和泉市 実務者研修 カイゴミライズアカデミー

令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン65「介護過程〜介護過程の展開〜」

どうも。カイゴミライズアカデミーで講師を務めます。河野つなきです。今回も介護福祉士試験入ったら「介護過程」について解説していきたいと思います。今回の投稿では介護過程にある様々な展開について詳しく解説して行けたらと思っております。

目次

・アセスメントについて

・目標について

・介護計画について

・実施について

・評価について

・ICFと介護過程

・まとめ、感想

アセスメントについて

アセスメントとは、利用者についての「情報収集」「情報の解釈、関連付け、統合化」「課題の明確化」を行うことです。まずアセスメントから始まり、ここで得た情報に基づいて計画の作成、実施を行っていきます。

【アセスメントでの情報】

情報は2種類あります。

1つ目は「主観的情報」です。主観的情報は利用者と接しながら収集する情報です。その人の物の見方や感情、考え方、興味や目標などがこれにあたります。

2つ目は「客観的情報」です。客観的情報は利用者の家族や友人、他職種の観察、または記録類等から収集する情報です。

この2つの情報を多角的、継続的に収集し区別し記録します。

利用者の主観的情報を常に確認するようにし、家族の意向なども聞くことが大切です。

【アセスメントに求められること】

介護職には、倫理観、観察力、推測力、判断力などが求められます。妥当性に欠ける評価、判断の原因にもなるので先入観や偏見を持たないようにすることが大切です。また、プライバシーに関する情報を収集する場合は、第三者がいない場所を選び、情報が漏れないようにします。

【情報の検討】

集めた情報は下記の5つの視点で検討する必要があります。

正確な情報であるかどうか?

必要とすべきすべての事実をつかんでいるかどうか?

結論を引き出すための十分な情報を収集できたか?

先入観や偏見を持たずに収集したか?

⑤相手の言葉の意味を正確につかんでいるか?

上記のことを繰り返し、5つの視点から多面的に情報を検討することが大切です。

【情報の解釈、関連付け、統合化】

検討した情報は解釈、関連付け、統合化します。この段階では3つの視点で考える必要があります。その利用者の思いと現実を共に考えて検討していく必要があります。

《生命の安全》

健康状態が悪化するようなではないか?

《生活の安定》

日常生活の自立、継続ができていないではないか?

《人生の豊かさ》

その人らしく生活できていない点はないか?

【課題の明確化】

利用者の望む生活を実現するためには、利用者の生活課題を明確化する必要があります。そのためには、収集した複数の情報を解釈し「顕在的課題」「顕在的課題の要因」「潜在的課題」も含めて課題を明らかにする必要があります。また、課題が複数ある場合は優先順位を決定し、優先順位の高いものから解決していかなければなりません。

※顕在的課題とは現在現れている課題。潜在的課題とは顕在的課題から予測される二次的な課題。

目標について

アセスメントで明確になった課題の解決のために目標を設定します。目標には「長期目標」「短期目標」があります。長期目標を達成するために短期目標を設定します。長期目標と短期目標は連動して設定する必要があります。

利用者自らが自分の望む生活に向けて、一定期間に実現できることを段階的に進められるよう目標は設定されます。

【目標設定の留意点】

①一人ひとりの生活習慣や価値観を尊重するため、目標は個別であること。

②利用者の自己実現を目指すものであること。また家庭や社会への参加を可能にする目標であること。

③ 利用者自身の残存能力を活用し、利用者自身が取りくむことのできるものであること。

【目標の書き方】

①生活課題が介護によって解決された時、利用者がどのような行動や状態になれば良いか?判断しやすいよう具体的に記述します。

②実施した介護評価する基準となるように、観察あるいは測定可能な表現にする。

目標達成の時期を明記する。

【目標期限の明確化】

介護計画の目標はいつ、その成果が現れるのか?いつ、その経過を評価するのか?を明確にしておく必要があります。計画の期間や見直しの時期を決めておき、目標と実態が合わない時は目標の変更を検討します。

