令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン85「認知症の理解〜認知症の歴史と現状〜」
どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士の試験範囲について解説していきます。今回解説していく内容は「認知症の理解」について解説していきたいと思います。認知症の歴史や理念、そして、認知症高齢者の現状について解説していきたいと思います。
目次
・認知症ケアの歴史
認知症ケアの歴史
認知症は昔、痴呆症と呼ばれている時代もありました。現在の認知症を取り巻く状況を把握するためには、認知症ケアの歴史を知ることが大切です。それでは時系列に認知症について触れている制度や運動、また考え方やサービスなどに触れていきましょう。
【老人福祉法制定】
1963年に老人福祉法が制定されました。それにより高齢者が福祉の対象になりました。老人福祉法は福祉六法に含まれます。
福祉六法に関して、違うページで詳しく解説していますので下記のページを参考にしてください。
≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン8「社会の理解〜社会保障の歴史〜」≫
【痴呆性老人処遇技術研修事業】
1984年になるとすべての特別養護老人ホームにおいて、認知症の人を受け入れるように実施された寮母を対象とした研修として「痴呆性老人処遇技術研修事業」がスタートしました。
【パーソン・センタード・ケア】
老人病院や施設が急増。キットウッドが認知症の人の「その人らしさ」を支えることを中心とした考え方であるパーソン・センタード・ケアの考え方が提唱されました。
【認知症グループホーム】
1987年には日本ではじめての認知症グループホームが誕生しました。
【介護保険制度】
2000年には介護保険制度が開始されました。
介護保険制度に関して、詳しいページは下記のページを参考にしていただければと思います。
令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン10「社会の理解〜介護保険の概要〜」
【2015年の高齢者介護】
戦後のベビーブーム世代」が65歳以上になりきる2015年までに、実現すべきことを念頭に置いて、これから求められる高齢者介護の姿を描くこととした「2015年の高齢者介護」の策定がされました。
【認知症へ名称の変更】
2004年には「痴呆」から「認知症」に名称の変更がされ統一されました。
【認知症疾患医療センター】
2012年には厚生労働省が「今後の認知症施策の方向性について」を報告。地域における認知症医療と介護の連携拠点として、都道府県及び指定都市から指定を受けた医療機関である「認知症疾患医療センター」の設置等の取り組みが提示されました。
【新オレンジプラン】
2025年には団塊の世代が75歳以上になるに至って「認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らしを続けることが出来る社会を実現する」ことを目的として「新オレンジプラン」が策定されました。正式には、認知症施策推進総合戦略といいます。
認知症高齢者の数の推移
厚生労働省によると、2012年(平成24年)の時点では65歳以上の認知症高齢者は、全国で約462万人と推計されています。これは、65歳以上人口の約15%にもなります。さらに、2015年(平成27年)には約517人、2025年には約675人とその数は増え続けると推計されています。
認知症疾患別内訳
2020年の厚生労働省から高齢者の認知症の原因疾患別内訳が発表されました。それでは認知の中でもどの疾患が多いのか把握しておきましょう。
《1位》アルツハイマー型認知症67.6%
※アルツハイマー型認知症の有病率は男性より女性が多い傾向です。
《2位》血管性認知症19.5%
《3位》レビー小体型認知症4.3%
《4位》アルコール性認知症3.9%
《5位》混合性認知症3.3%
《6位》前頭側頭型認知症1%
《7位》その他0.4%
認知症に関する施策
【介護保険制度】
2006年(平成18年)に創設された地域密着型サービスは、認知症高齢者や中重度の要介護高齢者が、出来る限り住み慣れた地域の生活を継続できことを目的に誕生しました。また、2014年(平成26年)の介護保険法の改正により、地域支援事業の包括的支援事業に認知症総合支援事業が加わりました。
【新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)】
認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会を目指す国家戦略である。認知症サポーターの養成や認知症の理解を深めるキャンペーンの実施などが行われます。また「認知症カフェ」は、認知症の人や家族、地域の人などが集い、介護の悩みなどを語り合う場の提供を行っております。認知症サポーターが「認知症カフェ」を運営するものもあります。2017年(平成29年)には新たに改定され、2020年までの全市町村に普及させると言う目標が示されました。
【認知症高齢者の権利擁護対策】
成年後見制度、日常生活自立支援事業、高齢者虐待防止法などがあります。これらのことについては違うページで詳しくまとめていますので下記のページを参考にしてください。
令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン18「社会の理解〜介護施策関連法〜」
まとめ、感想
認知症はこのような歴史をたどり、現在に至ります。また認知症の理解を深めるために様々な取り組みも行われていました。認知症高齢者は、年々増加してきており2030年には744万人まで増えることが予測されています。
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