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認知症の種類と症状を大阪実務者研修教員が徹底解説!介福試験対策

認知症の原因疾患としては様々なものが存在します。介護福祉国家試験を受験する方はそんな認知症の種類と症状や特徴などをしっかりと押さえておく必要があります。今回はそんな介護福祉士国家試験に挑戦する方には、ぜひとも覚えておいてほしい出題傾向の高い知識をここでは解説していきます。

この知識は介護士国家試験のカリキュラムでいうと認知症の理解」にあたる内容となります。

現在、カイゴミライズアカデミーでは介護福祉士国家試験を目指して受講生さんと猛勉強中です。ぜひ未来の介護福祉士を目指す方、一緒にがんばりましょう。介護福祉士試験対策コースは下記のページを参考にしてください。

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アルツハイマー型認知症について

認知症の原因疾患として半数以上を占めるのはアルツハイマー型認知症になります。そんなアルツハイマー型認知症についてまずは解説していきます。

発症の原因

アルツハイマー型認知症は、大脳皮質の神経細胞が減少して、脳が萎縮することで発症します。神経細胞の減少は、老人斑(神経細胞の間にタンパク質が溜まり、シミのようなものが現れる現象)や、神経原線維の変化などによって引き起こされます。

症状の特徴

アルツハイマー型認知症は、女性に多く見られる印象です。症状は緩やかに進行していき、機能の全般的な低下と人格の変化が見られるようになります。主な症状の経過は次の通りです。

【軽度】

時間の見当識障害

・物の置き忘れ

・もの盗られ妄想

・実行機能障害(炊事の手順など)

【中等度】

場所の見当識障害(迷子)

・記憶障害の進行

・幻覚や尿失禁の出現

【高度】

人物の見当識障害

・重度の記憶障害

・嚥下障害の進行

・全面的に介護が必要な状態

予防方法

根本的な予防方法や治療方法はなく、症状の進行を和らげる目的で「ドネペジル塩酸塩」などが処方されます。処方によりパーキンソン病似た症状を示す場合があるため注意が必要です。

ここで問題!

【問題】

初期のアルツハイマー型認知症における認知機能障害の特徴として、時間に関する見当識障害は見られない。

【答え】

アルツハイマー型認知症では、初期から時間の見当識障害がみられます。

血管性認知症について

血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に続き2番目に多い認知の種類になります。それでは血管性認知症について解説をしていきます。

発症の原因

血管性認知症は、脳血管疾患(脳出血・脳梗塞)を原因として、脳への血液の流れがさえぎられ神経細胞が死滅していく疾患です。

症状の特徴

男性に多く見られ、脳血管疾患を繰り返すことで徐々に進行していきます。人格は比較的保たれており、知能の低下の仕方にはムラがあります。症状は、神経細胞の死滅した箇所により変わりますが、初期には自覚症状として頭痛、めまいやふらつきなどが現れ、やがて片麻痺、感覚障害、意識障害、感情失禁などがみられるようになります。

予防方法

認知症そのものを改善させる事は難しく、原因となる脳血管疾患の予防と治療が大切です。予防のためには生活習慣病の改善に努め、発症後は脳循環代謝改善薬などが処方されます。

レビー小体型認知症について

発症の原因

レビー小体型認知症は、脳や末梢神経の神経細胞にレビー小体と呼ばれる物質が現れることにより神経細胞が破壊され、発症するものです。

症状の特徴

レビー小体型認知症は男性に多く見られる認知症です。症状は1日の中でも大きく変わる日内変動がみられます。

幻覚パーキンソン病似た症状(パーキンソン症状)レム睡眠行動障害が現れます。認知機能の低下は全般的で記憶障害を伴います。また、脳以外にも病変がを及ぶことにより、認知機能だけではなく便秘や立ちくらみなどの自律神経症状、誤嚥性肺炎など広範囲に症状がみられます。

【幻覚の内容】

人物や小動物など、鮮明で具体的な内容の幻視が多くみられます。対応としては幻覚を否定せず需要的態度で接して理解するように努めることが重要です。特に暗いとこでみえる場合が多いので、部屋を明るくすると、幻視が消えたりすることもあるので照明の工夫が大切です。

【パーキンソン症状】

筋固縮、無動・寡動、歩行の障害(すくみ足、小刻み歩行、突進現象など)により動作が遅く、転倒しやすくなります。

予防方法

根本的な予防方法や治療方法はなく、症状の進行を和らげるためにアルツハイマー型認知症と同じく「ドネペジル塩酸塩」などが処方されます

前頭側頭型認知症について

発症の原因

前頭側頭型認知症は、大脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することにより発症します。

症状の特徴

前頭側頭型認知症の主な症状は、初期からの「人格の変化」です。具体的には、意欲の低下や無関心のほか、社会のルールや規範がわからなくなり、万引きなど反社会的な行動(脱抑制)」とってしまうことが特徴です。

