和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

【介護福祉試験対策】障害の基礎的理解について徹底解説

介護福祉試験対策として今回は障害の基礎的理解について解説していきたいと思います。国家試験では「障害の理解」に出題される知識となります。ここではICFに基づく「障害の概念」障害者手帳制度、そして、障害福祉の基本理念などについて解説していきます。介護福祉試験対策に挑戦する方はポイントを押さえて試験に挑みましょう。

現在、カイゴミライズアカデミーでは介護福祉士国家試験対策コースを開講中です。ぜひご興味のある方は下記のページを参考にしてください。

【介護福祉試験対策コース】

ICFに基づく「障害の概念」

WHO (世界保健機関)によって策定された「ICF(国際生活機能分類)」では障害という概念をどのように理解すればよいか定義されています。

ICFでは、

3つの生活機「心身機能・身体行動」・「活動」・「参加」

それと相互作用による「背景因子(環境因子)」・「個人因子」

によって健康状態が関係すると考えられます。障害とは個人的な要因だけではなく、環境的な要因によっても引き起こされるということです。「障害があるからできない」ではなく「障害があっても工夫すれば可能」という考え方がICFの考え方です。

障害者手帳制度

障害者手帳には、身体障害者、知的障害者、精神障害者を対象として、手帳の交付を受けることができます。また手帳の種別にはよりますが、交通公共機関の運賃割引など各種サービスや優遇措置を受けることもできる制度です。障害者手帳は、都道府県知事や政令指定都市の市長により発行され、障害別に次のように区分が異なります。

障害者手帳の種別と内容

【身体障害者手帳】

対象:身体障害者

手帳の等級: 1〜6級

内容:法律に基づき身体障害者と認められるためには必要なもので

【療育手帳】

対象:知的障害者

手帳の区分:「A1 」「A2」「B1」「B2」※ A1が重度であり、B2が軽度である

内容:法律ではなく、1973年(昭和48年)の厚生省の事務次官通知に基づく制度のため、自治体によって手帳の名称や区分が異なる場合があります

【精神障害者保健福祉手帳】

対象:精神障害者

手帳の等級:1〜3級

内容: 2年ごとに更新する人があります。

※また障害者手帳に関して、さらに詳しく解説しているページがありますので下記のページを参考にしてください。

【障害者手帳について】

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準は、何らかの障害のある高齢者について、日常生活がどのくらい自立しているのかを判定する基準になります。厚生労働省によって示しているものであり、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準とともに、要介護認定の判定に活用されています。「ランクJ(軽度)」から「ランクC(重度)」の4段階の基準でが設定されています。それではどのような判定基準なのか次に解説していきます。

ランクJ【生活自立】

何らかの障害などを有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する

①交通機関などを利用して外出する

②隣近所へなら外出する

ランクA【準寝たきり】

屋内での生活はおおむね自律しているが、介助なしには外出しない

①介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する

②外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている

ランクB【寝たきり】

屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ

①車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う

②介助により車いすに移乗する

ランクC【寝たきり】

1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する

①自力で寝返りをうつ

②自力で寝返りもうてない

障害福祉の基本理念

ノーマライゼーション

1950年代にデンマークの「バンク・ミケルセン」よって提唱され「ノーマライゼーションの父」と呼ばれました。その後、ニィリエやヴォルフェンスベルガーなどが理論家を進めていきました。ノーマライゼーションの理念が日本国内に広がり始めたのは完全参加と平等」をテーマにした1981年(昭和56年)の「国際障害者年」がきっかけです。

リハビリテーション

リハビリテーションは、心身の機能の回復にとどまらず、障害のある人が最適な能力を発揮できるようにし、人間らしく生きる権利や名誉、尊厳の回復を目指し全人間的復権」の理念を掲げています。リハビリテーションでは生活の視点を重視して利用者の残された能力を活かして引き出すことにより自立を支援します。

また、ノーマライゼーションとリハビリテーションは2002年(平成14年)に策定された「新障害者基本計画」の基本理念としても位置づけられています。

ソーシャル・インクルージョン

ソーシャル・インクルージョンとは、社会のあらゆる人々をその構成員として包み込み、共に生き、共に支え合うことを目指す理念です。

ソーシャルインクルージョンという考え方の前段階にはインテグレーション(統合)インクルージョン(包括)という理念があります。それではそれらのポイントについて次に解説いたします。

【インテグレーション(統合)】

障害者と健常者を区別するのではなく、社会の中で共に生活できるような状態を目指す理念

【インクルージョン(包括)】

共生できる場を作るということに限らず、その人に合った生き方を選んでいけるよ共に支え合うこと目指す理

【ソーシャル・インクルージョン】

高齢者や障害者、ホームレスや外国人などあらゆる人々を社会の構成員として包み込み、共に生き、共に支え合うことを目指す理念

ここで問題!

【問題】

ソーシャル・インクルージョンとは全人間的復権のことである。

【答え】

ソーシャルインクルージョンとは共に生き、支え合うことです。記述は、リハビリテーションの理念です。

国連による障害者施策の流れ

1971年(昭和46年)

「知的障害者の権利宣言」採択

1975年(昭和50年)

「障害者の権利宣言」採択

1981年(昭和56年)

「国際障害者年」実施

「完全参加と平等」をテーマに障害者に対する就労機会の保障などを掲げました

1983 (昭和58年)〜1992年(平成4年)

「国連・障害者の十年」実施

→終了後の1993年に「障害者の機会均等化に関する標準規則」が採択されました

1993年(平成5年)〜2002年(平成14年)

「アジア太平洋障害者の十年」実施

→その後、2003年から2012年までを第二次、2013年から2022年までを第三次として延長されています

2006年(平成18年)

「障害者の権利に関する条約」採択

「障害者の人権・基本的自由の確保」「尊厳の尊重の促進」を目指す国際条約です。世界各国の障害者団体が「私たち抜きに私たちのことを決めるな」をスローガンに条約の基礎段階から参加、発言しその意見が反映されて成立しました。

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