和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

【認知症の検査と治療】大阪で活躍する介護の資格の学校講師が解説

この投稿では介護福祉士国家試験の対策として様々なカリキュラムについて解説していきます。今回解説していく内容は認知症の理解」から認知症の検査と治療方法も解説いたします。認知症の検査とその重症度を評価する基準についての介護福祉士の試験範囲としてポイントを押さえておきましょう。また、ここでは認知症の治療についても触れていきます。

現在、カイゴミライズアカデミーでは、介護福祉試験対策を目指して受講生さんと試験対策中です。週2回の研修を通して2023年1月29日の試験合格を目指して勉強中です。

介護福祉試験対策国家試験を受験する方はぜひ、ともに合格を目指しましょう。下記のページから試験対策講座を内容を詳しく載せていますので参考にしてください。

【介護福祉試験対策コース】

知的機能・認知機能の検査

知的機能・認知機能の検査を通じて、対象者が認知症であるかどうかを調べる方法には、有名なものに改訂長谷川式簡易知能評価スケール( HDS-R)」、「MMSE」があります。まずはその検査について解説していきます。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール( HDS-R)

改訂長谷川式簡易知能評価スケール( HDS-R)は、年齢、日時や場所の認識(見当識)、計算、記憶などの項目についての質問を口頭で質疑応答し、認知症がどうか評価する検査です。この検査は日本国内で最も多く活用されている評価スケールであり9項目の質問で構成されています。30点満点で20点以下の場合に認知症が疑われます。

MMSE

MMSEは、口頭での回答に加えて、図形の模写という動作性の課題も含め、認知症かどうかを評価する検査です。国際的にも最も広く活用されている評価スケールであり、11項目の質問で構成されています。30点満点で23点以下の場合に認知症が疑われます。

認知症の重症度を評価する検査

認知症の進行具合の判断をする検査には、CDRFASTがあります。それではその2つの内容について解説していきます。

CDR

CDRとは、家族や介護者からの情報をもとに記憶や判断力、社会適応などの6項目を評価します。国際的に最も広く活用されている行動観察式の評価スケールです。項目別の結果をまとめて最終的に「健康」「認知症の疑い」「軽度」「中等度」「重度」の5段階の分類されます。

FAST

FASTとは、主にアルツハイマー型認知症のADL(日常生活動作)を評価するために用いられる行動観察式の評価スケールです。検査の結果については、「認知機能の障害なし(臨床診断は正常)」から「非常に高度の認知機能低下(高度のアルツハイマー型)」までの7段階に分類します。7段階のうち、4段階目の「中等度の認知機能低下(軽度のアルツハイマー型)」では家計の管理や買い物が難しくなるという特徴があります。また5段階目の「やや高度の認知機能低下(中等度のアルツハイマー型)」では介助なしで適切な洋服を選んで着ることができない、大声を上げるなどの感情障害がみられるといった特徴があります。

ここで問題!

【問題】

FASTは、血管性認知症の重症度判定に用いる。

【答え】

答えは「×」です。FASTは、主にアルツハイマー型認知症のADL(日常生活動作)を評価するために用いられます。

認知症高齢者の日常生活自立度判定基準

認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は、日常生活における具体的な支障を目安にして、厚生労働省が提示している判定基準です。介護保険サービスを利用するための要介護認定の判定時などに活用されています。「ランクⅠ」から「ランクM」の9段階の基準が設けられています。

それではどのような基準が設けられているか次に解説していきます

【ランクⅠ】

何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している

【ランクⅡ】

日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる

【ランクⅡa】

家庭外で上記Ⅱの状態がみられる

【ランクⅡb】

家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる

【ランクⅢ】

日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが時々見られ、介護を必要とする

【ランクⅢa】

日中を中心として上記Ⅲの状態がみられる

【ランクⅢb】

夜間を中心として上記Ⅲの状態がみられる

【ランクⅣ】

日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする

【ランクM】

著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患がみられ、専門医療を必要とする

認知症の治療

認知症における薬物療法は、原因となる疾患や症状に合わせて錠剤や口腔内崩壊錠(OD錠)、粉薬、ゼリー、貼付剤などが使用されます。症状の進行に応じて抗認知症薬の投与量を段階的に増量していきますが、服用開始時や増量時に副作用として、悪心や嘔吐、下痢、興奮などの症状が現れることもあります。抗認知症薬の服用により、ADLが改善することもありますが、認知症そのものを改善させたり、症状の進行を完全に止める事はできません。そのため、知的機能または認知機能の回復や維持、QOL(生活の質)を高めることを目的とした非薬物療法も同時に実施する事も必要です。

非薬物療法には「リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)」、「回想法」があります。それではその2つの非薬物療法についての内容を次に解説していきます。

リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)

「リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練所)」は、見当識障害のある人に日時や場所、名前などの情報を繰り返し質問することで現実に対する感覚や認識を高める訓練です。またその訓練も2種類あり

①1日の流れの中で適時に働きかけをしていく方法「24時間リアリティ・オリエンテーション」

②グループを組んで行う方法「教室リアリティ・オリエンテーション」

があります。リアリティ・オリエンテーションは見当識障害を伴う方への訓練であり、認知症の人だけに特化したものではありません。

回想法

回想法は、比較的保たれている幼少時の記憶などを引き出すことで、人生を振り返り、認知症高齢者の心の安定を図る心理療法です。回想法もまた、個人に対して行う場合と、グループを組んで行う場合があります。グループの場合には、当事者同士がコミュニケーションを深めるきっかけともなり、共感し合うことで心の働きを豊かにする「豊かな情動をもたらす」ことが期待されます。記憶を引き出すために写真や想いでの物などを使用することも効果的です。また、本人が思い出したくない事や言いたいくない記憶はむやみに聞き出さないことが大事です。

その他の療法

芸術療法や音楽療法、運動療法なども認知症の非薬物療法に含まれます。これらの療法は「絵を描く」「写真を撮る」「俳句を読む」「歌を歌う」「演奏に合わせてからだ動かす」「運動する」といった活動を通じて意欲の向上など心身の機能の活性化を図るものです。

ここで問題!

【問題】

回想法では、時間の見当識を高めるために日付や曜日を確認する。

【答え】

見当識を高めるために行うのはリアリティ・オリエンテーションです

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