また病識がないことがほとんどで症状が進行すると同じ行動を繰り返す「常同行動」「周回(徘徊とは異なり、同じ道を何度も歩く)」毎日決まった時間に決まったことをするなどの行動が見られます。また、顔を見ても誰だかわからない相貌失認」「滞続言語(会話の流れとは関係のない言葉が、何度も繰り返されること)」などの言語機能の障害も目立つようになります。一方で、記憶障害や見当識障害などがあまりみられないといった特徴もあります。発症してから、平均で6〜8年で寝たきりになるといわれます。

予防方法

根本的な予防方法や治療方法はなく、対症療法が中心となっています

認知症の原因となる様々な疾患について

正常熱水頭症

【発症の原因】

正常熱水頭症は、絶えず循環している脳脊髄液の流れや吸収が妨げられることにより発症します。くも膜下出血や外傷などが原因となる場合と、原因不明の場合があります。

【症状の特徴】

また脳脊髄液が脳を圧迫することにより、血管性認知症にいた認知機能低下、歩行障害、尿失禁、意欲の低下などの症状が見られるようになります。

【予防方法】

早期発見の場合、脳室に溜まった髄液をチューブを通して腹腔などに流す通路を作る「シャント手術」を行うことで症状の改善が可能な疾患です。

慢性硬膜下血腫

【発症の原因】

慢性硬膜下血腫は、転倒などによる頭部の打撲などを原因として、脳を包む硬膜の下に血腫ができることで発症します。

【症状の特徴】

血腫が脳は圧迫することにより頭痛や半身のしびれが起こり、物忘れや歩行障害、さらには意識障害などをもたらします。受傷後、数週間〜数ヶ月に症状が現れることが多いのも特徴です。

【予防方法】

手術で血腫を除去することにより、認知機能の改善が可能な疾患です。

クロイツフェルト・ヤコブ病

【発症の原因】

クロイツフェルト・ヤコブ病は、プリオンと呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積することにより、神経細胞に異常が見られる疾患です。

【症状の特徴】

症状の進行が非常に速く、数ヶ月で寝たきりの状態になり、1年〜2年ほどで死に至ります。急速に進行する認知症様症状、歩行障害や運動麻痺などがみられます。

【予防方法】

根本的な予防方法や治療方法は現在のところ確立されていません。

ここで問題!

【問題】

クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症の症状は緩やかに進行する場合が多い。

【答え】

答えは「×」です。クロイツフェルト・ヤコブ病は、症状の進行が非常に速く、認知症の症状も急速に進行します。

軽度認知障害(MCI)

健常と認知症の中間にあたる段階として軽度認知障害(MCI)があります。MCIの特徴は

①記憶障害の訴えが本人または家族から認められている

②日常生活動作は正常

③全般的認知機能は正常

年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する

認知症ではない

と定義されています。軽度認知障害から年間に約1割が認知症に移しています。ただし、ライフスタイルなどの改善で軽度認知障害の一部は健常の状態に戻ります。

若年性認知症について

認知症のうち64歳以下の年齢で発症したものを「若年性認知症」といいます。若年性認知症の原因となる主な疾患は、アルツハイマー型認知症が最も多くそれに続くのが血管性認知症です。レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症のほか、飲酒を原因として発症する場合もあります。

若年性認知症の特徴

男性に比較的多く見られ、若いほど脳の萎縮も早く、症状の進行も早いといった特徴があります。不安や抑うつを伴うことが多く、特に若年性アルツハイマー型認知症においては、失認などの神経症状を認めることが多くなります。

世帯の働き手となる人が在職中に発症するので、離職せざるえなくなった場合、経済的負担だけではなく、介護の必要性などから家族の心理的負担も大きくなることが問題とされています。

若年性認知症への支援

若年性認知症は、老年期の認知症と比較して社会的な認知度が低く、特化した支援が充実しているとはいえないのが現状です。そのため対象者が退職せざるえなくなった場合などには、就労支援として障害福祉サービスの活用経済的支援として雇用保険の利用を促していくなど、存在している制度やサービスにつながる支援を行うことが大切です

また、対象者が40歳以上65歳未満の場合は、初老期における認知症」に該当し介護保険の特定疾患に含まれるため介護保険の利用も可能です。

ここで問題!

【問題】

若年性認知症は、高齢者の認知症よりも進行は緩やかである。

【答え】

答えは「×」です。若いほど脳の萎縮も速くなり、後期高齢者の認知症と比べて進行は早いと考えられます。

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