介護計画について

介護計画は、利用者が望む生活を支えるために一人ひとりに対する計画を作成しなければなりません。また、介護職は、介護計画をもとにサービスの提供を行います。

【介護計画作成のポイント】

介護計画を作成するときには、次のことについてポイントを押さえる必要があります。

①利用者のADLとQOLの現状を把握し、自立・向上に向けて作成します。

利用者に関わる複数の専門職や家族がわかりやすいように個別的、具体的に記述し全員が共有が出来るようにする。

③利用者の反応のどんなところを観察するのか?具体的な観察内容を明示する。

④目標に対しの評価の基準を明示する。

【支援内容の決定】

支援内容を決定するときには、次の条件を満たすようにします。

利用者の自己決定や家族の考えを尊重し個別的なニーズを満たすような活動、または、目標達成に向かう行動であること。

②介護職の業務範囲内の活動であること。

原因が明らかな課題の場合には、それを除去、軽減、緩和する活動であること

④介護の理論、過去の研究結果、介護職の経験等を活かして支援内容を定めること。

⑤危険がなく効率的、経済的であること。

【介護計画立案の留意点】

介護計画立案する際には次の点に留意します。

①利用者の同意を得る

長期目標と短期目標を連動させる。

③利用者に及ぼす効果を予測する。

計画を具体的な内容にする。

⑤現実的で実践可能な内容にする。

実施について

介護計画に基づいて、支援の実施が行われます。適切な支援を実施することにより利用者の課題が解決もしくは緩和する」「利用者の生活の質(QOL)の向上」などの期待が考えられます。

【実施における3つの視点】

支援を実施する際は

「自立支援」:相手の残存能力を活用し、生活の中でもADL、QOLの向上を考える

「安心と安全」:安心と安全を前提にサービスの実施を行うことが必要です)

「尊厳の保持」:利用者の感情や思いを大事にします。

【介護記録】

サービスの実施を行った後は、介護記録を作成し保管しておかなければなりません。介護記録は5W1Hを念頭に、客観的事実を正確に示します。それとは別に介護職の判断として区別して書く必要もあります。記録者は必ず署名し、介護終結の日から2年間記録の保存をすることとされています。また、保管場所は鍵のかかる場所で保管しなければなりません。

介護記録に関しては他のページで詳しくまとめていますので、下記のページを参考にしてください。

≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン41「コミニケーション技術〜報・連・相〜」≫

評価について

介護計画で設定された長期目標と短期目標について、利用者の到達状況を客観的に評価します。またその評価により、再アセスメントを行ったり、介護計画の修正を行います。そのサイクルを繰り返すことにより利用者にあった個別で適切な支援を行うことができます。

【評価の視点】

評価の視点には次のようなポイントがあります。

①計画通りに実施されているか?

②目標に対する到達度はどうか?

③支援内容や支援方法は適切だったか?

④実施上の新たな課題や可能性は存在しないか?

目標が到達していない場合、また、到達していても継続が困難であると判断された場合には計画の修正が必要です。また目標達成が難しい場合なども計画の見直しが必要です。その場合には、再アセスメントを行います。

ICFと介護過程

ICFは、WHO (世界保健機関)が提唱しています。ICFの定義では、人間の健康状態を生活機能として「心身機能、身体構造」「活動」「参加」に分類し、背景因子として、「環境因子」「個人因子」として考えることができます。ICFの視点の活用によって、利用者の活動や参加の範囲を広げるなどの前向きな介護計画の立案が必要です。

また、ICFに関しては違うページで詳しく解説していますので、下記のページを参考にしてください。

≪令和4年度介護福祉士国家試験を介護福祉士が解説をします!レッスン24「介護の基本〜自立支援〜」≫

まとめ、感想

今回は介護過程の中でも「アセスメント」「介護計画の立案」「実施」「評価」についての内容を詳しく決めていきました。介護計画とケアプランは密接に関係しており、モニタリングとともに、ケアプランを前提に現場では介護計画を作成します。これらのサイクルが適切に行えていることにより利用者に適切な支援を提供することができます。

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