支援も重要です。

それでは家族支援にどのようなものが存在するか紹介していきます

レスパイトケア

レスパイトと言う言葉には「休息」と言う意味があります。レスパイトケアとは、介護を行う家族の負担を和らげ、息抜きのための1時的な休息期間を設けることでリフレッシュを図ることを目的としています。

介護保険のサービスでは、利用者が施設に短期入所する短期入所生活介護(ショートステイ)を始め訪問介護や通所介護などの利用がレスパイトの目的を果たします。

家族の会

同じ立場にいる人たちが相互に支え合うことを「ピア・サポート」といいます。家族の会はピア・サポートの一環として、認知症の人の介護を行う家族同士が集まり、交流を図るものです。認知症に関する家族の会は、1980年(昭和55年)に「呆け老人を抱える家族の会(現在は、公益社団法人認知症の人と家族の会)」として発足しました。

家族の会では、交流会のほか、電話相談なども行っており相談場所としても重要な役割を担っています。また、情報共有や同じ境遇の仲間と関わりを持つことでストレスの軽減を図ることを目的としています。

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